寝子島高校に待望の昼がきた。
教室を飛び出した生徒達は、一路、購買室やカフェテラスを目指す。2学期、最後の争奪戦とあって気合の入り方が尋常ではなかった。全員が全力の走りを見せた。
残った者達は机を寄せ合い、持参したお弁当を食べながら会話を楽しむ。予定している旅行先の話などで大いに盛り上がった。
そこに校内放送が割って入る。
『あー、テステス。今日もののこはかわいい。それは必要ないって? そうだね、本題に入るよ』
声の主、
野々 ととおは理事長である。生徒達は続きを待つように耳を澄ました。
『明日は2学期の終業式だよ。大体の流れはわかっていると思う。その後で生徒のみんなが泣いて喜ぶ企画を考えてみたんだよね』
にわかに教室がざわつく。
1学期の終業式を思い出す者が多数いた。危うく夏休みが無くなるところだった。
悪夢の再現となるのだろうか。誰もが緊張した面持ちで食べる手を止めた。
『寝子島高校の先生達の協力を得て、【
能力向上テスト】を開催するよー。先生によって課題が違うんだけど、どれもがホットで遣り甲斐は保証付きだよ』
その内容に大半の生徒が胸を撫で下ろす。至って普通で恐れるようなペナルティは含まれていなかった。
再び、賑やかな状態へと戻っていく。他の場所でも同じような展開となった。
しかし、ととおの話は終わっていなかった。
『言い忘れていたんだけど、先生達の課題を誰もクリアできない時はだね~。
冬休みは廃止になるんだよ。楽しい学校生活が長く続く素晴らしい企画に、絶賛の声が聞こえてくるようだよ。それじゃあ、よろしくね☆』
校内放送の終わりに爆弾発言が飛び出した。生徒達は全員、怒りを露わにした。
「1学期と同じ最悪のパターンじゃねぇか!」
「泣いて叫ぶ企画だろ、これは……」
「もう、なんなのよ。ホント、意味不明」
混乱を極める中、3年3組の
三ヶ島 葵はニヤニヤと笑っていた。イチゴオーレの紙パックのストローを咥えて吸い込む。
首から下げたデジタルカメラを手で弄りながら思考を巡らせているようだった。
――楽しそうな終業式になりそうだねー。
一気に吸い上げて紙パックの側面がペコンと凹んだ。
「ただいまだよー」
下宿先に帰ると、家主である
ロザリー・マルリアーヴがおっとりした様子で出迎えた。
葵は早々に今日の出来事を伝える。寝子島高校の卒業生でもあるロザリーは夏休みに続き、冬休みの廃止の話を耳にした。
「あらあら、今回も大変なのねぇ」
心配を口にしながら、にこやかな笑顔を作る。
――屋敷の掃除をしっかりしてくれれば、どちらでもいいわ。
その頃、寝子島高校の理事長室ではととおが満足げな笑みを浮かべていた。
「今回も
優秀な秘書のおかげで上手くいきそうだよ」
「わたしにどーんとまかせちゃえば、あんしんだね!」
ふわふわと宙を漂う
餅々 きなこは無邪気な笑顔を見せた。
今年の終業式も
波乱含みとなった。
生徒達の冬休みを賭けた戦いが静かに始まる。
2学期の終業式は、またまた急展開を見せる感じになりました。
相変わらずの無茶ぶりに生徒達は、ある意味、激しく燃えています。
詳細を語る前に三ヶ島 葵さん、ロザリー・マルリアーヴさん、シナリオガイドへのご登場、ありがとうございました。
当シナリオへ参加される場合、シナリオガイドに縛られず、自由にアクションを綴ってください。
それでは以下の説明をご覧になってください。
概要
世間知らずの理事長らしい発言の裏には、あのお騒がせ幽霊秘書がいました。
どちらも本気度マックスなので、怒りを原動力に変えて今回も困難を乗り切りましょう。
終業式のあとに行われる『能力向上テスト』では、先生達が生徒達に課題を与えます。
1つでもクリアした者が出ると、講堂で称賛を浴びて冬休みを勝ち取ることができます。
逆に1人も成功者がいない場合、冬休みは廃止になります。
学校生活が長くなり、学力向上に繋がって万々歳、と思ってしまうと理事長の掌で踊ることになります。
断固拒否する姿勢で出される課題を突破しましょう。
もちろん、このような騒動に巻き込まれず、本来の終業式を受けることも可能です。
穏やかな気持ちで終業式に臨み、ホームルームのあとの1日を自由に過ごします。
お気に入りのNPCやXキャラとの関係を深めるシーンに力を入れてもいいでしょう。
寝子島高校の生徒でなくても、後述の『A、Bコース』には参加ができます。
在校生が桁外れに多いこともあって先生達も全ての生徒を把握していません(神魂の影響?)。
『A、Bコース』の両方に参加することはできません。どちらか一方に決めてください。
Aコースは課題の種類が多いこともあり、全てを選択しますと描写が極端に薄くなります。
2つくらいを目途に選んだ方がいいでしょう(強制ではありません)。
※回数制限を設けていないので、体力が尽きるまで挑戦できます。
【Aコース】能力向上テスト
当日になるまで具体的な内容は知らされていません。見聞きしてすぐに理解できる仕様になっています。
多くの生徒が参加することもあって、ろっこんの効き目はよくありません。
肉体強化などのろっこんは、最悪、発動しない場合があります。
PCに適した内容を選ぶことがクリアの秘訣となるでしょう。
※内容によって救済措置があります。気軽にチャレンジしてください。
1:吉田 熊吉の米俵徒競走
米俵を抱えた状態で第1グラウンドを1周します。
米俵の重さは30キロになります。男子は単独で1周しなければいけません(落とすとやり直しになります)。
女子は救済措置として複数で持つことができます。奮ってご参加ください。
2:牛瀬 巧のミット打ち
武道場の1階、ボクシングのリングで行われます。
女子は8オンスのグローブを使います。男子は少し重い10オンスになります。
牛瀬先生のミットを狙ってパンチを打ちます。たまに攻撃をしてくるので躱して次のパンチに備えましょう。
クリア条件は牛瀬先生の気分次第になります(長引くと面倒になって……)。
とても緩い感じの内容なので女子にもオススメです!
