――第六階層・某所
「魔女も被害者かもしれない。だが、我々は彼女にも虐げられていたじゃないか!」
「彼女を生かしてはおけない!」
「待て! 彼女は初めから我々を虐げていたわけじゃない。むしろ、彼女の行動は私達が先に……」
「あの男と同じ痣を持っていた。それだけでああなると決め付け虐げた我々の所為なんだ。何故それが解らない?」
喧騒のなか、2つの集団が集会場で論議を交わしている。……赤い衣服を纏っている面々は『義勇軍』と名乗り、魔女を断罪しようとしている一団だ。もう一方は白い腕章をつけた面々は『星守』と名乗り、魔女を擁護していた。
その会議を、2人の子供がみていた。1人は水晶玉を持った少女、サティア。もう1人は悩み顔の少年、チッタである。
「フローレンスさんも、苦しんだんだよ。苦しんで、苦しんで、我慢できなくて……。だからああなってしまっただけ。きっとやり直せるよ」
サティアが傍らのチッタに言う。だが、チッタは苦々しい顔で、重々しく呟いた。
「それは、冒険者から聞いた。確かに、そうだろうけど……でも、おれたちだって苦しめられていたし……」
チッタは、悩んでいるようだった。複雑な魔女の事情と、彼女から受けた被害を思い、チッタは頭を抱える。サティアは痛む胸を押さえるように水晶玉を両手で握り締めた。
だが、その時。がたんっ! と音を立てて何かが倒れる。
「埒があかへん。僕らで魔女を討つから、邪魔せんといてや。経緯が何だろうと魔女の所為で苦しめられた事実は覆らんよ? 今さら心入れ替えるっちゅうても信用できひんわ」
勢いよく起立し、椅子を倒した者がいた。ラプター。『義勇軍』の筆頭を務める彼は静まり返った会場を見渡し、小さく嗤う。
「邪魔するんやったら……射抜くぞ」
その言葉に、全員が口をつぐむ。だが、ただ1人、サティアだけが立ち上がる。
「そんな事はさせない。フローレンスさんは、アステリズムとして……」
「
アステリズムなんざ、別の奴にさせればええやろ? あの魔女を許したらあかん。そうでなけりゃ先代とやらと彼女によって死んだ人間達が浮かばれん」
ラプターはそう、きっぱりサティアへと言い放った。そして、物陰に隠れようとしたチッタの肩を叩き、静かに言う。
「この階層を魔女から開放する切欠、この子と君なんやろ? 僕としては君らを『義勇軍』の象徴にしたいんやけどね」
(……?!)
その一言に、チッタの表情がこわばった。
「一週間以内に魔女の居場所を見つけたる。首を洗って待っとけ、ち魔女に伝えといて」
ラプターはそう言うと猛禽類のような眼で穏健派たちに笑いかけるのだった。
* * * *
――フローレンスの救助から数日後。
「みんな、大変なの! 第六階層で戦争が起ころうとしているの!!」
「せ、戦争?!」
ステラに呼び出された冒険者の1人、
リリエル・エーテライトはその発言に戸惑った。だが、呼び出された場所の現状を見、なんとなく予想がついた。
家々の多くには、白と赤の花が飾られていた。どちらかといえば白い花が多かったものの、赤の花も決して少なくはない。
そして、住人達は笑顔でありながらもどこか距離を保って接しているように思えた。
「これってもしかして……」
リリエルが何かを察したその時、そこにかつて冒険者に助けを求めた少年、チッタと水晶玉を持つ少女、サティアが姿を現した。一堂に挨拶した後、サティアは緊張気味に口を開く。
「今、この階層の住人達は殆どが魔女……いえ、フローレンスさんを擁護する人々と、彼女を厄災の魔女として断罪する人に分かれているんです」
その言葉に冒険者達は表情を険しくした。その原因は自分達にもあるのだから……。
チッタはそんな彼らに、重々しく口を開く。
「『義勇軍』のリーダーは、ラプターという男の人だ。この人は、前のアステリズム? という人と魔女に強い恨みを持っている、みたいだ。彼は魔女を『断罪』するまで止まらない、と言っている」
チッタの表情は、厳しいままである。そんな彼をサティアは心配そうな顔で見つめている。ステラも不安げな顔で2人を見、冒険者達に言う。
「『義勇軍』の様子を見かねた穏健派の人達も、戦う意思を見せ始めているの。このままでは戦争になってしまうの。そうなったら
第六階層の竜が怒って、暴れて、階層が抜け落ちちゃうの」
その一言に、多くのの者が口をあんぐりとあけてしまった。
「そ、そ、そんなのは大変です!」
我に返ったリリエルが叫ぶと、サティアは言った。
「今日から一週間以内にフローレンスさんを探し断罪する、とラプターさんは言いました。『星守』の人々はその前に『義勇軍』を攻撃するべきか、悩んでいます」
「お願いなの! そうなるまえに、とめてほしいの!!」
ステラが声をあげたその瞬間!!
