「うわぁ！　またやられたぁー！」
「キャー！　何よこれ！」
目の前に広がる惨状に、その場にいた全ての生徒が声を上げた。寝子高で話題の恐怖が今日も、その爪あとを残していったのだ。

『妖怪・トレペちぎり』

どこからともなくやってきてトイレに潜入。濡れた手でトイレットペーパーをちぎり散らかして去っていく謎の存在。トイレットペーパーだけを狙う正体不明の怪物は、生徒たちによって次第にこの名で呼ばれるようになった。奴が現れてからというもの、トイレとその周辺の掃除の手間は二倍三倍に膨れ上がり、頼みの『紙』を失って、個室の中で嘆く生徒が激増した。紙をくれ、紙をくれと泣き叫ぶ声が、新たな妖怪として勘違いされる事態まで発生している。

「やれやれ、困ったねえ……」
モップを手に、ため息をつくつなぎ姿のおじいちゃん。長南 武治（ちょうなん たけじ）、寝子高の気のいい用務員さんだ。勉学に励む生徒たちの使うトイレが汚れていてはいけないと、来る日も来る日も散らかされたトイレを掃除して回っていた。
「夜回りでもしたほうがいいのかねえ」
と、曲がった腰を伸ばしてトントンと叩き、ふーっともう一度大きく息を吐いた。

「トイレットペーパーの無駄遣いはやめましょう」の張り紙も効果はない。きれいに掃除し、ペーパーを補充しても、朝になると水浸しの床に無残に白いロールが転がり、くしゃくしゃに縮んだペーパーが散乱している。さりとてトイレを使わないわけにはいかず、トイレットペーパーも補充しないわけにはいかない。最初は事件を面白がっていた生徒の顔も、さすがにどんよりと曇りはじめた。

トイレのピンチは学生生活の質に悪影響を与える！
寝子高生よ、妖怪・トレペちぎりの謎を追え！
ポケットティッシュでは決して救えぬ悲しみがここにある！

「ていうか、トレペじゃなくてトイペじゃね？」との声も多く、名前すらも定まらない謎の存在。
――真実はいまだ濡れたトイレットペーパーに包まれたままだ。

担当ゲームマスター

清水るね

マスターコメント

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図

情報収集もろくにせずトイレで張り込みした結果、残念な結果に終わるけど結構楽しんでいる様子を見たい

キャラクターの目的・理由

やる気はあるけど具体的なことは何も考えてない！
カンで決めた場所で犯人をずっと待ってれば多分来る

キャラクターの行動・手段

ヤマを張って、ここでずっと待つ！　と決めた場所で待ち続ける。

たぶん妖怪が来るのは夜だから、張り込むのは夕方から。おにぎり持参、まだ学校にいる連中に不審がられても気にしない。トイレでおにぎりとかドン引きされても「え？　地面に落としてねーし綺麗だよ！」って口をあんぐりあけて食べる。

ヒマになって、ねこったーで「張り込みなう」とか書いてみる。ふざけてるように見えて、すごく真剣に張り込んでる。ゴムを張って、足引っかけトラップでも作ろうかな。生徒がいたずらしてるんじゃないかと思ってる。

トイレにきた他の生徒の姿にビビッて転んでびしょぬれ。
トラップに引っかかっちゃった奴に怒られたりね。
ネタ要員、コメディ要員としてガンガンいじってOK。

ヤマがあたったら、はっちゃけて追いかけるよ。外れだったら、トホホとがっかり。バッドエンドの時は、家からトイレットペーパーを持参することを心に誓う。

サンプルアクション（2）

プレイヤーの目的・意図

がっちり情報収集して事件解決を目指す、結果はどうあれ頭を使ってがんばるキャラが見たい

キャラクターの目的・理由

聞き込みをガンガンして名探偵を気取りつつ、誰にも負けないくらい情報を集める

キャラクターの行動・手段

「学校を汚すヤツには許せないね！」と、やる気は十分。
俺は犯人は人じゃないと思う。動物とかじゃないか？
そのつもりで行動する。虫取り網でも準備するかな。

まずはタケさんを捕まえて話を聞く。次は階段とか昇降口で待ち伏せて生徒に聞き込み。ウザがられてもどんどん聞くぞ。
「寝子高トイレの未来がかかってるんだ！　協力頼む！」
ゲットした情報は仲間に快く提供するけど、基本は単独行動にする。

一番信頼するのはタケさんの情報。次が生徒たちからの聞き込みの優先順位で怪しいトイレから順に調べていく。違うトイレに現れたら、仲間の声でわかると思うから走って合流するよ。

犯人が見つかったら、
「観念しろ、犯人！」ってお決まりのセリフを。
意外な奴だったらその後に「……って、ええっ!?」と驚く。

サンプルアクション（3）

プレイヤーの目的・意図

自慢の脚力で追いかけて、この手でがっちり捕まえる！
体力自慢のマイキャラの活躍を見たいです。

キャラクターの目的・理由

トイレがびしゃびしゃとか許せない！
とにかく犯人捕獲したい。物理で。

キャラクターの行動・手段

すぐに現場に行きます。同じ行動してくれる人がいれば一緒にやりたい。会話とかどんどん他のキャラクターと絡んでいきたい。

現場では水滴とか落ちてるトイペの続く先を見て、どこから来たのか推理します。学外に続くなら、どんどん追ってそっちに行く。学内なら……「犯人はこの中にいるで！」（ビシッ）と的外れ発言。

待ち伏せはしない。持っている情報と、自分で現場を見て気づいた情報から、どこから来るかを探そうとします。トイレに留まらず、ガンガン動きます。

あ、絶対にトイペで通します。誰かがトレペって言ったら「ちゃうやろ！　トイペ！」ってしつこく直しますから。

サンプルアクション（4）

プレイヤーの目的・意図

学園の伝説として記録を残したい。カメラで激写しますよ！　

キャラクターの目的・理由

新聞部の面目躍如！　生ける伝説、妖怪の正体を映像で収めたい！

キャラクターの行動・手段

記事作りのために野次馬参加。いろんなチームの探索風景をカメラ（デジカメ）またはスマホ片手に追っかけてバシバシ取材。邪魔になったらてへぺろで乗り切っちゃえ！　

先に用務員さんに取材しようかな。
「今のお気持ちは……」ってね。

ワイドショーのレポーター風に「ご覧下さい、こちらが現場です……」のセリフで登場するよ。自力で推理・探索はせず、一番盛り上がってるっぽい場所に、どんどんついて行くからね。追跡劇が始まったら動画を取りながら実況でもしちゃおうかな。

最終目的はトレペちぎりの正体を映像で押さえること。
功労者に「どうですか！　今のお気持ちは！」とマイク代わりにボールペン持ってインタビューしちゃおう。