シナリオ「シネマカフェ『クランク・イン』 幕間の二」

シネマカフェ『クランク・イン』　幕間の二

「ふおおーーーッ☆」
　あたりは暗い夜の湖のほとり。目ェきらっきらさせてる、嬉野エマ。
　とは裏腹に、水上桜ははふぅとため息を隠しません。
「見てください、この湖！　この光景！　あれ！　あの映画のワンシーン！　ほらあのなんて言いましたっけ、殺人鬼がぐおーっときてがーっとくるあの映画の！　なんて言いましたっけあれ！　あの映画に間違いありませんわー！！」
「まァァァーーーた、フツウか……ッッ」

※内なる怒りに耐えるあまり笑顔になってしまう桜さん
　シーサイドタウンに店を構える映画喫茶、シネマカフェ『クランク・イン』。
　今夜はその客を集め、ホラー映画鑑賞会なるプチイベントが行われておりました。残り少ない夏を最後まで満喫しようとアルバイト店員の片われ、嬉野七海が主催したまだまだ残暑きびしい夜におくる納涼企画……と、そんなカンジだったはずなのですけれど。
　参加者が珠玉のホラー映画を３本も観終わったところで、異変は起こりました。

「つまり私たちは、映画の世界に入り込んでしまった。というわけね？」
「そーみたいですわねー。んもー、なんて素敵な夢でしょう！」

　映画鑑賞中に寝入ってしまった自分が見ている夢、なんて思っているらしいエマはあっけらかんと言いますけれど、桜にはこの後の展開が容易に予想がつきましたから、思わず頭を振ってため息をもう一発。はふぅ。
　ふたりのまわりにはほかの参加者も何人かおり、そろって奇妙な現象へ巻き込まれてしまったようです。

「要するに、私たちが殺人鬼に追われたり殺される側ってことじゃないの……」
「まあ夢ですし、それもイッキョーですわね！　むっふふー」
「ただの夢ならいいんだけどねえ」

　なんつってるうちに、ほーら出た出た。
　でんでんででん、ででででん！
　野球のキャッチャーマスクをかぶり大ナタを握り込んだムキムキの巨漢が、湖の向こうから彼らを見つめています。

「うわぁ、ちょっとこっちに来るわよ！？」
「えーとこういう時、あの映画ではどうするんでしたっけ？　どこかに武器になるようなものが……」

　と、その時。
　ぱぁん！　ぱぱぱぱん！
「ひっ……！？」
「え？　ちょっと、どうしたの？」
　風に乗って、遠くのどこかから届いた音は、銃声でしょうか？
　先ほどまで楽しむ気マンマンであったエマが、びくりと肩をすくませ、桜の首にがっしとしがみついています。肩はぷるぷると震えて、まるでおびえる小動物のよう。

「大丈夫？」
「も、もー銃撃はやみましたか？　安全ですか？　あの音はダメなんですぅ……ひぃぃ～」

　そうこうするうちキャッチャーマスクの巨漢、てゆーかどう見ても殺人鬼は湖を回り込んでずんずんずん、こちらへ向かって一直線です。

「とにかく……こうなったら、やるしかない！」

　たのしい映画鑑賞が一転、恐怖映画の世界へ放り込まれた彼ら。
　はたして無事、脱出することができるでしょうか……！？

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

墨谷幽

マスターコメント

　墨谷幽です。
　シネマカフェ関連シナリオ、幕間のその２です。よろしくお願いいたします～。
　お店の常連さんはもちろん、初見の方も、映画好きな方もそうでない方でも大歓迎です。
　どなたでもお気軽にどうぞ！

　水上桜さん、ガイドへご登場いただきありがとうございました！
　ご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、自由にアクションをおかけくださいませ～。

このシナリオの概要

　突然ですがあなたは、映画の世界へとらわれてしまいました！
　皆さんはシネマカフェ『クランク・イン』で夜通しのホラー映画鑑賞会に参加していたのかもしれませんし、
　自宅や自室で就寝中に、あるいは夜勤中などに、脈絡なくこの現象に巻き込まれてしまったのかもしれません。

　この世界には５つのエリアがあり、それぞれにモチーフとなる映画に登場した風景や、
　襲ってくる怪物や怪人、その他の脅威などが再現されています。
　それらを撃退したり、隠れてやり過ごしたり、映画で活躍したあのアイテムを活用したり、
　必死に逃げたりして、恐怖の世界を生き延びてください。
　もちろんろっこん、特殊能力などを駆使するのもアリ。

