オーダー、概念英雄(イデアヒーロー)たちよ。
世界の求める声に従い、戦いの舞台へとのぼれ。
豪華絢爛、究極無比。
今宵――大召喚舞踏祭!
巨大な聖印方陣の中心で、
ユーリ・ロッソ・ネーモは光に包まれ現われた。
「えっと、あれ? おれって……ここって……?」
ひれ伏すずきんの神父たち。きょろきょろと周りを見るユーリは、ふと自らの使命を脳裏に宿した。
「『お宿り』になられましたな、概念英雄ユーリ殿。あなた様は無数に存在するIF世界のうち最高の力をもつユーリ――概念の究極体にございます」
膝を突く教皇に、ユーリはこくんと頷いた。
そう、彼は既に知っている。この世界での役目は……。
「私が呼び出されたってことは、もう戦いは始まってるんですよねー」
髪を指でくるくるとやる
屋敷野 梢。
絶海の孤島に作られた古城。その隠し地下空間に広がる巨大魔方陣の光の中に、彼女はふわふわと浮いていた。
「
屋敷野 梢という概念はあらゆる世界に存在している。その概念因子をたどり、行き着いた最高峰が貴様じゃ。概念召喚の儀によって呼び出された貴様は――」
「分かってますよー。私が何をするべきか」
美しい蝶の羽をはやし、虚空を蹴って天空へと飛び立つ。
ジャングルの奥地。巨大な石で積み上げられた祭壇の頂点に、
卯木 衛は現われた。
美しい光に包まれた彼は、聖なる獣をしたがえている。
「あらゆる世界で最高のきみ。このような下等な世界へようこそおいでくださいました」
「いいっていいって。俺の力が必要なんだろ? なんでもできる、この俺が」
パチンと指を鳴らせば、天空の雲が輪を広げて晴れ渡った。
「俺の世界じゃこのくらい誰でもできるぜ? ま、そん中でも俺は最強だけどな」
ステンドグラスの輝く至高教会の礼拝堂にて、
木野 星太郎は光と共に降臨した。
不可視の翼を羽ばたかせ、不可視の楽団が荘厳なオーケストラを奏でている。
「お美しい……あなた様こそ。
木野 星太郎という概念の最高峰……」
「おもてをあげよ、なんてかた苦しいことは言わないわ。任せてね、きっといい世界にしてあげるから」
全ての祠祭がひれ伏し、頭を垂れる中、星太郎は天空を天井越しに広き透視した。
千の赤鳥居が並ぶ境内の、長く長く続く石階段。
その頂上のお社にて、
恵御納 夏朝はちいさなあくびと共に目覚めた。
「神様がお降りになられた……」
「おねこさま、おねこさま、
恵御納 夏朝さま……あらゆる世界ににおける
恵御納 夏朝の最高峰。あなたさまのお力で、どうかこの世界を……」
「……うん」
夏朝は両手をふわりと挙げると、周囲の草木を踊らせた。どこからともなく無数の世界ネコが現われ、彼女を神輿のように担ぎ上げていく。
世界ネコは天空を翔ると、夏朝を行くべき場所へと運び始めた。
「おいおいおいおい、ったくなんて場面で呼び出してんだあんたは……コホン」
鴻上 彰尋は膨大な魔道書の山の中から這い出るように現われた。胸にはまざまざと傷が残っているが、鮮血はいつまでも鮮血のまま、その状態が固定されたかのように一切傷が広がることは無い。
「前の世界の口調が抜けきらなかった。ごめんな。やるべきことは分かってる。行くべき場所も、けど、俺なんかにつとまるかな」
「卑下なさることはありませぬ。貴公は
鴻上 彰尋という概念における最高峰。あらゆる世界に点在する貴公の中で、最も優れた存在。神や悪魔にもひけをとりませぬ」
「神や悪魔、ね。俺は、むしろ……」
ピラミッドの内側に隠されたまつろわぬ棺の間。
宇宙の力をほんの少しだけ宿したその棺の中に、
来島 アカリが現われた。
「うう、ん……な、なんだ? ここ? ……ああ、そうか、そういう……」
人々が見とれる程の美しい容姿。否、あまりの美しさに卒倒する者が続出するほどの奇跡的――否神威的美貌の、少年である。
