「サカダマさまって知ってます?」
と、目を輝かせるのは都市伝説に目のない
花菱 朱音だ。
「夜道を一人で歩いてると、知らない子がいつの間にか隣にいるんですって」
曰く、不思議と知り合いだったような気がして来るのだという。
「その子は色んな悩みを聞いてくれるんです。まるで古くからの友だちみたいに」
「だけど、気を付けなきゃいけません」
「サカダマさまは、話の最後に、願い事について尋ねてきます」
「例えばテストの成績をどうしたいの? とか、好きなあの人とどうなりたいの? とか」
「だけどそれに、絶対に本当のことを答えちゃいけないんです」
「サカダマさまは、それをさかさに叶えてしまうから」
花菱は噂について語り、それからにっこりと笑った。
「ねぇ、とても面白いお話ですよね?」
後日、噂に尾ひれがつき始める。
曰く、サカダマさまは噂好きの女の子だったとか。
誰かの幸せを妬む心が寄り集まって出来ただとか。
サカダマさまを生んだ誰かの日記が図書館の蔵書の中に紛れているだとか。
そのどれが真実かは闇の中のまま、サカダマさまの噂だけが、一人歩きを続けていた。
今回は少しホラーテイストのシナリオです。
サカダマさまと触れ合う中で自分の深層を見つめるも良し、町の怪談を探るも良し、うっかり願いを逆に叶えられてしまうのも、もちろんギャグ展開も恋愛展開もなんでもアリです。
どなたでもご参加いただけます。
ちょっひりゾクゾクするような夏を、どうぞお楽しみください!