それは秋のある晴れた日のことでした。
寝子島観光大使サンマさんこと
寝子 サンマさんは今日も青いサンマ姿で仕事に励んでいました。
こちらにむかって手を振る小学生に笑顔で手を振り返し、
道を訊ねてきた観光客には地図を書き、懇切丁寧に道案内をする。
全ては寝子島をより良いものにし、その魅力を一人でも多くの人々に伝えるために。
サンマさんの観光大使としてのプロ意識は極めて高く、その仕事ぶりは極めて優秀と言えました。
彼がいる限り、寝子島は安泰だ。
誰もがそう信じていました。
しかし、そんなある日。
「ふぅ。今日も忙しいぜ……」
サンマさんが、まだ夏の面影を残す強い太陽の光をふと仰いだ――まさにそのときでした。
「ん……?」
空から何かが落ちてきました。
「な、なんだ……っ!?」
息を詰まらせるサンマさん。
次の瞬間、サンマさんはその意識を失っていました。
* * *
翌日。
野々 ののこさんはシーサイドタウンを歩いていました。
彼女はこれからの季節に備えて、新しい服を買いにいく途中だったのですが。
「あっ、サンマさんだっ!」
そこで、ののこさんは街を行き交う人々の中に大好きなサンマさんの後ろ姿を見つけてしまいました。
彼女は瞳をきらきらと輝かせて「サンマさーん!」と手を振ります。
すると、
「……あ゛あ゛ん?」
サンマさんがひどくドスの利いた低い声でののこさんを振り返って言いました。
「……え?」
ののこさんの表情が凍りつきました。
サンマさんのキャラが明らかにいつもと違います。
「ちっ、なんだガキじゃねーか……。ガキの分際で気安く声かけんじゃねーよ。俺様はいそがしーんだよ」
サンマさんはぷいっと顔をそむけると、すぐにまたどこかへ向かって歩きはじめてしまいました。
のっしのっしとガニ股で道を歩きながら、綺麗なお姉さんを見かけるたびに声をかけてはあっさりとフラれ、まためげずにほかの女性に声をかけるという行為を繰り返すサンマさん。
よく見れば、その背中はいつもよりそこはかとなく黒いような気もします。
そんな彼を見て、
「……私の知ってるサンマさんと違う」
ののこさんは愕然とした表情で、ぽつりとそう呟いたのでした。
ごきげんよう、水月 鏡花です。
というわけで、サンマさんがグレました。たぶん空から落ちてきた神魂のせいです。あるいはそれだけではないのかもしれません。
ショックを受けているののこさん及び街でいきなり声をかけられるお姉さんたちのために、なんとか彼を正気に戻してあげてほしいと思います。
黒いサンマさんについて
神魂(?)の影響で黒くなってしまったサンマさんです。
キャラはだいぶ変わっていますが、足元がよく見えなかったり、呼び捨てにすると怒るところは変わっていないようです。
状況
PCのみなさんはSNSなどの情報からサンマさんの異変に気づき、協力して事件解決にあたるためにシーサイドタウンに集まったところという設定です。
時刻は夜。
人通りの少なくなったシーサイドタウンが舞台です。
方法
サンマさんを正気に戻す方法は、『説得』と『戦う』の二通りがあります。
神魂のせいでおかしくなったサンマさんを『説得』し、正気に戻らせることができればベストですが、できなければ『戦う』ことでサンマさんを気絶させて、彼の暴走を止めてもらうことになってしまいます。
神魂の力でかなり頑丈になっているので、多少手荒な真似をしても大丈夫なはずです。むしろ下手に手加減するのは危険な相手かもしれません。
ヒント
地形や障害物をフルに活用して凶暴化したサンマさんの猛攻を凌いでください。
また、サンマさんは神魂の力でかなり怪力かつ凶暴になっているので、軽々と放置されたバイクや自転車を投げつけてきたりします。大変危険です。
くれぐれも注意して戦ってください。
説明は以上です。
グレてしまったサンマさんのため。
ショックをうけたののこさんのため。
そして何よりみんなの寝子島のフツウのために。
みなさんの力を貸してください。