「ハッピーハロウィン♪ 楽しいね~☆」
座敷童と
豆腐娘は仲良くるんるん、
キョンシーは不眠でぴょんぴょん。
かぼちゃがいっぱいの星ヶ丘の町並みを、仮装した「オバケ」たちが楽しそうに歩いている。
――それが
寝子島ハロウィン☆デイズ!
「この町並み、すごくリアルがんすね……あれ?」
「見て見て。誰も見てないのに、小豆洗いさんが真剣にゴシゴシやってるで……あれれ?」
「おお、キョンシーの仲間がいた……あれ? ドラキュラに血吸われてる? あれれれ?」
今日はちょっと様子が違う。
「あれ~? なんか変な感じやで……」
◇ ◇ ◇
――時は少しさかのぼる。
寝子島高校には、オバケがわんさか住んでそうなオンボロ寮
猫鳴館があるが、生徒たちが団らんする大部屋では雑談からある謎の解明に話題が発展していた。
「カラスのらっかみ、えっと
クローネだっけ? あいつは何かを探してるんだよね」
「ええ、おそらくそのヒントとなることが、
このまえ隠れ里で見た巻物に記されていたはずです」
「テオに訊いても教えてくれないんだよなー」
「あの猫、
『いいか、知ってしまったら【知らない】には戻れないんだぜ』とかなんとかカッコつけやがって」
そんな会話を黙って聞いていた
鮫ノ口 礼二郎は、立ち上がった。
教えてもらえないなら、自分たちで探るしかない――
ろっこん
<脳内ビデオガム>で巻物のデータを記録していた礼二郎は、ろっこん
<読破>で巻物の古代文字を解読できる
綾辻 綾花に託した。
『世界を揺るがす悪魂石は異界の城にあり。
猫神でさえも制御不能といわれる異界の城の…………に悪魂石あり。
異界の城は、その出現を望む者がいれば現れる。』
一同は騒然とした。
「世界を揺るがすアッコンセキ?」
「城のどこにあるって?」
好奇心を抑えきれない誰かがつい問いただしてしまうが、綾花は静かに首を振る。
「文章が途切れていて、わかりません。でも、クローネがこの巻物を探していたということは、この悪魂石というのが――」
「クローネが探していたもの、ということだな」
礼二郎がその立派な顎をさすって考え込む。
綾花は静かに頷き、ある気配を感じて天井のあたりをチラリと見た。
「そしてクローネはきっと、
『城の出現を望む者』ですよね……テオ」
『やれやれ。知ることは罪の始まりだぜ……』
雑然とした本棚の上に、
テオがひっそりと立ってこちらを見つめていた。
「テオ!」
「いつからいたのでしょうか」
「お、おれのモノマネ見たのかな……」
みんながテオを見上げたそのとき――
もれいびとテオ、双方の視界にゆっくり入ってくる黒い小さな物体があった。
『ちっ』
気づいたテオが軽く舌打ちする。
と同時に、もれいびたちも気がついた。
それは右へ左へとゆらゆらひらひら、黒い羽根のように見える。――クローネだ。
アホー(異界の)
アホー(城よ)
アホーーー(現れよ!)
酔いどれカラスは、翼をはためかせて猫鳴館の上空をふらふらと舞っていた。
テオは何やらむずがゆそうに前足で耳をかくと、もれいびたちの心に声をかけた。
『知ってしまったからには、仕方ないな。それに、今回はマジでやばそうだ……』
とだけ言うと、いつもは落ち着いた動きのテオが執拗に体をかいかいして猫の毛がふわふわ舞い始める。
同時に、すっと消えていった。
そして猫鳴館の屋根と壁も、消え始めた。
ついにオンボロで壊れた……のではなく、神魂の現象だろう。
そして、目の前にずずずずーーーーっと何かが湧き上がってきて世界は一気に混沌に堕ちていった。
◇ ◇ ◇
「お、おおー! って楽しんでる場合じゃないか……?」
座敷童は自分が見慣れない場所にいることに気が付いた。
かぼちゃのオブジェがたくさんの
異界の城、
かぼちゃ城の中だ。
目の前には、城の中なのに茶色い川が流れている。
戸惑う彼らに向かって、老婆の姿をした小豆洗いが小豆を洗いながら近づいてくると、苦々しく呟いた。
『世界は切り分けたが、俺の力もここまでだ……』
よく見ると、小豆を洗うその手は猫の手だった。
小豆洗いになりかけているテオは、みんなに託すしかなった。
『あとは頼んだ……クローネより先に
“あの石”を手に入れろ……城の…………光を……求めろ…………小豆……俺は…………小豆を洗いたい…………小豆を………………』
猫の手は少しずつ変化して、完全に小豆洗いのそれになった。
かぼちゃ城に、小豆を洗う音がむなしく鳴り響いていた。しゃかしゃかしゃかしゃか……
ドーモ、風雅宿です。
フツウ壊すべし、慈悲はない。
ということで、まさかまさかのホワシナ五話を担当させて頂くことと相成りました。
さあ、世界のフツウを賭けて遊びましょうか。
あらまし
▼みんなの現状
みんなは、気づけば寝子島に突如現れた異界の城、かぼちゃ城にいます。
巻物の情報やテオの話は、知っている人もいれば、知らない人もいます。
ひとの方・ろっこんに気づいていないもれいびの方は、この状況を夢か何かだと思うことでしょう。
▼大切な情報
悪いらっかみクローネが探していたものは“悪魂石(あっこんせき)”というもののようです。
もし、クローネの手に渡ってしまったら、大変なことが起きることでしょう。
昔の巻物とテオによると、悪魂石はかぼちゃ城のどこかにあるらしいです。
クローネより先に悪魂石を探し出し、フツウを死守しよう!!
