現実がつまらないなら。
夢の世界へいらっしゃい。
いつまでも楽しい夢をみていられたなら。
現実なんていらなくなるから。
「ふいー、地上ってのはなんも無いように見えてなんでもあるなあ。ハッハッハ!」
ゲース・アイルンアルムは公園のベンチでウコンエキスドリンクをぐびぐびやって、ぷはあと空にため息をついた。
たまの地上観光だっつって、日本酒となめろうでちびちびやりつつテンション上がった所でよっしゃビールもってこいウェイウェーイと世通しお祭り騒ぎをかました結果ぺしゃんと酔いつぶれ、親切なタクシー運転手のおっさんから夜明けのウコンを頂いた次第である。
「人も親切だしメシも美味いし。暮らすにゃいい所じゃあねえの。え、そう思うだろ!」
と、隣のベンチで同じくぐったりしていた学生の肩を叩いた。
こんな早朝からベンチでうなだれる、制服姿の学生である。
それのドコが変なのかは分からないゲースではあるが、見る人が見ればかなりおかしな光景だった。
なぜなら学生は頭から小さな鬼めいた角を生やし、真っ黒い影のような剣をどこからともなく生み出して、あろうことかゲースに襲いかかったのだ……!
「うおっ、あぶね!?」
慌てて飛び退き、じたじたと後退するゲース。
学生は白目と黒目の区別がない真っ黒な目を開くと、剣で追撃をしかけてくる。
義手で攻撃を受け止め、相手を組み伏せるゲース。
「なんだなんだ。ここも治安がよくねえな。ン、なんだ今度は……」
ふと頭を上げる。
なぜだか。
本当になぜだか。
脳裏に今回起こっていることが、情報として直接流れ込んできたのだ。
所変わって。
「眠ったまま目を覚まさない人が寝子島で急増してるんですよ。
それだけならまだマシなんですが、黒いツノが生えた鬼みたいになって暴れ回ったり、人の嫌がることをしたり、フツウの日常を壊しちゃうような行動をとるようになるんだそうです。
どうやら『ユメユメ』に身体を乗っ取られちゃったみたいで」
居合わせた人にこんな風に説明しているのは、
屋敷野 梢である。「私の頭の中に、この情報が直接流れ込んできたんですよ。皆さんの中にも来てるんじゃ無いですか?
この事件を解決する方法も……」
『ユメユメ』
人を眠らせたままにするフシギ存在。またはその存在に身体を乗っ取られてしまった状態の人をさす。
彼らは自らの日常にあたるものを破壊したり、自分の大切な人々を傷付けるといった、『日常破壊行為』を行ないます。
解決する方法は、『影の武器』で武装した彼らを武力で鎮圧し、暫く動けなくすること。
「ユメユメに乗っ取られた人々は、現実の楽しさやすばらしさを忘れさせられ、夢の世界に閉じこもっています。
助け出すためには、まずは破壊行為を止めさせないといけないわけですよ。
準備はいいですか?
それじゃあ……」
何者かに狙われた、フツウの日常を取り返そう。
こちらは寝子島で起こった異変を解決するトラブルシューティングシナリオとなっております。
突如発生した謎の存在『ユメユメ』は、人々が大切にしている日常を直接破壊する存在でした。
皆さんは『囁かれた者』としてこの異変に立ち向かいます。
■『囁かれた者』とは?
シナリオガイドにあるゲースさんや梢さんのように、今回の事件に関する情報が直接頭の中に流し込んできた人を指します。
寝子島でもごくごく一部しかいませんが、今回のシナリオ参加者はみなこの『ササヤキ』を受け取っています。
(細かい話をすると、プレイヤーキャラクター以外にも『囁かれた者』がいて、受け取ったけど気のせいだと思って行動を起こさなかった人や今回様子見を選んだ人もいます)
皆さんの受け取った情報は
・異変の概要
・近くで起こるであろう事件とその場所の近未来予知
・解決する方法
の三つです。
実際、アクションに『近くで起きている事件とその場所』を指定することでキャラクターはその事件を対応するようになります。
(例:試合に向かうはずのサッカー少年が『ユメユメ』になって暴れ出す! チームメイトを傷付けるつもりだ!)
特に指定しなくても行けるぜという場合は『おまかせ!』とご注文ください。キャラクターにぴったりのササヤキ予知をお届けします。
また、グループで協力プレイをする時も同じ事件を指定するとよいでしょう。
『ユメユメ』は影を具現化したようなフシギな武器を使って暴れます。
しかし身体能力自体は元の身体に依存しているので、有利なろっこん能力やそもそも鍛えた肉体があれば鎮圧することができるでしょう。
■『ユメユメ』とは?
(キャラクターの脳内に流れた情報より抜粋)
『ユメユメ』は人を夢の中に閉じこもらせ、代わりに肉体を乗っ取ってしまうフシギ存在です。
その目的は一貫して日常の破壊にあり、当人の大事にしているものや日頃から行く場所を破壊しようとします。
今回の目標は彼らを鎮圧して捕まえることです。
動けなくさえできれば、気絶させたりしなくても大丈夫なので、バトルよりもトラップ専門な人でもしっかり渡り合うことが出来ます。
※この事件は 『ユメユメ』事変・前編 です。
リアクション公開後暫くしてから捕まえた人々の夢の中に入って現実の楽しさを思い出させる後編が予定されています。