北原 みゆきは、自分が巻き込まれたことを理解した。
今、彼女が立っているのはドーム状の空間だった。全てが白塗りで、材質は分からない。どういう具合か淡く輝いていて、視野は保たれている。
「時と場合くらい、選ばせてほしいんだけど……」
神魂による超常現象に相違なかった。みゆきとしてはクラスメイトと話をしている最中だったので、ため息をつかざるを得ない。
「はっはっは。まあ、こちらにも都合があるということだよ」
背後で生まれた男の声に、みゆきは振り返る。同時に、『この世界』の必要な情報が頭に流れ込んできた。
この島はネコ島。猫の神である猫神様のおわす、神聖な島。
そして、彼女の前に現れた男は――
「暗黒魔帝・リッカルド……」
「久しいな、猫神の使徒よ……ああ、そう構えなくて大丈夫ですよ。今回私は、君たちの仲間でもあるのだから」
「?」
警戒するみゆきは、その時、この空間に何かが来るのを感じた。それは見えざる複数の気配で、ドームに来たと思った時には、何本もの光の柱となって現れる。リッカルドが口を開いた。
「君もああしてここに来たのですよ……さて、使徒たちがあらかた来るまで、説明はもう少し待ってもらえますかね?」
リッカルドがウィンクする。
みゆきは無論、一歩引いた。
さて、この暗黒魔帝という存在、本題前の身の上話がとても長いので、必要な部分だけを挙げると、
・前回、完全封印された彼は猫神様に(精神的に)いびられ、現在は服従する立場となった。
・封印解除の儀式のため島に甚大な被害が出た。その復興をすることになったのだが、そのタイミングで本国にいる魔帝が侵攻してきた。
・そのため、島の復興と魔帝からの防衛を同時にする必要が出てきた。
「――と、いうわけなのですよ。君たちには今回、島の復興をやってもらいたい」
さも当然のように言うが、要は以前彼の行ったことの尻拭いである。
「それを言えば身もふたもないですが、私は島全体に結界なりバリアーなり張って、敵の侵攻を食い止めているのでね。君たちは私の手足となって、せいぜい働いてもらうとしましょうか。フハハハハ!」
イラッとくる高笑いをするリッカルドだが、残念なことに(本当に残念なことに)彼の言う通りの事態だと、猫神の思念が謝罪と共に告げてくる。
「とはいえ、いきなりでは何をやっていいのか分からないでしょう。島の状況と関連した遂行任務を簡潔にリストアップしたので、それを見つつ、各自行動を決定すると良いでしょう」
そう言うと、紙を配っていくリッカルド。町長時代の癖なのか、こういうことにはマメだ。
「ねぇ、この『ゾンマ』って何?」
紙を見ていたみゆきは、何度か出てくるその言葉に質問する。
「ゾンビ、という言葉は、何かわかりますか?」
「え?……多分」
「ゾンマとは、島の住民であるサンマさんたちが、敵の力の余波によりゾンビ化してしまった存在なのですよ」
住人がサンマだったなんて、無論初耳であった。
こんにちは、叶エイジャです。
ネコ島のお話、第二弾となります。
リッカルド氏は今回、秘密組織モノでいう司令官的な立ち位置のようです(見た目何もしてないけど)。
前作「バトル~VS暗黒魔帝リッカルド~」にご参加の方はもちろん、今回から新規で参加されるという方も大歓迎です!
今回は探索・軽戦闘シナリオとなります。長いマスコメすみません。
●暗黒指令・リッカルドナカザワの指令書~
使徒諸君、気分はどうだね? 以前倒した怨敵にいいようにこき使われる状況というのは? まあ、諦めて従順に動くことだ。
私としても仇敵である猫神と手を組まなければいけない状況だからねぇ。
さて、島全体は私が防衛ラインを敷いているので(休眠中の猫神と違って私は特別なのだよ!)、諸君らが勝てないような力量の個体は現在、島の中にはいない。
とはいえゾンマの物量に君らが無双できるわけでもない(君たち一人一人の力はゾンマ10体分だろう)。君たちは猫神の使徒だから死ぬことはない。
ただ休息を得るまで指令室で過ごす羽目にはなるだろう。私との時間を共に過ごしたいというのなら、止めはしまい。
知ってのとおり島は4つのエリアに分けられる。機械を扱うジャンクシティ・旧市街、剣と魔法とレーザーの近未来都市・シーサイドキャピタル、古代文明の遺跡が集まった星ヶ丘ルイン、そして我々の秘密基地があるネイチャーエンパイア九夜!
残念ながら基地は現在、未完成だ。そのためワープ装置などでのショートカットもできない。
活動可能範囲は正直、狭い。地図でいえば(G,7)(G,8)(H,7)(I.7)、(H,6)と(I,6)は変電所内と川、(J,7)(K,7)は川のみ活動可能だ。
基地の位置は(H,7)、目の前には桜台墓地が見える。
墓地にはゾンマたちが大勢いる。まずはそこで彼らを蹴散らし、しかる後に以下の方針をもとに各自行動してほしい。
●目標
以下の要請(クエスト)を中心に島の復興となる行動をする。
(上述の活動可能範囲であれば、要請に関係のない行動をしても良いとする)
●シーサイドでの要請
・猫島変電所を開放せよ!
変電所は現在、活動を停止している。おそらくゾンマのせいだろう。周囲一帯の電気を供給すれば復興の一助になる。基地にも供給されて活動しやすくなるぞ!
