ここはヒーローを喪った世界。
助けを求めすぎたヒーローが壊れ、世界そのものを壊そうとしはじめた世界。
人々は託したはずの希望を失い、絶望の巨人をただ呆けて見上げるばかり。
粉みじんになったオフィス街跡の平原に突き刺さる巨大ロッカー。
開いたロッカーから現われたのは、
サキリ・デイジーカッター。
戦女神最後の切り札にして、世界最後の希望。
寝子高空き教室、通称第零資料室はあるときだけ不思議な空間へとつながる。
救いを求める戦女神の声に応え、絶望の巨人と戦うのだ。
■第一階層:ヒーロー喪失
サキリは破壊されきった町の光景を見回して小さく首を振った。
「ここが、救って欲しいっていう世界かな」
この世界の物体は人も物もすべてがミニマムだ。まるで自分が巨人になったようではないか。
脳内に戦女神が直接語りかけてくる。
『この世界にはヒーローがおりました。あなた方と同じように、小さな人々を守って驚異と戦う日々でした。
世界はSOSにあふれ、ヒーローにあらゆる助けを求めました。
決して、応えきれるものではありませんでした。
助けに応えないヒーローを人々は糾弾しはじめました。
ヒーローは壊れ、その力を使ってこの世界そのものを壊しはじめています』
「ふうん……」
ごく普通の悲劇だ。どこにでもある悲劇だ。
けれど、ただの悲劇ではない。
『人々は悔いています。自分が犯した罪を顧みています。懺悔の心が寄り集まり、今のあなたをつくりました』
「……この、疑似身体のことだね」
自分の手を見つめ、握って開いて。思い通りに動くが、本物の身体じゃない。
一定のダメージを受けたら消えてしまう疑似身体だ。
『壊れたヒーローを倒し、世界に希望を取り戻してください。
この世界では、あなたの力はいつもより少しばかり強靱に動くはずです。
そしてもう一つ』
サキリの手の中に光でできた小ぶりなナイフが現われる。手になじむ、そして恐ろしく軽いナイフだ。
『今の私にできる精一杯の支援です。世界を救っていくたびに、その力は増すでしょう。
あとは、頼みましたよ――希望の戦士』
へし折れたタワーの影から、絶望の巨人が降り立つ。
まばたきをして、こちらを見た。
「ちょっとばかり無理はあるけど……なるほど、分かった」
サキリはナイフを握りしめ、ぎらりと絶望の巨人をにらみ付ける。
「こいつを倒せば、いいわけだ」
こちらはバトルタワーシリーズ第二回。
前回ご参加頂いた方々も、今回からご参加頂く方々も、制限はありませんのでふるってご参加ください!
完全バトルシナリオとなっております。
三つ四つ特殊なワードが出てきますので、よくわからないなと思ったら用語説明をご覧ください。
ここまでのあらすじ
寝子島高校通称第零資料室の扉が、あるときだけ異世界へのログインルームにつながりました。
異世界の戦女神がログインした皆さんに言います。
『異世界を絶望に堕としてしまった敵と戦い、希望を取り戻してください』
あなたは再びログインルームに訪れ、異世界へ『疑似身体』を送り込むのです。
※今回からの追加要素
寝子島高校でのファーストコンタクトを経て、シーサイドタウンの使われていない倉庫やテナント募集中のオフィスビルなど、高校関係者でない方でもログインルームへつながる扉を見つけるようになりました。
偶然拾った、もしくはポストに入っていた『希望の鍵』を使ってドアを開いた時のみ、ログインルームへとつながります。
この『希望の鍵』はシナリオ参加者全員が一つずつ持っているものとします。
シチュエーション
全てがミニマムな世界です。相対的にみて、あなたは人々の目に巨人のように映るでしょう。
殆どのビルが粉みじんに砕けて砂利道のようになった東京周辺(によく似たエリア)からスタートとなります。
相手もこちらの介入に気づいて襲ってくるので、都内だけで戦うことになるでしょう。
エネミー
三種類の『壊れたヒーロー』が存在しています。
全部をいっぺんに、もしくは順番に相手にすることは難しいので、大体三チームほどに分かれて戦うことをお勧めします。
・絶望の巨人
どこかの誰かが正義のために巨大化したヒーローでした。
全身が黒い光に包まれています。
主に素手での格闘能力に優れ、俊敏な動きで死角をついていきます。
・絶望の怪獣
全てを焼き払う炎をはき出す怪獣です。
フォルムは二足歩行する爬虫類に近く、強靱なパワーと生命力が武器となります。
・絶望の人型兵器
巨大な人型ロボットですが、その姿は真っ黒い闇のオーラに包まれています。
全身の武装から放つ小型ミサイルや巨大な剣といった武器でもって戦います。
戦女神の力
みなさんは戦女神からの支援を受けることが出来ます。
まだ最初の世界なので、望んだ武器を一種類だけ手に入れることが出来ます。
二刀流のナイフや、アサルトライフル、ロングソードなどです。
しかし与えられるダメージ量は一定なのでどれだけ派手な武器をオーダーしても威力は同じになります。
用語説明
●『疑似身体』とは
特殊なボックスに入ることで、あなたの疑似身体が異空間に生成されます。
ここでは、あなたはこの疑似身体を使って戦闘を行なうことになります。
疑似身体は表面は普段の皆さんソックリですが、中身はカラッポのボディです。
いつもの身体のように動き、ろっこんも疑似身体を『自分』扱いにして発動します。
ただし一定以上のダメージを受けると消滅し、『強制ログアウト』状態になります。
耐えられるダメージ量は人それぞれですが、主に肉体的精神的なパワーの総合値が設定されているようです。
一時的な怪我や病気をはじめとする体調不良は反映されません。逆に一時的なドーピングや肉体変化も反映されないようになっています。
また、自らの手足のように扱える愛用の道具があれば、ロッカーへ一緒に入れることで反映させることができます。
●『ログイン』とは
ロッカーに入り、疑似身体を使って異空間に意識を飛ばすことをここでは『ログイン』と呼びます。
ログイン中はあなたの本体は休眠状態になり、意識が完全に疑似身体側へうつります。
●『戦女神』とは
自分の世界と寝子高第零資料室をつなげた異世界の神様です。
人々が希望の種をもったとき、その力を集めて世界に疑似身体を作り出します。
世界に希望を取り戻すたびにその力が増し、戦闘による戦女神からの支援も増えていきます。