その廃屋を舞台にして、サバゲ―をやろうと言い出したのは家主の男だった。
はっきり言って、ぼろぼろの家である。築ウン十年の平屋建て、古いだけあって広いは広いが、街からは遠く道も悪く山の奥で景色も悪い、良いとこなしの厄介者。
さりとてそれでも彼の所有物、税金は毎年取られるし維持管理費も少ないながら一応かかり、とにかくどうにかしてしまいたい、というのがここ数年の悩みだった。
「……で、なんでサバゲ―?」
「家主が最近テレビで見て『これで幾らか壊れてくれれば御の字じゃね?』って思ったんだと」
話を聞き、当たり前と言える疑問に首を傾げた青年に、男から会場となる廃屋を借りた主催の男は投げやりに答える。はあ、と納得したようなしてないような、曖昧な青年の反応に肩を竦めて、愛用のモデルガンを確かめた。
カチャ、と構えて狙いを確かめ、また戻して微調整する。見ている青年にはその程度しか解らないが、多分、きっとすごい事をやってるんだろう。
というか。
「何で俺が呼ばれたんです? 俺、サバゲ―どころか運動もあんまりですよ?」
「お前ヒマだろ。数合わせにちょうど良いから」
「ヒマじゃないですー! バイトありますー!! ってか数合わせとか正直すぎて酷ッ!!!」
そもそもの疑問に立ち返ってしまった青年、皆川 一和の真剣な問いに、主催の男はやっぱり投げやりにそう答えた。大学の後輩だった一和が、運動が『あんまり』どころか『さっぱり』なのは、男も良く知っている。
が、数合わせ。或いは男の気まぐれ。
どちらでも構わないのだが、とにかく、サバゲ―に精通した人間ばかりが参加したんじゃ面白くなかろうよ、と後輩達の中で一番暇そうな人間を見繕った結果、一和に白羽の矢が立ったのだった。
そんな男たちのやり取りを聞いているようでまったく聞いていない、家主がほくほくと彼らに声をかける。
「いやー、会場代も手に入って、あわよくば解体の手間も省けてくれて、サバゲーってのは良いもんだね、うん!」
「まあ、ボロ過ぎるんで屋根でも落ちて怪我人が出たら、そちらの責任になるかもしれませんけどね」
「ヒ……ッ!?」
投げやりにそう脅しておいた男に、家主が瞬時に顔を青くした。下見した限りではかなり年季の入った家屋とはいえ割と頑丈そうなので崩れる心配はなさそうだが、何しろそうとう年季が入っているので絶対とも言えない。
身につけた装備を確かめる。男も実戦は久々だ、参加者達もネコッターで呼びかけたメンバーだから、どの程度のレベルの人間が参加しているのかは知らない。
それでも――久々のゲームだと、男は合図の引き金を高らかに引いたのだった。
いつもお世話になっております、蓮華・水無月と申します。
『お久しぶり』ではないご挨拶はお久しぶりで、喜びをかみしめている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回はいつもの水無月の傾向とは少しずれて、サバゲーのお話です。
サバゲー、サバイバルゲーム。
やった事あるのかお前と聞かれたら『ありません!』と胸を張ってお答えしてしまうのですが、やってみたかったのです、サバゲー。
一和同様に素人ですが、もしお付き合い頂ける方がいらっしゃいましたら、ぜひご一緒にサバゲーやってみませんか。
ご参加、楽しみにお待ちしております。
以下、ルールなど。
<参加ルール>
・ゲームは個人参加、チーム参加、どちらでも構いません。
チーム参加の場合はタグで判断させて頂きますので、お忘れなきようお願い致します。
なお、NPCは2人でチーム参加です。
・1回2~3組(NPC組を含む)でのゲームになります。
組み合わせは、特にご希望がなければマスターがサイコロを振って決めます。
また、こちらも特にご希望が無ければ、ゲームは1人(1チーム)数回行う予定です。
・武器・防具などはご持参ください。
今回は施設をレンタルするのではなく、一般家屋をお借りしてのゲームになります。
現地で武器・防具などの貸し出しは出来かねますので、必ず必要な装備類はご持参下さいませ。
自己所有、事前にレンタルなどは問いません。
愛用のモデルガンへの愛を熱く語ったりしても楽しいですね。
とりあえずモデルガン自慢しに来ましたとかでも大丈夫です。
・ろっこん等の使用について
ろっこん等特殊能力のご使用については、特に制限はされません。
ただし、使用するに適切なアクション(例えば人目に配慮するなど)がない場合、マスター裁量で能力不発などの措置を取らせて頂きますので、悪しからずご了承くださいませ。
