「あらあらあら。いそがし、いそがし!」
ぱたぱたぱた。目の前を、何やらでっかいお鍋を抱えた
アホ毛の女性が横切っていくのを、
「……? あれ。私、何してたんだっけ? ここ、どこ?」
ユキ・ナカミチはいつの間にやら、ぼんやりと見つめておりました。
気付くと周りは、桜並木。ぶわーーーっ! これでもかっ、と咲き乱れて、はらはらと花びらが散りゆくこの景色の、何と美しいこと!
見上げると、深いブルーの空には白い雲がぷかぷか浮かんでいて、そのあちらこちらには、羽の生えた人がふよふよと飛んでいたりします。
そしてユキの背中にも、
「あ! また天使になってる!」
よくよく見ると、ユキのほかにもぽかんとした人々……唐突に呼び出された、寝子島住人の方々のお顔がありました。
「ママさーん! 船盛りに乗っける氷像、完成よー!」
「あらあら、ありがとー
冬の女神さま! 相変わらず良い腕ね~」
「おうい! 卓の準備できたけえ、いつでも料理運べるどー!」
「はあーい、
ナマズさんもありがと! じゃあ今から、ばっひゅーん! と持っていくわね~。ねこちゃんたち、お願い~!」
「「「「はいニャ~~~!!」」」」
どこかで見たような顔、どこかで見たような光景。ユキもようやく、思い至りました。
そう……ここは、
天界!
咲き乱れる万年桜のたもとには、畳敷きの席がずらりと用意され、二本の足で立って歩く
ねこたちが、アホ毛の女神さまの指示でずんどこ料理を運んでいます。
どうやら本日、ここで何かの催しが行われるようでして、あたりにはおめでたいムードが満ち満ちています。
「あら? いらっしゃい、また遊びに来てくれたの? 嬉しいわ♪」
「えっと……お邪魔してまーす」
額の汗をぐいと拭って、
ののこママは相変わらずのきらきら輝くような笑顔で、ユキたちを歓迎してくれました。
「今日はね、
神さまたちの新年会なのよ~」
「新年会? もう3月じゃ……」
聞くと、神さまたちの時間の感覚ときたらあんまりにも大らかで曖昧なもので、今頃新年会をするのだそうな。
「世界中から、いろんな神さまが遊びに来てくれるの。あなたたちも、良かったら楽しんでいってね♪」
などと言って、ののこママはぱたぱたぱた。今回も嬉々としてお料理番を務めているらしく、くるくると忙しそうに、けれどとっても楽しそうに立ち回っております。
「……あんまりにも忙しそうだからな。
まあ、気が向いたら手伝ってやってくれ」
振り向くと、二本の足で立って歩く
テオくんが、悪びれずそんなことを言うのです。
ふと見ると、青空の向こうから、ながーい身体をくねらせながら飛んでくる、龍の神さまが見えました。
あちらの山の向こうからは、もくもく、雲に乗ってタヌキとキツネの神さまがやってきます。
ずしん、ずしんと鳴り響く足音の主は、まるで山と見まごうばかり、巨人の神さま!
どんどんぴーひゃら、ぴーひゃらり。ねこたちの楽団が、笛や太鼓を賑やかに鳴らして、俄然高まるお祭り気分。
「神さまたちの新年会? 何だか楽しそう!」
肝が据わったユキは、そんな状況に思わず、わくわく! 楽しくなってしまうのでした。
「せっかくだから、楽しんじゃおうかな♪」
墨谷幽です。よろしくお願いいたします~。
ガイドには、ユキ・ナカミチさんにご登場いただきました。ありがとうございました!
(こちらにご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、ご自由にアクションをかけていただいて構いませんのでー!)
このシナリオの概要
寝子島では3月ですが、万事がのんびりな神さまたちは、今頃新年会をするそうです。
天界では、ののこママを始め、天界の神さま、天使、二足歩行のねこたちが、世界中の神さまたちをお迎えして、そのお相手に大わらわ!