「言わなくても分かってるよ。俺は無数にある世界にいる
来島 アカリっていう概念のなかで、最高の存在なんだろう? そんな俺を呼び出して始めるのは――」
「大召喚舞踏祭!」
つい、と指を掲げる
ロベルト・エメリヤノフ。
指揮棒をふられたオーケストラのように、大量の花が舞い上がっていく。
王国貴族の全てがひざまずくなか、光の中より歩み出たロベルトはひざまずいた国王から剣を受け取った。
「勝利した陣営が、この世界の覇者となる。その唯一にして最強の持ち駒である僕らは――」
最後の一人になるまで戦い、勝者は世界の神になる資格を得る
さあ、今宵始まるは究極の宴。
あらゆる世界から集まった最高峰と最高峰のバトルロワイヤル。
世界をかけた、舞踏祭。
ごきげんよう、概念英雄(イデアヒーロー)。
これは究極と究極、最強と最強、無敵と無敵がぶつかり合うチートバトルロワイヤル。
さあ、まずはこの世界についてご説明しましょう。
概念英雄と大召喚舞踏祭
皆さんはIF世界のシナリオに参加したことはありますか?
キャラクターと同一の概念を持つが全く別の境遇や力をもつ様々な存在が、いくつもの世界に点在しています。
そんな中で究極にして最高峰の存在をピックアップし、この世界に投入します。
それは過去に描かれたシナリオでも、まだ描かれたことの無い、皆さんの空想の中にある世界でもOKです。
究極のIFキャラクター『概念英雄』をこの世界に召喚しましょう。
(シナリオガイドにご出演頂いた八人の概念英雄さんたちも、イラストやガイドの通りのキャラクターである必要はございません。『やっぱりこっちがいい!』という感情、素敵だと思います)
召喚して行なうことはただひとつ。
世界中に呼び出された全ての『概念英雄』が最後の一人になるまで戦います。
勿論、相手を滅ぼした方が勝者です。概念英雄には不死身とか無敵とか神とかザラに存在しますが、相手の概念ごと滅却したり世界から居なかったことにしたりという常識からぶっ飛んだ力もザラに使います。
お気づきかもしれませんが、皆様がキャラクターに設定した無敵チート設定どうしが無敵チートパワーをぶつけ合って戦うのです。
勝者には自分が好き勝手できる自分のための世界が与えられます。
概念強化ルール
このシナリオはシルバーシナリオ。
つまりオーダーすれば手持ちのイラストを挿入することができます。
TOP画像を見てピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、キャラクターの所有するイラストはこのシナリオにおける『強化装備』として適用されます。
具体的には、平行する無数の世界における同一概念存在の力を流入させることでより強大なパワーを発揮するというものです。意味分かんないかもしれませんが、イラストつけると強くなるんだな! とご解釈ください。
強化される基準は、これまた設定した皆様次第となっております。
『このイラストにはこういう力がある!』と信じて打ち込めば、そのようにはたらきます。
イラスト挿入規則はシルバーシナリオの規則に準じているので(例えば登録できるのは一枚までですし)めちゃくちゃなことは出来ませんが、大抵のことはできる、はずです。
お気に入りの一枚を必殺技のごとくズバンッ! と設定してチートキャラクターをよりチートにしてやってください。
さいごに
このシナリオはバトルロワイヤル形式ですが、途中まで協力したり暗躍を狙ったり、あらゆる行動が可能です。
最後の最後はやっぱり一人になるまで戦うので、そのおつもりでフリーダムにご活躍ください。
なにせあなたが送り込んだのは、チートキャラクターなのですから。