ある日、とある夢を見るようになる。
それはここではないどこか別の場所の夢。
その夢は毎回、聞いたことのない女性の声から始まる。
『私の声が聞こえますか? 私は……テューア。
お願いします……どうか、あの方を……救ってください』
燃え盛る部屋の中、一人の騎士姿の青年がいた。
その周りには異形の姿のモノ……化物達の死体が転がっている。
彼は目の前の剣に手を伸ばすがそれを掴む事叶わず、そのまま力尽きるように倒れた。
口を動かしているがその声は聞こえない。
ただ、彼の想いの様なものが流れ込んでくるのを感じた。
大切な誰かに会いたい。
もう二度と会えない事への悲しみと後悔。
ここで終わってしまう事の悔しさ。
そして場面は変わる。
お城のような場所の中庭で先程の騎士と姫と思われる人物が楽しそうに話をしている。
「アルバート」「フィーリア姫」という単語は聞き取れるがそれ以外の言葉は何も聞こえない。
やはり同じように口は動いているのだがその部分の音声がないのである。
また場面は変わった。
アルバートと呼ばれた騎士がファルチェと呼ばれる騎士の女性と一緒に馬車に揺られていた。
ゆらゆらと揺れる馬車の上で彼はその騎士と談笑している。
しかし、やっぱりと言うべきか会話の内容は一切聞こえない。
二人の手には見慣れ無い文字の書かれた紙が握られていたが不思議と『最前線の砦へ行け』という内容が
書かれているという事はわかった。流石は夢といった所か。
再び場面は燃え盛る部屋に戻る。変わらず青年――アルバートは倒れている。
先程までの場面は彼の走馬灯だったのだろうか。
「ははは……ダメだ、力が入らない……僕は、こんなに弱かったのかな……?」
今度は音声が完全に聞こえる。弱々しげに笑う彼の辛そうな呼吸まではっきりと。
「どうしたら、よかったんだろう……がっ…ごふっ……」
むせ返って手で口を押さえる彼の手の平は真っ赤に染まっていた。
「はは……本格的に、終わりなのか……ふぅ……意外と落ち着いているものなんだな、もっと怖いのかと思った」
転がって天井を仰ぎ見る。その彼の頬を涙が伝った。
「あれ、どうし、て……かな……涙が、そうか……あの方に、……会えないから……かな……」
目を瞑るとアルバートは静かに呟く。
「申し訳ありません、フィーリ、ア姫さ、ま……貴女と、もう……僕は笑えそうに……ありま……せ、ん」
彼の最後の言葉と共に視界は炎に包まれ夢はそこで終わった。
――――目が覚めると体にびっしょりと汗をかいていた。見渡すとそれはいつもの寝子島の自分の部屋だ。
手を握っては開いてみる。動く。当たり前の事だが、それが安心するように感じるのは夢のせいだろうか。
ここ数日見る同じ夢……あれはどういう意味を持つのだろう。
そう思案していると、頭の中に声が響いてくる。さっきの夢の女性の声だ。
「聞こえますか? あなたには私の声が届いていますか?」
透明感を感じるような透き通ったと言えばいいだろうか、そういう声が直接頭に響いてくる。
しかし、声はすれどもその姿は見えない。
「ここ数日……夢を見せていました。早急にあの方を救ってください」
いやいや、ちょっと待て、はしょり過ぎにも程があるとツッコミを入れる。
今、溜め息が聞こえたのは気のせいだろうか……。
すると視界が一瞬白い光に包まれ、気が付くと見知らぬ白い部屋に降り立っていた。
目の前には五つの台座があり、その上に五種類の装備が浮かんでいる。これを選べと言う事なのだろう。
その一つを手に取ると眩い光と共に目の前に大きな扉が現れ、ゆっくりと開いた。意を決してその扉をくぐる。
再び視界は光に包まれ、次に気が付いた場所は……見た事のない世界であった。
お初の人もそうでない人もこんにちわ。ウケッキです。
今回は謎の人物、テューアによってファンタジーな異界に放り込まれた完全バトルな話となっています。
この作戦は多数の魔物との戦闘の為、連携と協力が重要となってきます。
ですので掲示板などで相談する事をお勧め致します。
世界に降り立った皆様には連絡用鉱石という物が所持品に追加されています。
これは持って念じる事で会話したことのある人物と離れた場所にいても話をすることができる品物です。
この世界では携帯電話と同じように幅広く普及しています。
