シナリオ「爽やかな夏の風が吹き渡る」

爽やかな夏の風が吹き渡る

　日曜日、空は海と同じで青く輝いている。吹き付ける風は暖かく、通りを歩く人々はTシャツや黒いランニングを着ていた。
　シーサイドタウンの車道を一台の自転車が走る。サドルに跨った夏風遥は力強くペダルを踏み込んだ。長い黒髪は風を孕んでふわりと膨らむ。
「最高の天気だね」
　水色の瞳を空に向ける。すぐに視線を下ろして前カゴを見た。お気に入りの一冊に目を細める。

「今日は何があるのかな？」
　右手の海に横目をやる。陽光の粒が海面を滑るようにして光っていた。
「いつもの海に見えても、いつもとは違うんだよ」
　向かい風を笑顔で受ける。真っすぐな瞳はずっと先を見ていた。ペダルを漕ぐ脚に力が入る。
「何が起こるかわからない、そんな今日が好きだよ！」

　青い空と海に見守られ、遥は夏の風のように自転車の速度を上げていった。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

黒羽カラス

マスターコメント

　今回は夏のように暑い一日を体験して貰います。五月には立夏があるので初夏と言えます。
　この前置きで納得していただけたことでしょう（にっこり）。

　夏風遥さん、ガイドにご登場いただきましてありがとうございました。
　本シナリオにご参加の場合、ガイドの内容に縛られず、自由に伸び伸びとアクションを綴ってください。

∞◎∞ 今回の舞台 ∞◎∞
　日曜日の寝子島。夏と変わらない暑さになります。
　アクションで希望すれば天候を変えられます（通り雨）。

∞◎∞ 出来ること ∞◎∞
　島内であればどこにでも自由に行けます（常識の範囲）。
　三箇所の場所を紹介します。アクションに迷った時の参考にしてください。

　寝子ヶ浜海岸
　焼肉『牛猫』が牛串ステーキの屋台を営業中。暑い時こそ、熱々のステーキでスタミナを付ける。
　汗を噴き出して食べたあとは冷たい海で身体をクールダウン。最高の一日になるはず。

　九夜山頂上展望台
　瞬間移動が得意なメリーさんがいて紐無しバンジージャンプが楽しめる？
　基本的に料金は取られないが底なしの胃袋の持ち主なので、おねだりをしてくる可能性が高い（大散財）。

　天宵川
　木々に囲まれた清流なので川遊びが可能。魚もいる為、川釣りを楽しむこともできる。
　夜はとても暗く、美しい満天の星を眺めて過ごすことも。密かなデートスポットとして人気を得ている。

∞◎∞ 　ＮＰＣ　 ∞◎∞
　本シナリオは、Ｘイラストのキャラクターも描写することが可能です。
　キャラクターの細かい口調等、アクションに書かれていれば反映させていただきます。
　Ｘキャラ図鑑の内容を伝えたい場合は「図鑑有り」の書き込みでお知らせください。

　説明は以上になります。あなたは暑い一日、どこで過ごしますか。
　日中だけではなくて夜も楽しめます。川のせせらぎを聞きながら二人で熱い時を……。
　暑くて熱い一日を、是非、楽しんでください。

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図: 社会人になったPCを少し子供に戻したような描写でお願いします。
キャラクターの目的・理由: この暑さを乗り切るには、出掛けるしかないな。
まだまだ俺も若いんだ。暑さを逆に楽しんでやる。
キャラクターの行動・手段: まだ二十代後半なのだが、この暑さには参った。
朝の時間帯なので気が引けるが、クーラーを使うか。リモコンで起動、しないだと！？
電池が切れているようだった。マジか。押し入れから扇風機を引っ張り出した。

「これは動くよな？」

スイッチを入れるとファンが回った。生温い風を送ってくる。どうにも気分がすっきりしない。

「出かけるか」

行く当てはないが、アパートで一人くすぶっているよりはマシだろう。
ポロシャツとスラックス。靴はスニーカーにするか。軽装で出かけた。
アイスクリームやカキ氷の幟が、やたらと目に付く。雨が降った時、コンビニに素早く置かれる傘みたいだ。商魂たくましくて何より。

旧市街を抜けて寝子ヶ浜海岸にやってきた。香ばしい匂いがする。朝食がまだだったことに気付いた。砂浜に屋台が出ていた。見ると牛串ステーキとある。朝から少し重いな。

とは言え空腹の胃袋には逆らえなかった。一本、試しに買ってみた。これが熱いんだ。でもタレが美味い。ニンニクの香りが食欲をそそる。汗を噴き出しながら一本を完食した。今のが醤油味か。塩はどうなのだろう。

もう一本追加した。もう汗だくだ。食べ終わった俺は猛然と砂浜を走って海に飛び込んだ。

サンプルアクション（2）

プレイヤーの目的・意図: 初々しい二人の姿を甘酸っぱく演出してください。
キャラクターの目的・理由: 彼と夜の天宵川に出かけることに。
ドキドキするような展開を期待して。
キャラクターの行動・手段: 初めてのデート。
長い髪を綺麗に結い上げて浴衣を着た。少し早いような気もするけど。

待ち合わせの場所は星ヶ丘教会。二人の未来を暗示しているわけじゃないけど、なんか照れる。
厚めの下駄を履いていくと、もう彼は来ていた。登山にいくみたいなベストに、リュックを背負っていた。

「そこの天宵川に行くだけなのに少し大袈裟すぎない？」

わたしの言葉に彼は笑った。そして右の頬を掻いた。彼が隠し事をする時の癖なんだけど、
知らない振りをする。サプライズの可能性もあるから。

彼は懐中電灯を使って先頭をいく。わたしは後から付いていった。道幅の狭いところでは彼が手を握って誘導してくれた。でも、バランスを崩してわたしは彼の胸の中に。
偶然なんだけど彼に抱き締められた。

「なんかドキドキするね」

その一言で彼は顔を赤くして離れてしまった。もう少し話を引っ張ればよかったかも。
そんな純情なところも好きなんだけどね。

わたし達は無事に川辺に着いた。彼はリュックを下ろし、中からいろいろな物を出した。虫よけスプレーに虫刺され用の塗り薬。あれはカンテラなのかな。あと寝転がれるような道具も。

わたし達は空を見ながら寝転がる。どちらともなく唇を重ねた。