・勝敗ルール
一種のタッグありのバトルロワイアル戦とお考え下さい。
個人・チームのうち、廃屋の中に隠された木彫りの猫の置物(全長30cm)を発見し、正面入口の外にあるベンチに置いた人(チーム)が勝利です。
所定の場所に置かれるまでの間に猫の置物を強奪する事はOKですが、過度な攻撃や生命の危機に繋がる攻撃を加えようとした場合は失格となります。
・ヒットコール
弾が自身に当たった場合は『ヒット』と大声で宣言してゲームから離脱してください。
当たっても無視してゲームを続行する、いわゆるゾンビ行為は禁止されております。
時には当たっても気付きにくい場合がありますので、その場合は周りの人が優しく教えてあげてください。
如何にカッコよく退場するかにアクションを割いて頂いても大丈夫です、カッコいいのは大事です。
・待機中
ご自身のゲームが始まるまで、或いは終わった後も、良い感じに廃屋内に仕掛けられた定点カメラで戦闘の様子をご覧頂けます。
何とも都合の良いことに、かなり良い感じに仕掛けられていて戦闘中はどこにあるか判らない&壊れて画像が途切れたりすることはありませんので、安心してお楽しみ下さい。
・参加費:3000円
現地到着時点で集金していますので、ゲーム開始時点(リアクション内)で集金することはありませんが念のため。
<廃屋見取り図>
アクションでは以下の見取り図を参照に、侵入経路からご指定下さい。
ご指定ない場合は正面突破、正面入り口から入った事になります。
廃屋なので窓からの侵入もノープロブレム。
中は程々にほこりまみれで割れたガラスとか瓦礫とか落ちてますので、お怪我にはくれぐれもお気を付けください。
※参加者は同じものを地図としてコピー用紙で渡されています
※レイアウトが崩れている場合はお手数ですが、テキストコピーして全角でご覧ください。そもそも地図が見難いのは仕様です、すみません……
|+裏口+――――――+ 窓 +―+窓+―――+窓+―――+窓+―――+ 窓 +――+窓+―+窓+―|
| | + | 廊下 | | |
+ キッチン | 扉 | ――――――――――― | | |
窓 |廊+ 子供部屋 |廊| |廊| | |
+ |下| |下| |下| 主寝室 | 洋室 |
|+扉+――― ―――――― | 食堂 兼 広間 | | | |
| 廊下(幅1m程度) | | | | |
|――――+扉+――――+扉+― | | ――――+扉+―――+扉+――――|
+ | | ――+ 扉 +―――― 廊下 廊下 |
窓 | | ――――――――+扉+――+扉+―|
+ 洋室 | バス・ | エントランスホール + | | |
| | トイレ | 扉 小部屋 | 書斎 | 物置 |
| | | + | | |
|―+窓+―――――――――――――――――+正面入口+―――――――+窓+――+窓+―――――――|
<参加NPC>
・鷹取 康弘(たかとり・やすひろ)
ガイド内『男』。
ハードボイルドっぽく見えるが、基本的に面倒くさがりやなだけで別にハードボイルド要素はない。
サバゲー玄人っぽく振舞ってるけど、実は友人に誘われて数回やった事がある程度。
主催とか初めてなんで、下見は前述の友人と一緒にやりました。
使用武器はMAC10(なんかカッコいいから買った)。
・皆川 一和(みながわ・いちかず)
ガイド内『青年』。
間が抜けているように見えてしっかり者だが、しっかり者のように見えて間が抜けている。
春に大学を卒業して一度は就職したものの、色々あって今はコンビニのアルバイター。
下に四弟五妹を持つ大家族の長男で、基本的に苦労人属性。
使用武器はグロック18C(借り物)。
<その他、参加上のご注意や疑問など>
◎現地までは一和がご案内します。
何しろ人里離れた山の中、道に迷っては大変ですので、行きだけはご案内させて頂きます。
※行きの道中はアクション頂いても描写されません。
帰りは(多分一和が疲れてしばらく動けないので)申し訳ございませんが、自力での帰還をお願い致します。
道はちゃんとありますが、迷いやすいようなのでくれぐれもご注意下さい。
◎ゲーム素人なんですが?
大丈夫、最初は誰でも素人です。
雰囲気だけで参加しても、案外皆さん優しくして下さるかもしれませんよ。
それではお気が向かれましたら、どうぞよろしくお願い致します。