余程の事がない限り、誰でも所持していると思ってOKです。
機能としては、通話のみしかできない携帯電話の様な物とお考えください。
また留守番電話のようにメッセージを30秒程度までなら5件ほどまで記録しておくことが可能です。
■異界について
寝子島とは本来交わる事のない場所にある世界です。
ここでは魔物と呼ばれる異形の怪物が歩き回り、人々はそれと時に戦いながら生活しています。
魔法と呼ばれるろっこんに似た力があり、体系化されていますが原理が違うのか才能なのか
それを教わっても使えるようになることはありません。
ゲームでもあるような自然豊かなファンタジー世界で、中世の様式の建物が存在しています。
ビルやコンビニ等といった近代的な建物や施設はありません。
■登場人物
・テューア
年齢:不明
性別:女性
職業:不明
性格:大人しい口調だが、はら黒。
・アルバート
年齢:17
性別:男性
職業:下級騎士
所属:一般兵、右翼部隊
性格:真面目。戦いになったら熱血漢。
戦術:装備は標準的なロングソード。型に囚われない柔軟な戦術を得意とする。
剣技は我流で魔法もそこそこに扱う。
・ファルチェ
年齢:20
性別:女性
職業:中級騎士
所属:騎馬兵、中央部隊
性格:適当。大雑把。戦闘狂。
戦術:装備は身の丈程もあるグレートソード。それを片手で振り回し、敵を薙ぎ倒す。
魔法については一切使用できない。
フィーリア
年齢:16
性別:女性
職業:姫
性格:明るく、誰にでも分け隔てなく接する。身分の違いを気にしない。
レナード
年齢:25
性別:女性
職業:大臣
性格:狡猾。目的の為ならば手段は選ばない。
:王国に使える大臣。彼女の家系は代々王国に使える大臣の家系である。
■砦について
砦は二階建ての石造りの大きな砦です。
強固な石の外壁がぐるりと砦を円形に囲み、外壁の各所には見張り塔が建てられています。
外壁の高さは砦一階よりは高く、二階には達しない程度の高さとなっています。
内部構造ですが一階中央に全兵士が集結、整列できるほどの広間。
広間の右手側には兵達の寝所、武器庫、訓練所等の兵士に関する部屋。
広間の左手側には戦闘兵器の弾薬、パーツの保管所や魔力障壁発動用の操作室、
門の開閉装置等の砦の設備に関する部屋があります。
また、広間右手には地下に降りる階段があり
その先には食堂、食料貯蔵庫を始めとした生活に必要な役割を持つ部屋があります。
二階は中央に作戦を指揮する司令室があり、隣接する廊下から外に出ることも可能です。
司令室外の二階屋外には長い射程を持つ連射式機械弓が備え付けられており、
そこから砦の正面の平野を狙う事が可能です。
また、屋外の中央には巨大な魔力圧縮砲が鎮座しています。
■戦場情報
時刻は昼で、天気は晴れ。風はそよ風程度です。
戦場となる砦正面の平野には石等がありますが身を隠す様なサイズの物はなく、
とても見通しのいい平野となっています。
最初は平野が戦場となりますが、戦況が悪化した場合、砦内まで押し込まれ、
天井も低く狭くて戦いにくい砦内が戦場となります。
■敵情報
・ゴブリン
配置部隊数:10 計150体
配置場所:魔物達の最前列に中央4部隊、右翼3部隊、左翼3部隊として横一列に並んでいる
:人間の子供ほどの大きさの魔物達の尖兵です。剣や弓、棍棒に簡素な鎧を纏い、群れで襲い掛かってきます。
知能がそこそこにあり、こずるい人間の様な思考を持っています。一体一体はそれほど強くはありません。
5体が横一列に並び、その後ろに二列が控えた計15体を一部隊としています。
・オーガ
配置部隊数:6 計30体
配置場所:ゴブリン部隊右翼、左翼のそれぞれ少し後方に3部隊ずつ横並びになっている。
:人より少し大きい筋肉の発達したゴブリンのような姿をしています。
ゴブリンと違い鎧の類は身に着けておらず、武器も持っていませんが筋力行かした高速移動と
腕力に物を言わせた強力な一撃に注意が必要です。知能は高くありません。
3体が前、2体が後方の計5体を一部隊としています。
・ガーゴイル
配置部隊数:6 計36体
配置場所:右翼、左翼のオーガ部隊側面に1部隊を前、2部隊を後ろの並びで3部隊ずつ配置、計6部隊
:長く鋭い槍やメイスで武装した悪魔のような姿を持つ翼の生えた魔物です。