そんな状況を見かねて、唐突にテオくんが呼び出したのが、つまりは皆さんです。
訪れる神さまは実にバリエーション豊かで、お酌をしたり、好きな料理を持ってきてあげたり、ツボにはまる芸を見せてあげたりすると、それぞれにちょっとしたご利益があるかも?
あるいは、料理中のののこママや、配膳をしているねこたちなど、天界の面々のお手伝いをしてあげるのも良いかもしれません。
また、自分たちも招待客のひとりとして、天界での宴会を素直に楽しんでしまうのも良いでしょう。
なお、天界を訪れたことで、皆さんは背中に翼のある天使の姿になっています。
自由自在に飛行するには、ちょっとしたコツを掴む必要がありますが、以前にも天界や魔界へ訪れたことがある方は、ある程度慣れているかもしれません。
また、何かしらの飛行系ろっこんをお持ちの方などは、併用することですぐにも自由に飛ぶことができるでしょう。
天界は二度目という方はもちろん、前回は悪魔だった方も、初めての方だって大歓迎です!
思い思いに、天界の新年会を楽しんでみてください。
アクションでできること
アクションには、【1】~【3】から1つをお選びいただき、行動をお書きください。
【1】神さまのお相手をする
新年会へ遊びにやってくる神さまをお迎えして、おもてなしをしていただきます。
神さまはお酒好きなので、お酌をしてあげると喜ばれるでしょう。
ほかにも、芸をして楽しませてあげたり、神さまそれぞれのリクエストに応えてあげると、ちょっといいことがあるかもしれません。
会場には、実にバリエーション豊かな神さまが集まっています。
下記の例の神さまと交流するのも良いですし、オリジナルの神さまを考えていただくのもOK!
<訪れる神さまの例>
○天宵川の主:美しい翡翠色の鱗を持つ龍神さま。細く長い身体から、転じて末永く続く良縁に
ご利益があると言われています。
○狐神と狸神:東日本の狸社会、西日本の狐社会を統べる二柱の神さま。楽しい芸が大好きで、
楽しませると金運にご利益アリとか。
○山神さま:どこかの山に祭られている、巨大な神さま。気が長く優しい性格で、好物は団子。
笑顔を見ると健やかに暮らせると言われています。
【2】ののこママたちを手伝う
神さまたちをお迎えして、天界の住人たちは、おもてなしにてんてこまい。
忙しく働いている、彼らのお手伝いをしてあげるのも良いでしょう。
<お仕事中の天界の住人たち>
○ののこママ:アホ毛がぴょこぴょこ、フル回転でお料理中。メニューは和洋中なんでもござれ。ヘルプ歓迎!
○冬の女神さま:冬を司るナイスバディな女神さま。冷たい料理のお皿を飾り付ける、雪と氷のオブジェの
制作を担当しています。
○ナマズの神さま:顔が広く、さまざまな神さまのところへ挨拶回りをしています。
お酒を運んであげると喜ばれそう。
○天使やねこたち:ののこママのところからお客さまのもとへ、一生懸命お料理を運んでいます。
【3】宴会を楽しむ
特にお手伝いには関わらず、のんびりと宴会を楽しんでいただくのももちろんOKです。
おひとりで、あるいはお友だち同士、恋人同士などで、ゆったりと天界の空気を満喫してください。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
神さまたちは細かいことを気にしないので、しれっとひとやもれいびが混ざってても気にしませんし、怒りもしませんので、お気軽に!
●舞台
天界の、万年桜が咲き誇る『桜源郷』の周辺が舞台となります。
宴会場には畳が敷かれ、その上にテーブルがずらりと並んでいます。
規格外に大きな神さまや、変わった形の神さまには、特別席をご用意。
●備考や注意点など
※今回のシナリオには参加していないPC、及びNPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になります。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております~!