辛い記憶を忘れてしまいたい。すべてをやり直したい。
そのような悩みを抱える人の前に現れ、今、自分の頭の中にある記憶と交換し、記憶を消してくれる。
反対に、どうしても思い出すことができない記憶を、手持ちの記憶との対価で思い出させてくれる。
ありありと、先程まで体験していたような鮮明さで。
そんな質屋があるとか、ないとか。
寝子高から帰る途中の
光村 日向の足取りは重かった。
「今日は嫌なことばっかりだったな……」
登校中、野良犬に追いかけられ、噛み付かれそうになった。
学食でお昼を、と思ったら財布の中身がカラッポだったので友達にお金を借りた。
その他にも、不運な出来事が立て続けに。
「嫌なこと全部、綺麗さっぱり忘れてしまいたいよ……」
そう呟きながらとぼとぼと歩いていると、おつかい途中の
光村 千恵に会った。
「お兄ちゃん、おかえり。私、今からおつかいに行くんだけど付き合ってくれない?」
気分転換になるかも、と日向は千恵に付き合うことに。
何を買うんだ? と聞くと、千恵は持っているエコバッグに手を入れ、財布を取り出す。
財布を開け、中を覗くと困った顔に。
「どうしたんだ?」
「お財布に入れたはずの買い物メモがないの……」
買ってきて欲しいものを書き留めたメモ用紙を入れ忘れてしまったようだ。
何を買えばいいのか思い出せないので、千恵は少し泣きそうに。
どうしようか……と顔を見合わせた二人の前に、突如として見慣れない建物が現れた。
古びた雑貨屋のような雰囲気の外観の建物が、なぜ、急にここに?
怪しいと思ったが、二人は吸い寄せられるように古びた木製のドアを開け、建物の中へ。
ドアに備え付けられたベルが鳴ると、奥から誰かが出てきた。
「客か? いらっしゃい」
声と外見だけでは性別、年齢が判別し難い店員らしき人物は、面倒くさそうに挨拶を。
「あの、このお店……」
突如として現れたかのような店のことが気になったので聞いてみた。
「ここかい? 記憶を買い取る質屋だよ。お望みとあらば、どんな記憶でも買い取ることができるよ」
日向の思考を読んだかのように、即座にそう答えた。自分はこの店の店長だと付け加えて。
「記憶を買い取る?」
そんなお店があるなんて……と呆然とする。
「あんたらの目の前に、うちの店が現れたのが証拠だけど?」
店員はカウンター前にある古びたロッキングチェアに座り、店の説明を続ける。
「この店は何かを忘れたい。思い出したい記憶がある人にしか見えないんだよ」
試してみるかい? と店員がからかうように笑う。
「その話が本当なら僕の嫌な記憶を買い取ったり、妹の記憶を思い出させたりすることができるんですか?」
「できるよ」
興味深そうに思い出したい記憶を考えると、同等の価値をいただくことになるけど、と言われた。
記憶の買い取り、思い出させは金銭のやり取りではなく、記憶のやり取りだという。
売るのも買うのも対象が記憶、というのは少し怖い。
「記憶を消す、思い出すにしても頭の中にある記憶と交換だ。交換した記憶は二度と戻らない」
交換した記憶は二度と戻らない。
その一言に、日向と千恵はギョッとした。
今日あった嫌なことを忘れてしまいたい。忘れたことを思い出したい。
だが、それらを消すには対価として、何かの記憶を忘れてしまうことになる。
「どうするか、ゆっくり考えるんだね。記憶を売るも買うもあんたら次第だ」
ロッキングチェアを揺らし、古びた本を手にした店長がそう言う。
「記憶のやり取りだから物々交換みたいに気軽にできないよな。どうしよう……」
「何を買ってきてほしいのか思い出したいけど、どうしようかな……」
カターレです。
霊界☆ミーティング <霊界の謎を追え!>の目撃情報を基にしたシナリオガイドです。
光村 日向さん、光村 千恵さん、ガイドに登場してくださりありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてください。
概要
突如として現れた質屋でのやり取りです。
出現場所は不特定なので寝子島、星幽塔、霊界、どこにでも現れます。
「あなたの記憶、買い取ります」というキャッチコピーの通り、質屋は記憶を買い取ります。
買い取ってもらえる記憶は今、自分の頭の中にあるもの限定です。
頭の中にある記憶なら、どのようなものでも買い取ってもらえます。
どうしても思い出すことができない記憶は、手持ちの記憶と交換で思い出すことができます。
買い取り、思い出し。どちらを選んでも、頭の中にある記憶は失われます。
【追記】10月8日
キャラクターAとキャラクターBが参加した際、Aの記憶を買い取ってもらいBが自分の記憶を思い出す対価にする。
Bの記憶を買い取ってもらい、Aが自分の記憶を思い出す対価にするということも可能です。
双方合意のうえで、このやり取りは成立します。
アクションに書いてほしいこと
質屋が出現する場所と時間(例:早朝の寝子島駅前)
買い取ってほしい記憶、あるいは思い出したい記憶は何か。
買い取り、思い出しのどちらかをお選びください。
両方選択も可能ですが、その場合、頭の中の記憶がふたつ失われることになります。
頭の中にある記憶であれば、どのようなものでも交換対象となります。
嫌な記憶に対して嫌な記憶を対価に、といったこともできます。
・好きな子の前で大恥かいたこと忘れたい。学校で表彰されたことと引き換えで。
・忘れてしまった大好きな歌の歌詞を思い出したい。寝子高校歌の歌詞と交換でもいい?
・子供の頃に好きだったアニメの最終回思い出したい。推しのアニメキャラ忘れてもいいから!!
……など。
NPCについて
登録済み、未登録問わずNPCは登場不可です。
・店長
突如として現れた記憶を買い取る質屋の店長。
性別、年齢不詳。ひとなのか、ほしびとなのか、あやかしなのかも不明。
ぶっきらぼうだが、来店した客には挨拶をしたり会話を振ったりする。
記憶を買い取る、思い出させる際には額に手を当てる、頭を撫でるといったことをします。
他にも体のどこかに触れる。記憶に縁が深い物に触れる、といった行動を取ることも。
場合によってはハグしたり、プロレス技をかけることもあるとか、ないとか。
買い取り、思い出させの方法は客の要望と店長の気分次第なので定まった方法はないようです。
どのような方法で買い取る、あるいは思い出すかはお客様であるあなた次第です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
以上です。皆様のご参加、お待ちしております。