大きさは基本的には人と同じですが個体差によって多少のばらつきがあります。
知能が高く、空中から魔法を放つ事もあるので注意が必要です。
4体が前、2体が後ろの計6体を一部隊としています。
・砲火獣アンフェール
配置部隊数:3体
配置場所:ゴブリン部隊中央に守られるようにして1体。右翼、左翼のオーガ部隊の後方に1体ずつ、計3体。
:長い砲身が体に融合したような民家ほどの大きさを持つ四足歩行の魔獣です。
砲身から火炎弾を発射し、離れた位置を砲撃します。動きは鈍重ですが、その巨体を生かした体当たりは
石の壁を崩してしまうほどに強力です。
・ブラックドラゴン
配置部隊数:1体
配置場所:中央に位置するキメラの後方に1体。
:砦と同サイズはあろうかというほどの巨大なドラゴンです。
ブラックドラゴンは知能が高く、敵の指揮を行っています。
もし倒す事が出来れば敵の指揮系統は崩壊し、他の魔物を倒す事が容易となるでしょう。
強力な炎のブレスに加え空を飛び、その巨体を生かした爪や尻尾の一撃も強力です。
上手く戦闘兵器を用いたり、共に戦う者達で作戦を立てれば勝機は充分にあります。
また人語を解しますが、説得に応じることはありません。
■敵進行ルート予測
これはあくまで魔物の進行を発見した兵からの報告を基に割り出された物です。
戦況によっては変化しますのでご注意ください。
ゴブリン部隊は中央の4部隊を残し、右翼、左翼が前面に少し出ている事から
ゴブリン部隊右翼3部隊、左翼3部隊が前進。
それに合わせてオーガ部隊が前進。キメラ3体の内、左右の2体も合わせて前進するものと思われます。
また空中のガーゴイル部隊はその高機動を生かし、戦場上空を一気に進行。
砦への直接攻撃を仕掛けて来るものと思われます。
戦いが後半に差し掛かる頃に、温存されていた中央のゴブリン部隊が前進。
それと同時にキメラとブラックドラゴンも前進する可能性が高いと思われます。
■味方情報・配置場所
これは司令官に誰も配置されなかった場合のデフォルトの配置です。
司令官、補佐官に選ばれた方の配置指示に応じて最終配置が決定されます。
特に指示がなかった場合もこのデフォルト配置となります。
・騎馬兵
配置部隊数:7 計112人
配置場所:中央3部隊、右翼2部隊、左翼2部隊として横一列に並んでいる。
:剣や馬上槍で武装し馬に乗った突撃兵達です。馬も人も鎧を身に着けている為、防御が高く、
ちょっとやそっとでは倒れません。中級騎士が一般騎馬兵を率いています。
横一列5人。背後に二列の計15人の一般騎馬兵と先頭に立つ中級騎士一人で一部隊としています。
また中央部隊にはファルチェがいます。
・一般兵
配置部隊数:7 計77人
配置場所:騎馬兵の背後に中央1部隊、右翼3部隊、左翼3部隊として横一列に並んでいる。
:軽鎧で武装し剣や盾、槍で武装した軽装の兵達です。騎馬兵ほど速度が出ない代わりに柔軟な動きが可能で、
特に乱戦となった場合に強いです。下級騎士が一般兵を率いています。
横一列5人。背後一列の計10人の一般兵と先頭に立つ下級騎士一人で一部隊としています。
また右翼部隊にアルバートがいます。
・魔法兵
配置部隊数:4 計36人
配置場所:剣兵の背後に中央2部隊、右翼1部隊、左翼1部隊として横一列に並んでいる。
:魔法の素養を持ち、魔法を扱える者で構成された部隊です。
総じて威力は高いのですが魔法には呪文の詠唱時間があり、連射は利きません。
更に重い装備ができないので防御はとても低くなっています。
横一列3人。背後に三列の9人として一部隊としています。特に指揮官はいません。
・弓兵
配置部隊数:3 計36人
配置場所:魔法兵の中央、右翼、左翼に追従する形でそれぞれに1部隊ずつ、計3部隊
:連射の利かない魔法兵に代わり、呪文詠唱時間を稼ぐ為の兵達です。
矢を連射し、魔法兵に敵を寄せ付けません。また、近接戦闘では体術とナイフを駆使し、
ゴブリン程度であれば十分に対処が可能です。
横一列4人。背後に二列の12人として一部隊としています。特に指揮官はいません。
■作戦配置
皆様は砦に呼ばれた傭兵として異界に降り立ちます。
砦は敵である魔物の軍勢の襲来を感知しており、慌ただしい状況です。
各自は作戦場所をサンプルアクションから選んでください。
