「――え、と。ごきげんよう?」
エリーゼ・ハルトマンは、目の前に飛び出てきた相手に思わず挨拶をしてしまった。
本日の星ヶ丘方面は澄み渡る秋空……ちょうど散歩には良い午後のひととき。
街の中でであったその人物の風体を見て、ぱちくり、と金と青のオッドアイがまたたいた。
「――どうも、こんにちは、ワタクシ、シノビと申します」
それはとても丁寧な挨拶をエリーゼに返した。
「……ご丁寧にありがとうございますの。私、エリーゼと申しますわ」
なぜかシノビと、挨拶しあうエリーゼ。
(……なぜNinjaがこんな所にいますの?)
しかし内心ではエリーゼは目の前のシノビに戸惑いを感じていた。
「それでは、ワタクシ、急ぎますので失礼いたします。御免っ!」
挨拶もそこそこに突如走り出したシノビさん。
「きゃっ?!」
バヒュン、とかくも恐ろしいスピードでエリーゼの近くを通り抜けるシノビ。
砂埃が、エリーゼを襲い、その整った髪やお肌にぴりぴりと砂埃が纏わり付く。
「失礼な方!」
そうして、エリーゼがシノビに対して遺憾の意を表明した時であった。
「そっちかーっ! こら、待ちなさい!」
ぷんぷんと怒っているそんなエリーゼの近くに一人の男が現れた。
ぜぇぜぇとちょっとひょろっとした男がシノビを追いかけるようにして来たのだ。
白い上着、中に黒いシャツを着込んでいる。
下は茶色のチノパン風味のズボンを着ており、ぶわっとしたピクチャーハットが印象的な老年のおじいさんだ。
「ぜぇぜぇ」
ひーこらとアスファルトに座り込む。
「……おじいさま? 大丈夫ですの?」
「あぁ、お嬢さんありがとう。年はとりたくないねぇ」
そう言って座りながら挨拶を返したおじいさん。
ちなみに、まだ息が乱れている。
「あ、ボクこういう者なんだ」
そう言って丁寧にエリーゼに名刺を渡す。
海外用の名刺か、ローマ字などで補足されていてエリーゼにもわかりやすく読めた。
「――映画村監督衆序列三位、ダイスケ・マキノ?」
「うん。昔は東京にいたけどね」
こくりと、笑顔でマキノは頷く。
「私、
エリーゼ・ハルトマンと申します。何かありましたの?」
正義感か、それとも先ほどのシノビに対する何かを感じたのか、質問するエリーゼ。
「あぁ、それが……だいぶ前にしまったはずの特撮時代劇のフィルムから、敵『たち』が出てきちゃった……このままでは、寝子島が不思議空間になってしまう! 何とかして戻さないと!」
「……め、めちゃくちゃですわー!!」
エリーゼの叫び声が、街に響き渡った。
どうもじんのです
事件はここだけではありません、フィルムから飛び出した奴らは複数います
さっくり捕まえて、フィルムの中に戻してあげましょう
・概要(PCが知り得る情報)
過去の映画『浪人道中記―旅がらすの斬人剣―』より
4人の敵が映画から出て、寝子島に放たれました。
こいつらを倒さないといけません
ひょっとしたら、お礼に映画のチケットとかくれるかもしれませんよ?
・敵4人
1、超脚飛脚(ちょうきゃくひきゃく)のシノビ 「どうも、シノビです」
:足が速い、とにかく早い。星ヶ丘方面をシーサイドモールへ向けて爆走中
あと一応忍者なので、手裏剣使ったり、近接攻撃したり、吹き矢使ったりと
忍者らしい、正攻法の戦いではない戦い方と丁寧な口調が特徴
2、大斬波(だいざんは)のヤマダ 「……(ただ頷いた)」
:無口な男で、杖(じょう)で敵を殴り殺す。エノコロ岬で一人たたずむ
山伏の格好をしており、法螺貝を吹いて攻撃する音波攻撃(真空破)がある
常に右目を封じており、左目のみで戦うが、強敵とあらば封印を解く
3,花街小町(はなまちこまち)のニシキ「ちょっとやり過ぎたでありんすか?」
:花魁口調、花魁言葉風味(元は演技ですから)旧市街の寝子島神社付近にいる
二枚の仕込み扇を操り、蝶のように舞いつつ、仕込み扇で斬る
衣装は花魁の衣装。
なお、ぼんっ、きゅっ、ぼんっではないのであしからず 日本人体格
4,古来原始(こらいげんし)のアシヤ「キヒッ、苦しいか? ん? 苦しいか?」
:薄汚れたぼろ布に、薄汚れた悪人顔をしている。ゆっくりと変電所へ向かっている
髑髏で作った盃を首から提げて、手には赤ちゃんくらいの遮光土器を持っている
不気味に土器の目が光り、超能力(主にサイコキネシス)を使って戦う
・どうやったら戻せるの?
基本的に気絶でもいいし、捕縛でもよい
敵が負けた! と思えばよいので、そのための手段は問わない
負けたと思ったら、その時点でフィルムに吸い込まれていきます
(これらの情報は寝子島に散った撮影スタッフやテオから得られるものとします)
・因縁つけられたい
キャラのモチベーションとして「さっき負けて再チャレンジ」的なアクションは可能
自キャラの圧倒的な強さで敵をそっち方面に逃がしたはNG
なお、設定として再チャレンジ前に
敵の情報をばらまくという形でほかのPCに敵の情報を渡してもよいとします。
それが面白いかどうかはともかく手段としてはありです。
・映画村監督衆序列三位、ダイスケ・マキノ?
映画村に所属している名監督の一人で、全部で九人いるらしいです
監督名は、マキノ・大輔(無自覚なもれいび・能力不明)
時代劇をメインに監督をしており、サイレント時代からの古参兵です
時折、わかりやすい「考証を無視したわかりやすさメイン」の映画を撮ります
代表作は先ほどの『浪人道中記』(サイレント)『隠し剣 三羽烏』(サイレント)
『新撰組任侠伝』(カラー)『親分の一生、次郞長伝説』(カラー)など
また、任侠映画も手がけたことがあります
寝子島に楽隠居をしに来たら、関係者に頼まれて映画村で働くことになった
・寝子島は大丈夫?
どこからともなくもれいびやこういう現象を理解している撮影スタッフが現れて
「映画の撮影です!」
ってごまかしてしまいます
一般人がいたとしても全部映画なんだ~と思っちゃいます
なお、ごまかす側の撮影スタッフでの参加は日当がでます
(ただし、元から映画村のスタッフとして関係者設定ある人のみ、募集はかけてません)