月見としては時期が少し遅くなるが、それでも空に映える少しばかり欠けた月は酒の肴として十分にその役を果す事が出来る。
そんな月の光に照らされながら、猫又川の上流にある祠では二匹の猫が歩きながら忙しなく動いていた。
「ふむ、上出来上出来。相も変わらず良い物を作る」
二匹の猫――キンカとギンカが歩き回る中で、センリは目の前に並べられた二つの大きめな瓢箪の片方から、猪口へと中身を移し一口だけ口にする。
――鼻をくすぐる仄かな甘みを含んだ香りと共に、口の中には嫌味の無い程度に甘く、程よい酸味を含めた味が広がっていた。
「キンカ、首尾は?」
センリが走り回るキンカを止め、それを口にする。
「上々です。既に案内は済ませてあります」
キンカの言葉に、そうかとだけ口にし、センリの視線はそのまま夜の空に輝く月へと向かう。
偶然とは言え、知り合った者達。
なにより、彼らには幾つかの品物を貰い、互いに話もしている。
――ならば、良い酒が手に入ったのであれば、こんな良い月夜に宴を開かない理由は無かったのだ。
「此度は酒では無い物もある。あやつ等も飲めるであろうよ」
片方の瓢箪には棗で出来た酒、そしてもう片方には同じ棗ではあるが、アルコールが入っていない飲み物が入っている。
――だが、飲んだ後に出る効果の程はどちらも同じ代物であった。
「……来たようじゃな。キンカ、ギンカ、粗相の無いように」
一つだけ、センリは二匹に口にし、川周辺に放っている幽霊からの視界により人影を確認する。
――後の月と呼ばれる月夜の下で、知る者だけが知る小さな宵の宴が始まろうとしていた――
まずはご覧いただきありがとうございます。
以下より今回のシナリオの設定となりますので、一読いただきますようお願いいたします。
▼NPCセンリについて
詳細についてはこちらをご覧ください。
センリと面識の無い方でも、参加された時点で既知設定となりますので、特に挨拶等といったものは必要ありません。
▼目的
宴を楽しむ、それだけです。
用意された料理に加え、更に料理を持ち寄って皆でわいわい騒ぐもよし。
特別な飲み物(下記参照)を飲んで、誰かに絡んでみるのもよし。
自分が酔ったらどうなるか、それを楽しんでみるのもよし。
それぞれが好きなように宴を楽しんでいただければ幸いです。
▼宴会場所と時間
センリが住む祠の手前で、夜の19時~21時まで行われます。
レジャーシートのような敷物と、各料理が載ったお膳がそれぞれに配られている状態です。
▼用意された料理及び飲み物について
料理
軽食を中心とした料理となります。
・ラインナップ
月見団子:三色団子×2本
魚料理:鮎の一夜干し
山菜料理:むかごの塩焼き
飲み物
棗を使用した酒、及びジュースの様な発酵飲料を事前にセンリが用意しております。
但し、どちらを飲んでも10~20分後に酔った状態となり、効果は1時間ほど持続します。
酔いに関しては、どれだけ酒に強いPCであっても強制で起こりますので、ご注意ください。
・酒【大棗】
程よい甘さがあり、女性でも飲みやすいお酒。
成人している方のみが飲む事が可能。
・発酵ジュース【大棗湯】
アルコールが入っていない為、成人していない方でも飲むことが可能。
大棗よりも甘みが強く、フルーツジュースのような味。
※これらを飲む場合、アクションに必ず自分が酔った場合のどのような状態になるかを記載してください
お任せの場合はその旨をアクションに書いていただきますよう、お願いいたします。
▼センリとの会話について
詳細にも書いてありますが、古い民話や物語、落神伝説についてある程度の知識を持っています。
但し、同時にその知識は正誤不確かな情報でもありますので、話を聞く場合は注意してください。
今回のシナリオ設定は以上となります。
よろしければ、ご参加をお待ちしております。