悪魂石の見た目や大きさは、PCは知りません。
名称から、なんらかの石だろうと判断して探してください。
よほど鈍い人でない限り、見た瞬間に直感でそれとわかります。
みんなの現状をくわしく
みんなはオバケになっています。
オバケごとの能力も使えます。
発動条件を満たせれば、ろっこんも使えます。
どのオバケも、しゃべったり話を聞いたりすることはできます。
テオのように身も心もオバケになってる人もいますが、理性や記憶をきちんと残してる人もたくさんいます。
人間であったことを忘れて、オバケとして他人に襲い掛かる人もいます。倒されると正気に戻れるかも。
どのオバケになっているか、選択肢から1つ選んでください。
【幽霊】
実体がなく半透明なオバケ。
ふわふわと浮いたり飛んだり。ひとやものをすり抜ける能力がある。
(物理攻撃は効かず、物理で攻撃できない)
【ドラキュラ】
生物の生き血を吸うオバケ。
噛みつくことで血を吸う。たいていお腹がすいて血に飢えている。
にんにくと光に弱い。こうもりと仲良し。
【獣人】
獣の姿をしたオバケ。一部または全身が獣になる。変身部位が獣の力となる。
変身の度合いや理性のコントロールは難しい。
狼、鳥、トカゲなどいろいろな「獣」がいるが、マニアックな獣はいない。
【キョンシー】
跳びはねる死体オバケ。腐乱のない硬い体でぴょんぴょん跳んで動き回る。
額に符を貼られると、その文字に書かれたことしかできなくなる。
【雪女】
白くて冷たいオバケ。男でも雪女。
雪を降らせたり氷を出したりできる。
ちょっとした衝撃ですぐに倒れてしばらく動けなくなる。
【座敷童】
着物姿の子供のオバケ。
その場にいる者に小さな幸運をもたらす。
【小豆洗い】
小豆を洗う老婆のオバケ。
液体の中に入ったり、誰かを引きずり込んだりすることができる。
それ以外は小豆を洗うことしかできない。
【カニ魔人】
カニの姿をしたオバケ。人間大の大きなカニで、甲羅の上に人の顔がちょこんと出ている。
まれに顔が甲羅に埋もれて、人面甲羅になっていることもある。
大きなはさみでいろいろ切る。横歩きしかできない。
※オバケの容姿や服装などは個性があるので、お好みで設定してください。
ただし、すべて採用されるとは限りません。また展開上の必要がなければくわしい描写はありません。
【追記】
※持ち物や衣装は、そのキャラクターが普段から持っていてもおかしくないものであれば、
認められることもあります。(武器や危険物などは認められないことが多くなります)
かぼちゃ城をくわしく
おとぎ話に出てきそうな、塔がたくさんある洋風の城です。
かぼちゃや食べもののモチーフで装飾されていて、全体的に楽しそうな雰囲気です。
中央に「アイス塔」があり、それを囲むように「キャンディ回廊」があります。
その外側に「クッキー広間」があり「いちごショートトイレ」「ぶどうジュース温泉」が広間に隣接しています。
城の中あちこちを「チョコレート川」が流れています。
裏庭には「もなか墓地」があり、地下は「トマトジュース洞窟」「せんべい牢」があります。
自分がどこにいるのか、以下から1つ選んでください。
アクションでは2つ以上の場所は指定できません。(物語の展開上2つ以上の場所に現れることはあります)
【アイス塔】
城の中央にある、アイスと氷でできた高い塔。一番上は展望エリア。見晴らし最高?
