星ヶ丘ホースクラブは、初めての方でも気軽に見学や乗馬体験もできることで、人気のスポットだ。
レナ・フォルトゥスは、たまに自宅のポニーを連れてきていた。
「今日はシェトランドポニーのフラットを連れてきたわ」
馬が大好きなホースクラブの会員は、みんなそのかわいさに魅了されていた。
ホースクラブのオーナー
松田 晃正は、経営は現場の者に任せているため、めったにここには顔を出さない。
しかし今日は、事情が違った。
数多い友人知人の一人である木村某の孫娘、木村唯ちゃん(9)が遊びに来ていたのだ。大の馬好きではあるが、実際に見るのはこれが初めてだ。
まだ少し怖がっているが、そのうち慣れるだろう。
そのとき。
カアー、カアー!
どこからともなく一羽のカラスが舞い降りて、フラットに襲いかかった。怯えて逃げようとするフラット。うろたえる唯ちゃん。
──いかん!
このままでは唯ちゃんが、お馬さんを怖がってしまう!
白髪交じりのバーコードヘアーを夏の風にひるがえして、咄嗟に迎撃に向かう松田。
「あっちいけコラー!」
鬼の形相で怒鳴る松田。おおっと湧き上がる歓声。傍目には、一般参加者が孫娘をかばって頑張って奮闘しているように見えただろう。
しかし。
「お、おや? ま……前が見えない!」
松田は、視界を失った!
事件発生前後にあたりをうろついていたテオの話によれば、このカラスはもれいびのようだ。その能力は、
相手の視力を一時的に奪うこと。何やらクローネによって能力を強化されて、発動しやすくなっているらしかった。
このカラスの目的はただひとつ。クローネの酒のつまみに
馬刺しを献上すること……!
松田は視界を失うと同時に、冷静さも失ってしまった。
そして、ふらふら、よろよろと馬の後ろに歩いていき──
ヒヒーン!
「ぐわっ!?」
蹴られて後ろへ跳ね飛ばされてしまった。その瞬間──。
ぐきっ
不吉な音が聞こえた。
松田は、一瞬制止した後、ゆっくりと横向きに倒れ込んでいった。蹴られた拍子に、腰をやってしまったらしい。急に頑張りすぎたのも、良くなかったのだろう。
「唯ちゃん、馬だけは、お馬さんだけは嫌いにならないでおくれ……」
必死の言葉も届いたかどうか、泣き出してしまう唯ちゃんだった。
馬を愛する松田に代わってホースクラブの馬と唯ちゃんを守り、カラスをやっつけよう!
レナ・フォルトゥスさま、シナリオガイドへのご登場ありがとうございました。
参加を見合わせられる場合は、ポニーのフラットとともに厩舎に避難して難を逃れたことになります。
◆舞台
星ヶ丘ホースクラブです。
事件が起きたのは屋外で、馬は10頭ほど出ている状況です。
厩舎に馬を戻すこともできますが、カラスが厩舎に入ってくる可能性もあります。
フツウの乗馬クラブにありそうなものは、ある前提でアクションを書いて構いません。
ただし、専門的な用語などはなるべく控えてください。
◆時間帯
休日の日中です。
一般の方向けの見学体験コースを行っていたところなので、誰でもご自由に。
◆カラスの情報
名前:ピッツァ
性別:オス
ろっこん発動条件:対象を翼で包んで撫で撫でする。
※現在神魂エネルギー増強中につき、羽に少し触れただけで発動します。ズルい!
ろっこん能力:対象の視力を一時的に奪う。
あなたも危険ですが、馬も視力を奪われる可能性があります。
馬は繊細な動物なので、突然視力を失うと暴れる可能性があります。
カラスは賢い動物なので、ピッツァもカラスレベルで頭脳的に立ち回ります。
◆馬の情報
たくさんいます。
お好みで馬の名前などをアクションにご記入ください。
その馬がいる前提でリアクションに反映します。
◆NPC
今回は、クローネとテオは一切出てきません。
松田も基本的に出てきませんが、無事に解決したら最後に出てくるかもしれません。