(難易度:5人で普通。ゾンマ30体+侍ゾンマ3体との戦闘。勝利で成功。3人以下だと失敗する可能性大。成功後は基地が発展する)
・ねずの湯を開放せよ!
奇跡の銭湯・ねずの湯。ダメージを受けても、ここに行けばある程度癒すことができる。またこの湯はネズ温泉と近い成分を有し、弱いゾンマなら元に戻すことができる!
(難易度:3人で普通。ゾンマ30体との戦闘後、ねずの湯の掃除と湯張りで成功。成功後は島全体でゾンマがやや減少し、活動しやすくなる)
●旧市街での要請
・猫島総合病院SOS!
総合病院からの救難信号をキャッチした。大勢のサンマがここに避難しているようだが、ゾンマのせいで事態は一刻を争う。
しかしながら旧市街へ繋がる橋はすべて崩れ落ちている。確実なルートは墓地で船(ボート)に乗り、桜川から猫又川、そして病院へと下るコースだ。
ただしゾンマは元々魚類だから、川の中も危険がいっぱいだ! 落ちたら死ぬぞ!
(難易度:8人で普通。病院に一人でも着いたら成功。成功後は基地とワープ接続が可能になる)
●九夜山での要請
・基地を発展させよう!
基地はドーム状の広大な空間と、桜台墓地につながるゲート以外何もない場所だ(各人の状況などはリッカルドがリアルタイム念波で分かるため、通信設備すらないぞ!)。
猫神様のシャベルという、便利な道具がある。穴掘りも加工も不思議パワーで何でもできてしまう(でも基地内でしか使えない)シャベルなので、色々使ってみよう。
自分の部屋を作るもよし。穴を掘って別の場所(掘ってつながるのはこのシナリオでは地図の座標一マス程度)へ向かうもよし。
電気で動く通路や設備も、頼めばリッカルドパワーで作ってくれるゾ!(基地内で使えるものしかダメなようだ)
ただし、電気がないと動かないからそこは注意!
(難易度なし。何人でもOK!)
・落神神社への穴掘り
住人が少ないとはいえ、九夜山へのルートは必要だ。通路を作っておくと活動しやすくなるだろう。
開通すれば星ヶ丘にも行けるようになる。
(難易度:3人で普通。開通後は九夜山深部、星ヶ丘での要請受領が可能に)
・リッカルドとの戦闘訓練
復興の前に、あるいは暇だから、お前ともう一度勝負だ!
……なんて身の程知らずな者はきたまえ、力の差を思い知らせてあげましょう。
(何人でもOK!)
●星ヶ丘
(現在は安全に現地まで向かう方法がないため、発行できず)
●どこでもできること
・リッカルドとの会話
●前回からの変更点
基本は前回のものを踏襲しつつ、猫神様たちから希望者に必殺技が付与されます(そのシナリオ中1回使用可能)。
武器+魔法による複合技(さらにろっこんとの合体もOK)です。
使いたい場合は、アクションのどこかに記号表記で大丈夫かと。
・内容
a:攻撃系
b:回復系
c:その他(束縛系など。内容は以降のDと同様で)
技の見た目
A:斬撃系
B:刺突系
C:打撃系
D:その他(この場合は内容をアクション表記いただけると嬉しく)
属性(今後味方となる魔帝により増加する)
1:猫神様(光属性)
2:暗黒司令リッカルド(闇属性)
効果の範囲(書かなくてもよい)
X:単体大ダメージ
Y:広範囲ダメージ
●敵
ゾンマ:ゾンビ化サンマさんたち
侍ゾンマ:剣状の武器を持ち、他の個体よりワンランク上の実力を持つゾンマさん。
射手ゾンマ:明確な敵として出てこないが、遠距離攻撃ができるゾンマ。彼らのせいで飛行能力を持つ者の移動を制限されてしまっている(という設定)。
●
※注意点
・エリアをまたいでの活動はできない。
最初は墓地での戦闘。ここは共通です。
その後、旧市街に行くという方は、シーサイドや九夜山の要請、あるいはそれ以外の活動は描写できません。
代わりに、同じエリア内での活動はいくつでも行うことができます。
例えば、シーサイドでねずの湯を開放したのち、変電所に向かうことが可能です。(難易度のあとの人数は、何とか成功できるであろう最低限の人数です。この人数以下なら厳しく、超えていれば楽になるでしょう)
シーサイド
(H,7)(I.7)
(H,6)と(I,6):変電所内と川。川においては旧市街エリアも重なる。
旧市街
(J,7)(K,7):川{(H,7)(H,6)含む}。および病院に対して
九夜山
(G,7)(G,8)
・要請に関係のない活動もできる
今回活動したエリアにおいて、生存サンマを探す、バリケードを張る、隣接地域へ偵察しに行く、その他自分らしい行動、といったことが可能です(どれだけ描写できるかはランダムです)。
良い展開につながることもあるし、そうでないかもしれません。
・他の魔帝に出会う可能性
島の中には、かつて猫神と戦い封印された「魔帝」という存在が何人かいます(今回攻めてきたという敵とは別に、仲間になってくれるかもしれない存在です。NPCの誰かが担当します)。
これは、要請をこなすことがキーであったり、ある場所に行くことが条件となっていたりします。
会うことができれば、次のメインタームとなるでしょう。
なお今回は、接触できても会話はできず、名前も明かされません。
それでは、皆様のアクションお待ちしております!