――ぴしゃあああんっ!!
紫色の稲光が、雲海を切り裂くように落ちる。そして続けるように地震が起こったかと思えば、そこに……淡い紫色の鱗と、4本指の手を持つ竜が姿を現した。
細長い体をしたそれは、『龍』と呼ぶに相応しい姿をしていた。
(これが……第六階層の竜……?!)
リリエルは息を呑み、その竜を呆然と見上げる。それは他の冒険者たちや、チッタ、サティアも同じだった。
果たして、第六階層の運命はいかに!
菊華です。
今回はなんと、第六階層で戦争が……!
やぎ座のアステリズムである魔女さん改めフローレンスさんの命を巡って断罪・処刑を求める過激派『義勇軍』と擁護する穏健派『星守』が対立しています。
今回は
・『義勇軍』と『星守』の戦争をとめる
・ラプターの復讐をとめる
上記2つが目標となります。
竜の怒りは第六階層の人々が争わなくなるか、その原因を無くすことが出来れば静まります(ステラ談)。
概要
現状
・フローレンスは第六階層のとある家に匿われています。
・第六階層の竜は、住人達の様子に怒っています。
住人達が戦争をするとなった場合、ステラ曰く
『第六階層が、竜の怒りによって抜け落ちる』そうです。
・ラプターはフローレンスを探し出し、討つつもりです。
彼は仲間と共に船に乗って回っています。
>『義勇軍』について
先代とフローレンスによって虐げられた事を許せずにいる人々で、若い男性が多い傾向にあります。
彼らはラプターと名乗る男を筆頭に「魔女は断罪し、処刑するべき」と考えています。
ただしアステリズムに関しては「不要」と考える人と「彼女ではなく別の人間にすればいい」という考えの人がいるようです。
>『星守』について
フローレンスと対話し、彼女を許す事にした人々です。
女性やご老人が多いようです。
リーダーは狼ににた獣人の老人、イプシロンです。
彼らは「フローレンスを許し、共に第六階層をよい物にしよう」と考えています。
アステリズムに関しても「重要な存在」だと考えているようです。
>第六階層の『竜』について
細長い体をしており、淡い紫の鱗に包まれています。
また、指は4本で寝子島でいう『龍』に近い姿をしています。
雷と重力を操れるようで、彼は第六階層の現状に怒りを覚えています。
皆さんは
【A】『星守』陣営に関わる(説得する/『星守』の一員として行動する等)
【B】『義勇軍』陣営に関わる(説得する/『義勇軍』の一員として行動する等)
【C】ラプターに関わる。(説得/討伐/同調等)
【D】竜に関わる。
などの行動をとることができます。
今回の登場NPC
・フローレンス・アイメルト
やぎ座のアステリズムであり、現在己の罪に猛省し、ちょっと憔悴しています。
心優しい老夫婦が彼女を匿っていますが……。
・チッタ
『義勇軍』の象徴として担ぎ上げられそうになった少年です。
彼は消極的ですが、魔女を許せずにいます。
・サティア
『星守』にお世話になっている少女です。
彼女は魔女を許しており、なんとか笑顔を見たがっています。
・ラプター
『義勇軍』のリーダーである男性です。
前代、現代両やぎ座のアステリズムに強い恨みを抱いています。
・ステラ
現在はサティアと行動を共にしています。
第六階層の運命は皆さんにかかっています。
よろしくお願いします。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの ほしびととは をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!