日曜日の昼に近い時間帯、リビングに
卵城 秘月の姿があった。ダボッとした部屋着でソファーに座り、熱心にテレビを観ていた。
画面の中では大きな男達が一つのボールを奪い合い、コートの中を目まぐるしく走る。その中、味方の鋭いパスを一人が跳び上がって受け取り、そのままゴールポストに片手で叩き込んだ。
「ダンクシュートですね」
風呂から上がった
吉住 志桜里はラフなパンツルックで現れた。長い髪の乾き具合を気にしながら秘月の横に座った。
「ワンハンドダンクだ」
「両手なら?」
「ボスハンドダンクだ」
秘月は端的に答えた。映像に集中しているようで志桜里をチラリとも見ようとしない。それで気分を害することはなく、余裕の笑みで返礼とばかりに口ずさむ。
「
日曜日にテレビでバスケ観戦。日常的に一人でバスケ如何せん。エンジョイするならジャンプアウト。炎上するならドロップアウト。現状、二人ならドロップキック、しっかりきっちり決めようぜ」
「ラップか」
「二人で一緒に外出しませんか。良い天気ですよ」
「……悪くない」
秘月はリモコンでテレビの電源を切った。
その後、それぞれの部屋に戻って着替えを済ませる。よそ行きの格好となった二人は揃って靴を履き、視線を合わせた。
「行きましょう」
「行くか」
志桜里が扉を開けて共に一歩を踏み出した。
途端に歓声が沸き起こる。志桜里と秘月は驚きながらも目を輝かせた。
右半分はステージでマイクを握った若者が軽快な曲に乗って言葉を紡ぐ。左半分はバスケットボールのコートで二人の人物がゴールを奪い合う。どちらにも観客がいて熱狂的な声援を送った。
志桜里は曲に合わせるように身体を揺らす。
「いきなり燃える展開ですね」
「そうだな」
答えた秘月はゴールを決めた一人に向かって、よし、と小さな声で言った。
自然に志桜里の目が秘月へ流れる。
「秘ぃ、その姿は」
「どうした?」
問われて自身を見るとバスケットボールのユニフォーム姿になっていた。
「そういうことか。なるほど、しおぱん君の姿に納得した」
「私がどうと、確かに私らしいですね」
派手な刺繍が入ったスカジャンを見て酷薄な笑みを浮かべる。
気合を込めたハイタッチで二人は左右に分かれた。
今回のシナリオは「バレンタイン♥ファンタスティカ☆ イラストキャンペーン」で当選されました、
吉住 志桜里さんに相応しい内容になっています。
まずはご当選、おめでとうございます。ガイドへのご登場、卵城 秘月さんと共にありがとうございました。
早速、詳細に入りたいと思います。以下をご覧いただき、アクションの参考にしてください。
シナリオの舞台
大きな体育館を2分割にしたような空間が広がっています。
右半分はステージのあるMCバトル会場。左半分がバスケットボールコートになっています。
ドアや扉を利用(自宅のドア、店の扉など)して人々を取り込み、競技に相応しい姿へ一時的に変わります。
観客は例外で服装の変化はありません。その姿で競技に参加することができます。
この空間の時間の進み方は非常に緩やかで、1時間は現実世界の1秒になります。
1日限定の空間なので最長でも24秒の経過で済みます。
帰る時は入ってきた扉を使います。服装は元の状態に戻ります。
過ごした記憶は鮮明に残っています(アクションに書いていれば忘れることも可能です)。
MCバトル会場&1on1
|| MCバトル ||
マイクを使った即興のラップで対戦者(GA推奨)と遣り合います。
DJ不在の状態で曲が流れます(アクションで曲調を指定できます。アップテンポ、バラードなど)。
審査員がいない為、勝敗は観客の拍手の多さで決まります(アクションで宣言、またはマスターの判定)。
ラップは全体的な流れで表現します(心情を語る、GAで対戦者を攻撃など)。
パンチの効いた一文を用意すると描写が増えて、華麗なアレンジが加わる確率が高まります。
|| 1on1 ||
オフェンスとディフェンスに分かれてゴールを狙います(ハーフコート)。
オフェンスがゴールを決めますと現状維持。連続で入ればストレートで勝つことも可能です(GA推奨)。
逆に失敗しますとディフェンスとオフェンスが入れ代わって競技がスタートします。
基本としてバスケットボールのルールに準拠しますが、少し荒い程度のプレイは反則を取られません。
勝利条件は5点先取になります。今回の特別ルールとしてゴールは全て1点として計算します。
※自由枠として扉を潜った先がPCにとって戦いとなる場面であれば採用します(ダイエット、勉強、告白など)。
その他の細かい仕様
広い空間を活かしたドリンクサーバーがあります。紙コップも充実(アクションで飲み物を指定できます)。
糖分補給に焼き菓子やシュークリームを提供。長テーブルに誰でも取れるように整然と並べられています。
バレンタインにちなんだマシュマロにチョコレートを掛けたものもあります(イラスト参照)。
もちろんアクションで食べ物の種類やジュースの種類を増やすこともできます(酒類は不可とします)。
説明は以上になります。
不思議な空間で熱いバトル展開が待っています、たぶん。
勝敗はあまり考えないで、自分のしたいことを優先して楽しんでください。
競技のルールなんて、所詮、添え物みたいなものなのです(無茶振りは程々でお願いします)!