　５つの世界でクリア条件を満たせば、現実世界へ帰還することができるでしょう。
　帰還できなかったら……どうなるのかな？
　ともかく、頑張って！

アクションでできること

　今回は基本的に、参加者と嬉野エマがいっしょに行動しつつ、各エリアを巡ります。
　（状況に応じて一時的な単独行動などはアリ）
　以下の中から、特に活躍したいエリアを１～２つ程度お選びください。

　エリア内には、クリアに活用できそうなアイテム、地形やギミック、
　助っ人となるモブキャラクターなどが存在します。自由に指定してＯＫ。

　ちなみに各エリアには、参加者以外にエキストラっぽい人々もおり、
　殺人鬼やモンスターの犠牲になってお話を盛り上げてくれたりします。合掌。

　＜５つのエリア＞

　　◆１：マーダー・レイクサイド
　　　モチーフになっている映画：『１６日の日曜日』『旧市街の悪夢』

　　　舞台は湖のほとりに建つキャビンと、近隣の田舎町。
　　　探せばなにか武器が見つかるかも。

　　　キャッチャーマスクの巨漢メイソンは、不死身の肉体と大きな鉈が武器。
　　　神出鬼没の殺人鬼ブロディは、夢の中から突如現実へ現れ、鋭い爪状の凶器で襲いかかります。

　　　両者を撃退し、町の奥にある門を抜ければクリア。

　　◆２：フロム・アウタースペース
　　　モチーフになっている映画：『プレデニャー』『ネコリアン』

　　　墜落した宇宙船内部。未知のテクノロジーがたくさん。
　　　ビームガンなど未来兵器が落ちているほか、宇宙船の設備を操作することも可能。

　　　プレデニャーは多彩な武器を操る、屈強で俊敏な宇宙の狩人。
　　　ネコリアンは群れで襲いかかり、人体を媒介にして増殖する。

　　　宇宙船深部に巣食うクイーン・ネコリアンを撃破できればクリア。

　　◆３：ミスティック・ネイチャー
　　　モチーフになっている映画：『イントゥ・ザ・ハリケーン』『ニャンテズ・ピーク』

　　　風光明媚な海辺の坂の街。その周辺に広がる荒野。
　　　大災害に見舞われ、崩壊してゆく街からの脱出を目指す。

　　　風速８０メートルを超える超巨大竜巻に、建物も車も空へ巻き上げられてゆく。
　　　地震によって地面は割れ、亀裂からはマグマが噴き出し流れ出す。

　　　無事な車両を手に入れ、街を脱出し、荒野の向こうへ走り去ればクリア。

　　◆４：ゾーン・オブ・ザ・デッド
　　　モチーフになっている映画：『サイコ・ハザード』『ゾーン・オブ・ザ・デッド』

　　　二階建ての洋館。豪奢で小奇麗だが人気はなく、血痕や死体が散逸する。
　　　地下には広大な謎の実験施設が広がっている。

　　　死体にはゾンビがまぎれている。動きは遅いが力の強いタイプ、俊敏に走るタイプなど。
　　　地下施設には犬型、鳥型、触手型、獣人型などの生体兵器がうろめいている。

　　　地下深部のジェネレーターに爆薬を仕掛け、時間内に館を脱出すればクリア。

　　◆５：ホーリー・バトルグラウンド
　　　モチーフになっている映画：『フルメタル・バレット』『ブラックタイガー・ダウン』

　　　戦場で銃口を向けられるのもまた、映画のもたらす恐怖の形。
　　　乗り込んだヘリが落下したのは、戦争により荒廃した街の廃墟。

　　　四方八方から浴びせられる銃弾をかいくぐり、遮蔽物に身を隠しながら進む。
　　　暗闇にまぎれた敵兵の姿は見えないものの、銃を手にとり撃ち返せば、
　　　しばらく時間を稼げそう。

　　　丘の上のレスキューポイントに到達し、発煙筒で合図。
　　　救援のヘリコプターが到着するまで守りきればクリア。

ＮＰＣについて

　○嬉野エマ
　　フロア担当の妹。不器用、ドジ、要領悪しなポンコツながら、明るく元気で愛想良し。
　　映画の世界に興奮。張り切って皆さんを先導しようとしていますが、あんまりお役には立ちません。
　　銃声がトラウマなようです。驚いて身がすくみ、動けなくなってしまいます。

　○嬉野七海
　　キッチン担当の兄。無表情で不愛想、めんどくさがりですが、調理の腕は確かなようです。
　　彼は現象に巻き込まれなかった様子。現実世界で映画を見ています。
　　見事生還を果たしたあかつきには、彼の淹れるコーヒーで一服するのも良いでしょう。

　その他のＮＰＣも、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
　また、墨谷のシナリオに登場したＮＰＣでしたら、登録・未登録問わず登場ＯＫです。
　ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。

　以上になります。
　ご参加をお待ちしております～！