3:高野 有紀のスリーポイント
体育館で行います。高野先生はバスケットボール部の顧問を務めていますが、
投げ方について指摘することはありません。挑戦者の体格や性別を見て投げる位置を変えるようです。
傾向として女子は距離が短く(スリーポイントの範囲)、男子は長めの距離を指示します。
運動が苦手な挑戦者であっても繰り返し挑戦すれば、クリアできるかもしれません。
4:浅井 幸太のPK合戦
第1グラウンドでPK戦の勝負となります。浅井先生は大学の時、サッカーと陸上をしていた関係で強敵です。
最初に生徒がキッカーとして五本のシュートを打ちます。浅井先生はキーパーとして立ちはだかります。
最後は浅井先生の番で同じようにシュートを打ち、多くゴールに入れた方が勝者となります。
【Bコース】通常の終業式とホームルーム
こちらは【Aコース】の前に行われます。その為、冬休みを賭けた勝負の結果を知ることはできません。
知る方法を挙げますと【Bコース】の終了後、【Aコース】に参加しない状態で観戦していたり、
友人知人のメールや電話などで間接的に情報を得ることができます。
リアクションの描写を希望する場合のみ、その旨をアクションで簡潔に書いてください。
☆終業式
終業式は粛々と行われます。生徒による恒例のスピーチの内容で、多少の変化は起こるかもしれません。
しみじみと2学期にあったことを想い出してもいいでしょう。3年生は卒業後のことを考えるかもしれません。
会場は寝子島高校の講堂になります。一階にイスを並べて終業式に臨みます。
以下に「終業式の流れ」を書いておきます。アクションの参考にしてください。
<終業式の流れ>
・教頭による開式の辞
・理事長の話
・校長の話(長い)
・生徒によるスピーチ
・校歌斉唱
・教頭による閉式の辞
生徒によるスピーチはマイクで行われます。自ら望んで挙手すると先生がマイクを渡してくれます。
強引に押し付けられることもあります。PCによっては軽いパニックになることも。
スピーチの内容は多岐に渡ります。2学期の思い出、今後の予定、新しい挑戦など、
自由にアクションを書いてください。あまり羽目を外すと、このバカタコがっ! と吉田先生に怒られますが。
☆ホームルーム
終業式のあとに各教室でホームルームが行われます。
担任の先生が冬休みの過ごし方について話をされます。内容は先生によって変わります。
通知表の受け渡しは最後になります。先生や生徒の性格などによって様々な反応があるでしょう。
例:通知表を見せびらかして自慢する、成績を目にした瞬間に青ざめる、平静を装って内心でガッツポーズなど。
通知表は各教科5段階です。
その評価の内容はプレイヤーさんが自由に決めてアクションに書いてください。一部だけでも構いません。
例:オール2、英語は5でそれ以外は1、英数国は3で他は4、体育が5で他は1など。
※期末テストシナリオの結果はこちらのシナリオでは反映されません。
アクションに書かれた内容で描写します。ご了承ください。
NPC&Xキャラ
登録済みのNPC、特定のマスターが扱うキャラクター、その場に適していれば誰でも登場が可能です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人を合わせて「1人分」の描写になります。無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるように書いてください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければこちらで対応します。
長くなりましたが説明は以上になります。
本シナリオはコミカルとシリアスが仲よく同居しています。
どのようなPCであっても楽しめる内容になっていると、自負しまくりなのです。
ご参加を心からお待ちしています(シナリオ不参加でも生徒は全員、参加していることになるのですが……)!