シナリオ「ヒカリの雨の降る街で」

ヒカリの雨の降る街で

　寝子歴×××年。
　寝子島には、ヒカリの雨が降る。空は青く曇り、蛍光ペンキのように輝く雨が旧市街を、シーサイドタウンを、星ヶ丘を覆ってゆく。
　強すぎるヒカリは、人体を侵すのだ。浴びればたちまちヒカリと同化し、自我も個もない発光体と化してしまう。
　この数年、雨が止んだことはない。
　街はヒカリに満ち満ちて、人びとは遮光された黒い衣服や傘で身を守り、ひっそりと閉じこもりながら生き長らえていた。

「……どう？　修君」
「だめだな。これもカケラだ」

　その日、八神修は七夜あおいを連れ、シーサイドタウンの中心部を捜索していた。
　仲間の一人がこのあたりで、タイヨウを見た、という報告を受けてのことだ。

「タイヨウのコアさえ見つかれば……」
　ヒカリの雨が降り始める前、タイヨウはまだ空にあった。
　しかし、どこからか現れたヒカリによって砕かれ、地に堕ちてしまった。
　人びとは核を成すタイヨウのコアを探しているが、見つかるのは小さく弱々しいカケラばかりだ。

　だが。
「！　見て、あれ！」
　今では人波も見えない無人のシーサイドタウン駅前広場。
　そこに集うのは、かつて人だった発光体たち。ヒカリの強さに染まり、影も残らないほどに個性を消し飛ばされた彼らは常に、今も地上に残る影……すなわち人類の全てを消し去るべく徘徊している。

　そんな発光体たちの集まる空間の中央に、ぼんやりと、しかし確かにあたたかく、力強い輝きがあった。
「コアだわ……！　ついに見つけた！」
　ヒカリの満ちる空の暗く灯すような明かりにも負けず、タイヨウのコアはそこに在った。

「……あおい。応援を呼んでくれ、今すぐに」
「う、うん！」

　修は影色のフードを深くかぶると、その奥に光る瞳に強い意思を宿らせ、雨に打たれながらもコアを見据えつぶやいた。

「絶対に、手に入れるぞ……！」

　ヒカリの雨は、上がるだろうか？

運営部より

こちらは、Light and shadow キャンペーンのプレゼントシナリオです。
八神修さまは、参加が確定しています。おめでとうございます！

このシナリオへの参加申し込みは、どなたでも可能です。
キャンペーンへの参加は関係ありませんので、お気軽にご参加ください。

【追記】３月８日
大変お待たせしておりまして、誠に申し訳ございません。
都合により、本シナリオの担当は浅野悠希マスターに変更させていただきます。
リアクションの公開は、３月中を予定しております。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

浅野悠希／津軽無色

マスターコメント

　津軽無色です。

　八神修さん、イラストキャンペーンのご当選、おめでとうございます。
　ご自由にアクションをお書きになってお楽しみください。

　概要

　タイヨウが砕かれ、暗いヒカリに満ちた雨が降る、未来の寝子島が舞台。
　人間がヒカリにさらされると、自らもヒカリになってしまいます。
　ヒカリとなった人間は発光体と呼ばれ、彼らもまたヒカリを放ち、人間を同化しようとします。

　彼らはヒカリの差さない場所には立ち入れないという制約もまた持ち合わせています。
　そのため寝子島の人間たちが外を出歩くには、
　高いヒカリを遮る黒いコートや帽子、傘などの遮光装備で防護し、
　ヒカリの差さない、影の落ちる場所を通る必要があります。

　ヒカリの雨を晴らすには、タイヨウのコアが必要である、とされています。
　人間たちは長年それを探し求め、危険な外界の探索を繰り返してきましたが、
　見つけることはできず、このままでは全ての人間がヒカリと化してしまうでしょう。

　そしてついに、彼らはタイヨウのコアを見つけました。
　場所はかつてのシーサイドタウン駅前。
　多くの発光体が集まるこの場所で、中央のコアへたどりつくためには、
　地面に影を落とし、影の道を作らねばなりません。

　あなたもまたこれまで生き延びてきた、寝子島の生き残りの一人です。
　タイヨウのコア奪還作戦に参加し、人類の手に光を取り戻してください。

　＜ヒカリの雨＞
　暗く輝く蛍光ペンキのような雨。
　放つヒカリに長くさらされると、ヒカリに染まり、発光体となってしまう。

　＜発光体＞
　全身が光でできたような、人型のヒカリ。元は人間であったようです。
　質量を持ち、人間を見つけると掴みかかってきて、怪力で遮光装備をはがし、
　自らの帯びたヒカリを浴びせかけてきます。
　その光量は雨の比ではなく、浴びればまたたく間に同化してしまいます。
　ヒカリの差さない影の中に立ち入ることはできません。

　＜タイヨウのコア＞
　詳細は不明ですが、砕かれた太陽の中心の核であった物体とされています。
　これを手に入れることで、ヒカリの雨を晴らすことができると言われています。

　＜状況＞
　シーサイドタウン駅前の開けた空間に、多数の発光体がうろめき、
　中央にタイヨウのコアと思われる物体があります。
　発光体はコアに近づくことはできないようです。

　周辺にある遮蔽物は、噴水、街路樹、バス停など。
　駅構内へ侵入することができれば、コアへ接近しやすくなるかもしれません。

　発光体が入り込めない、影の道を作ることができれば、コアへたどりつくことができるでしょう。
　ただし、発光体の接近を許せば、抵抗する間もなくヒカリを浴びせられ、
　発光体となり仲間たちの敵となってしまうでしょう。

　ＮＰＣについて

　登録済みのＮＰＣなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。

　Ｘイラストのキャラクターを描写する場合、
　ＰＣとＸキャラの２人あわせて「１人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。

　※Ｘキャラだけで１人分の描写とすることも可能です。
　　その場合は、ＰＣさん自身は描写がなく、Ｘキャラだけが描写されます。
　　Ｘキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。

　※Ｘキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
　　Ｘキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのＵＲＬだけ書いていただければ大丈夫です。

　以上になります。
　どなたでも、お気軽にどうぞ。

　ご参加お待ちいたしております。

サンプルアクション（1）