みんなは塔の下にいます。吹き抜けのらせん階段を上ることができますが、寒さや滑りやすさで大変。
上から雪女が顔を出しては、塔内を冷やしているようです。
<NPC>串田美弥子(キョンシー)……悪魂石を探してますが、寒くてくしゃみ(ろっこん)を連発。
【キャンディ回廊】
キャンディでできた、長くて迷路のような回廊。灯りがあったりなかったり。
いろいろなオバケが出てくるようだが、凶暴な者はいない。
<NPC>ののこ(カニ魔人)……楽しそうに横歩きで行ったり来たり。夢だと思ってる。
【クッキー広間】
お菓子やごちそうがたくさん並び、陽気な音楽とともにオバケたちの楽しいパーティが開催中。
悪魂石やクローネのことを忘れて楽しみたい方は、こちらがオススメ♪
<NPC>白沢絢子(座敷童)……食べものや飲み物をご機嫌で配膳しています。
【いちごショートトイレ】
いちごモチーフでメルヘンに飾り付けられた四次元トイレ。
男女の別はなく、個室が無数にあり、なぜか地平線が見える。
あちこちに居並ぶゴシックドールが妖しく瞳を光らせている。
<NPC>津止孝道(幽霊)……特に何もせず、ふわふわ漂ってます。
【ぶどうジュース温泉】
ぶどうジュースで満たされた、広い温泉がある。一部はワインになっていて酔える。
いろんなオバケたちがくつろいでいる。山と日の出の大きな壁画がある。
<NPC>桜栄あずさ(獣人)……猫耳が生えただけのセクシーオバケ。酔ってて楽しそう。
【チョコレート川】
城の中あちこちを流れている、チョコレートの川。
釣りもできる。ひときわ大きい提灯アンコウは、川の主らしい。
<NPC>テオ(小豆洗い)……ひたすら小豆を洗っている。テオとしての記憶なし。
【もなか墓地】
墓石の代わりにあんこたっぷりの“もなか”が並ぶ墓地。
無数の鬼火がふわふわ漂っている。触れると身体能力が著しく低下する。
キョンシーが無数にいて、襲い掛かってくる。
<NPC>七夜あおい(キョンシー)……人間の記憶がなく攻撃的。硬い上に、ろっこんで怪力。
【トマトジュース洞窟】
たくさんのトマトでできた、暗くて入り組んでいる洞窟。
ドラキュラと吸血コウモリがいて、血を吸いにくる。
<NPC>フジコちゃん(ドラキュラ)……美しい者の血に飢えてます。人間界での記憶なし。
【せんべい牢】
硬いせんべいに覆われた、暗い牢獄。
囚人は脱獄計画を実行中で、みんなで協力して穴を掘っている。協力しないといじめられる。
ここにいるPCはみんな重罪で捕まったオバケ扱い。看守はたくさんの雪女。
<NPC>海原茂(雪女)……人間の記憶がなく攻撃的。氷と雷で強すぎる。
何をすればいいの?
PCさんがやること、できることは、以下1~3のどれかです。
【1】ミッションに取り組む
→“悪魂石”を探す。
→クローネが悪魂石を先に見つけないように(防御・攻撃などの)対処をする。
▼クローネ情報
・クローネも仲間のカラスたちと一緒に“悪魂石”を探して城中を駆けまわっているようです。
・すべての場所に出没する可能性があります。
・PCが先に“悪魂石”を見つけた場合、クローネはそれを取り返そうとします。
・クローネが先に“悪魂石”を見つけた場合、大変なことになりそうです。
【2】この場を楽しむ
→クローネも悪魂石も知らなかったり、夢と思ったりしてる状態で、楽しむ。
→知ってたとしても気にしないで、楽しむ。
【3】その他
→なんらかの情報収集など、この機会に挑戦する。
※超高難易度につき、失敗するものと思っておいてください。
おねがい
◇アクションには以下の3点を記入してください。
・どのオバケになっているか(1種類のみ)
・かぼちゃ城のどこにいるか(1箇所のみ)
・やること(1つのみ)
※「キャラクターの行動」欄の冒頭に【オバケの種類・場所名】を省略しないで書いください。
例)フジコちゃんの場合、【ドラキュラ・トマトジュース洞窟】
テオの場合、【小豆洗い・チョコレート川】
◇やることは1つの行動に絞って書いてください。
複数のことが書いてあっても、どれか1つ程度しか採用されないケースがほとんどです。
◇特に【1】でミッションに取り組む方へ
・いつもの風雅のシナリオに比べて判定はかなり厳しめになると思われます。
アクションに妥当性、説得力が足りない場合やはり採用できないケースが発生してしまうかと。
・また、「書かなくてもわかるだろう」は禁物です。
「誰が見ても確実にわかるアクション」をお書きください。
・GAの場合、アクション内容に矛盾があると採用ができなくなる、
しづらくなる可能性がいつも以上に高くなります。すり合わせは綿密にどうぞ。
それでは、かぼちゃ城にて皆様のお越しをお待ちしております。