自身の財布を開いて――
柏村 文也は、目をぱちくりとさせた。
「おや……?」
入れた覚えのない万札が、数えてみれば10枚も入っている。
一瞬、財布そのものをどこかで取り違えたのかという考えが頭を過ぎった。
しかし、手に馴染む感触は、間違いなく、自身の愛用しているそれのものだ。
なら、この大金は一体どこから?
顎に手を宛がったところで、頭の中に、甘いような声が響いた。
『それは、神魂の仕業なのです!』
神魂、と口の中に繰り返せば、『そうです!』と声――
ミラは言う。
『財布の中のお金が増える、という現象のようなのですが……』
――皆さまが増えたお金を今日中に使い切らなくては、世界の経済は1年以内に破綻してしまうのです……。
「それはまた、嬉しくない話だね。ちなみに、このお金を使うことによる悪影響は?」
『ないかと思います。その点は、基本的にはご安心いただいて大丈夫かと』
柔らかな声で、ミラは言った。
曰く、《お金を使う》以上、どうしても市場に多少の影響は与え得る。
しかし、こちらで増えた分、どこかでお金が減って困っている人はいない。
店などで支払ったお金が、後々どろんと消えて、損害を与えることもない。
存在しないはずのお金の所持・使用で、文也達が咎められることもない。
つまり、《影響》は起こり得るが、余程突飛な使い方でもしなければ《悪影響》は起こらないらしい。
『他にも色々懸念はあるでしょうが、とにかく、大体の場合、上手く行くようになっているのです』
神魂というものは、また何とも不可思議である。
ともあれ。
「だったら……折角だし、楽しませてもらおうか」
文也が口元に弧を描く中、ミラが再び口を開く。
『その額を一日で使い切るのは、意外と難しいかもしれませんが……』
どうかよろしくお願いしますね! と、ミラは真面目に、けれど元気よく言葉を締めた。
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
柏村 文也さん、ガイドへの登場誠にありがとうございました!
なお、もしこのシナリオにご参加いただける場合ですが、
ガイドは一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ。
以下、シナリオの詳細でございます。
このシナリオの概要
とある土曜日のこと。
神魂の悪戯で、財布の中身が10万円(1万円札で10枚)増える、という現象が起こりました。
ミラの予知によると、このお金を使うことで市場に影響は生じ得ますが、
基本的には悪影響が生じることはない(神魂って不思議ですね!)とのこと。
しかし困ったことに、1日でお金を使い切らなくては、1年以内に世界の経済が破綻してしまいます。
使って使って、《時の特異点》を守ってください!
なお、お金を使い切るのが今回の目的ではありますが、「PCが豪遊しているところを描写希望!」などもOKで、
お金を使い切る瞬間を必ずアクションに入れ込まなくてはいけないということはありません。
何に、どんなふうに、PCはお金を使うかな? などなど、自由な発想でお楽しみいただければ幸いでございます。
勿論、「世界の為に何とかお金を使い切ろうと奔走する!」などのアクションも歓迎です。
一点、「知人に貸す」「銀行に預ける」「金券に変えておく」など、
一般に後から取り戻せるような形でのお金の移動は、お金を使ったとはカウントされません。
また、このシナリオでは、GAを組んで、友だち(Aさん)は10万円をGET(?)していないけれど、
自分(Bさん)は10万円を手に入れて2人で一緒に時間を過ごす! といった楽しみ方もOKです。
なお、長時間行動を共にすることは難しいですが、このシナリオでは登録NPCに出会うこともできます。
但し、不自然な形での登場は採用いたしかねますのでご注意ください。(NPCの財布には異常はないようです)
特定のマスターさんが主に担当しているNPCの描写はごく軽めのものとなってしまいますので、
今回はお控え願えますよう、よろしくお願いいたします。
一応世界の危機ではありますが、不思議な臨時収入、PC様らしくお楽しみいただけたら幸いです。
ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!