配置場所で司令官を選んだ方の中から司令官が選ばれます。選ばれなかった人はその補佐官となります。
司令官は戦場全体に対する指揮が可能で、司令官の行動で大きく戦況が変わる重要な場所となっています。
主に全兵士への陣形の指示や、行動、引き際、大規模な戦術等様々な行動が可能となります。
また、武器庫に人が配置されている時に限り、戦闘兵器の使用指示が可能です。
補佐官は助言といった形で戦況に影響を与えることができます。
後方支援アクションに限り、サンプルアクションに記述された作戦場所以外での活動が可能です。
その場合は下記の場所が選択可能となります。
後方支援アクションの結果により戦闘開始時の状況が変わりますので、
掲示板等での相談をお勧め致します。
また、サンプルアクションや下記記述以外の場所での行動も内容が成功するに足りうる場合は
アクションが成功する可能性があります。
●食堂
:主におにぎりや団子等の兵糧を作成する事が可能です。
兵糧が制作される事で戦闘時の一般兵員の消耗度が変化します。
●武器庫
:戦闘兵器の準備が可能です。準備される事で戦闘時に戦闘兵器が使用可能となります。
『準備等で使用可能な戦闘兵器』
・魔力圧縮砲
:魔力を充填する事でビームやレーザーに似た光を直線的に放ちます。
高威力ですが、一発撃つたびに魔力充填、圧縮に十分程度の時間を要します。
・連射式機械弓
:大型の矢を機械の力で打ち出す兵器です。二連装となっており、一度の発射で二発発射します。
魔力圧縮砲と違い、矢さえあれば連射が可能です。
・魔力障壁
:魔力を用いて砦に魔法の障壁を展開し、魔物の侵入を防ぎます。
また魔物達の遠距離攻撃を防ぐことも可能です。
一度発動すれば耐久力がなくならない限り稼働し続けます。
■注意事項
シナリオ、アクションに関しての注意事項です。
司令官、補佐官を選ぶ方が誰もいなかった場合、無能な貴族の司令官が配置されます。
彼は兵に対し突撃のみを指示、戦況が不利となるとさっさと逃げてしまいますのでご注意ください。
また、戦闘系ではありますが『武術の達人なので』『霊媒体質なので』等の
ろっこんに関わらない設定に頼った戦闘用アクションの場合、アクションの成功確率は大きく下がります。
ただし、ろっこんを上手く活用していたり、成功するに足る具体的な理由づけが
しっかり行われていた場合は成功確率が上がる事があります。
また、戦闘系ではないろっこんの場合は持っているアイテムを駆使したり、
その場に『普通』あるであろう物を活用することでアクションは成功確率が上がります。
■テューアの贈り物
危険な世界に丸腰で放り込むのもとの事で、テューアから贈り物があります。
贈り物は下記から一つ選ぶ事が可能ですので、アクションにお役立てください。
・軽いショートソード
:力のない方でも簡単に扱う事の出来る刀剣です。包丁と同じ程度の重量しかありません。
大型の魔物はちょっと無理がありますが、小型の魔物ならば簡単に斬り裂くことができます。
ただし、持つだけで剣技が使える様になる等のお得効果はありませんのでご注意ください。
・重いロングソード
:かなりの力が無いと扱う事が難しい刀剣です。10㎏のお米と同程度の重量です。
小型は勿論、大型の魔物へもダメージを与えることができる優れ物。
重いのであえてその重量を生かす様に振り回すのも有かも知れません。
・魔法の杖
:簡単な炎、氷、雷の魔法を扱う事が可能な杖です。
使用には魔力の代わりに精神力を消費する為、使用すればするほど疲労します。
炎は小さな火球を発射し着弾と共に小さな爆発を起こします。
氷は小さな槍状の氷を放ちます。当たった所が少し氷結します。
雷は直線的に稲妻を放ちます。当たると少しの間痺れます。
・魔法の弓
:魔法の矢を放つ弓です。矢は存在せず、弓を引くことで光の矢が出現します。
勝手に相手に飛んでいく様な便利機能はありませんので、弓矢の素養がない場合は
命中率が下がります。
・回復の杖
:回復魔法を使用できる杖です。魔法の杖と同じく精神力を消耗する為、使うほどに疲労します。
一人回復するのが主な使い方ですが、頑張れば複数を一気に回復させることもできます。
その場合は、疲労も大きく一人一人の回復量が少なくなるのでご注意ください。