グラウンド脇、講堂近くに、一本の高い樹がある。
いい日陰になるので、練習に疲れた運動部の部員たちが根元で休んでいる姿がよく見られる。
ある日のこと。
六月一日宮 檸檬と
鎌八 まもるが、樹の下で休んでいた。
疲れていた檸檬はそのままうとうとし始めた。
まもるもあくびをしたが、鳥の声にふと樹の上を見上げる。
「ん、あれは……?」
葉っぱの間に、何か巣のようなものが見えた。
「何の巣だろう?」
とつぶやいたものの、まもるも間もなく睡魔に負けてしまった。
『たすけて……!』
寒い。
気がつけばあたりは雪の中。
髪の長い幼女が助けを求めている。
『おかあさん……さむいよ』
「夢、か……」
そんなまもるの声で檸檬は目覚めた。
「変な夢、見た……あの女の子、大丈夫かな」
そう言ったまもるの声を半分寝ぼけながら聞き、檸檬はあたりを見まわす。
(そうだ、木の下で寝ちまったんだった……え? 今なんて)
檸檬の眠気が飛んだ。まもるのほうに向き直る。
「女の子って言ったか? 俺も見たけど……雪の中で」
「何だって? れもんも? もしかして樹の上の女の子がたすけて、って言ってた?」
まもるも目を見開いて聞いた。
「そうだよ……まさか、同じ夢? ……あ」
そのとき風が吹き、何かが落ちてきて檸檬は言葉を止めた。
二人の間に、羽根が一枚舞い降りた……
白い羽根には、赤い染みがついていた。
こんにちは、天村花海です。
六月一日宮 檸檬さんと、鎌八 まもるさんにガイドにご登場いただきました。
ありがとうございます。
赤い染みのついた羽根のことは、近くにいた生徒たちも見て噂になっています。
木の下だけでなく、講堂近くの教室で居眠りしていた生徒からも、同じような夢を見たという証言がありました。
講堂近くの教室の窓からは、木の枝に鳥の巣が見えたとか。
女の子の夢は、何を意味しているのでしょうか?
何が起きているのでしょう?
皆様のご参加をお待ちしております。