苺ケーキを思わせる少女趣味な城のバルコニーへと、舞い降りて一礼するは翼生やした漆黒の騎士。
こちらも苺なアンティークチェアに身体を預けていたクローネはその姿を見留めるや、
「全く、融通が利かないわねぇ。今はそういうのはいいのよ、愚図」
と、苛立ち露わに「こちらへ来い」と翼の一振りで騎士へと指図をした。
椅子の横に膝をつき、騎士が彼女の耳元に何かを囁く。
「……そう。森火事の方は無事に収まりそうなのね。あんた達が有能すぎて、涙が出そう」
その声には、明らかな皮肉と怒りの色が滲んでいた。
機嫌を取るように騎士が己の口元に寄越した苺をぱくりとはしたものの、
「ああもう! あんた達も! それからあの馬鹿娘も、みぃんな役立たず!」
と、彼女の癇癪は収まる気配が微塵もない。
「森は燃えて、世界樹は倒されて! 翼の生えたバケモノは侵入者共に絆されて、あのおっさんには逃げられて!? 一体どうなってんのよ、この無能!!」
純白の猫足テーブルの上にある硝子の器を、クローネは叫ぶと同時に薙ぎ払った。
器に収まっていた艶やかな苺達が、バルコニーにぱらぱらと散らばる。
おろおろとするばかりの騎士を横目に見遣って、クローネは舌を打った。
「何とか手を打たないと……特に、あのおっさんは放っておくわけにはいかないのよねぇ」
思案の淵にふと沈んで――やがて魔性のカラスは、
「……そうだわ」
と、思いつきに双眸を爛々と輝かせる。
「まだ、便利な道具が残ってる。あれだって状況が分かってるんなら、無理をしてでも私の意に沿うはずだわ」
クローネがそう呟くや――バルコニーは、ざわざわとその姿を変え始めた。
……いや、バルコニーだけではない。
城全体が、まるでそれ自体が意思を持った生き物のように脈動している。
姿を変えていく城から、騎士は逃げるように仲間達の元へと飛んで逃げ、
「さあ、全部閉じ込めてしまいなさい! あのおっさんも、邪魔者達も!」
クローネは、蠢き始めた城の只中で、けらけらと高らかな笑い声を響かせた。
「私のこの完璧な世界に、水を差した罪は重いわよぉ!」
◇
場所は変わって、パステルカラーの小花が咲き乱れる野っ原。
森火事から脱した一行は、翼獣達と共に残っていた仲間と合流していた。
ストロベリーソーダ色の甘い空に、森を一つ燃やし尽くした炎が生んだ煙がたなびく。
その様子を見遣って、けれど、
呉井 陽太はほっとしたような息を吐いた。
「どうやら、最悪のシナリオは免れたみたいだねぃ」
轟々と燃え盛っていたお菓子の森にも、今はもう鎮火の兆しが見えている。
黒い騎士達が最早こちらには目もくれずに、総出で消火活動に当たっているのだ。
「とりあえず、もう心配いらねぇみたいだぜ!」
楢木 春彦が、自分の傍らに寄り添う翼の生えた黒豹に似た獣――翼獣へと頼もしいような声を掛ける。
翼獣達は群れの救助に当たってくれたメンバーに恩義を感じているようで、その一人一人を守ろうと心に決めているかのように、一人につき一体、すぐ隣に控えているのだった。
成り行きで共に森火事から逃走することになり今は少し離れた所に位置取っている犬杜 初と犬杜 一閃。
その2人に睨み殺さんばかりの視線を遣っては、初をたじろがせ、一閃を硬直させてもいるのだけれど。
「さて、憂いも一つ減ったことだし……」
赤の眼差しを真っ直ぐに救出された
津止 孝道先生へと寄越して、
サキリ・デイジーカッターが口を開く。
「津止先生、何か知っていることは?」
端的なサキリの問いに津止先生は僅か逡巡の色を見せたが、やがて、
「……先ずは、礼を言わねばならんな」
と、ぽつり、重い口を開いた。
「これは誰にも話すつもりのなかったことだが、私には……」
津止先生が低い声で語り始めた、その時である。
ゴゴゴゴゴと音を立てて、野っ原を不穏な地響きが襲った。
「な、何だ!? って、おいあれ!」
一行の目に映ったのは、のたくりながらこちらへと迫ってくる苺の城。
ぐんぐんと肥大化して元の形とかけ離れていくその姿はまるで巨大な化け物のようで、メルヘンチックな色合いや装飾とのコントラストは、いっそその醜悪さを際立たせていた。
「待って……動いてるのは、城だけじゃないみたい?」
足元へと意識を集中させれば、野っ原――いや、その地下にある何かが、城と同調して動いているようで。
けれどその気づきに対応する間もなく、野っ原のあちこちが大口を開けるようにぱくりと裂けた。
ふわり、落下が始まる前の一瞬の浮遊感。
裂け目の底には、乙女チックな地上の風景とは対照的な、暗く淀んだ闇が広がっている。
「次から次へと……全く、忙しないな」
激動する世界の中で、サキリは淡々としてそう呟いた。
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
こちらは、乙女チックな異世界の謎に迫るシリーズシナリオの第2話となっております。
呉井 陽太さん、楢木 春彦さん、サキリ・デイジーカッターさん、ガイドへの登場誠にありがとうございました!
なお、もしこのシナリオにご参加いただける場合ですが、
ガイドは一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ。
世界間の境界の緩みから、乙女チックな謎の異世界へと誘われてしまった寝子島の住人達。
彼らによって『翼獣』と命名された翼ある獣や、クローネと関わりのあるらしい少女と男――初と一閃との出会い。
危険に溢れた異世界での思い思いの行動の末に、一行は襲い来る世界樹を倒し、
鳥籠(或いは檻)に囚われていた津止先生を救出することができました。
そんな彼らを突然の森火事が襲い、一同は再び野っ原へと戻ることを余儀なくされたのです――。
第2話の概要
世界樹を倒し津止先生を救出した後、森火事という危機を脱すること叶ったPC様達ですが、
苺のお城の肥大化に巻き込まれて地下に広がる迷宮へと閉じ込められてしまいました。
早速ピンチですが、地下迷宮は苺のお城と同調しており、繋がっていることが考えられるので、
立ち回り次第では苺のお城にて情報収集が可能かもしれません。
早く寝子島に帰りたい! クローネやこの世界の秘密を暴きたい! など思いは様々かと思いますが、
今回の一応の目的は、地下迷宮の脱出及び苺のお城での情報収集となっております。
また、皆様のアクション次第では、クローネとの接触も図れるかも……?
世界間の境界が緩んでおりますので、
前回は参加していたけれど今回は不参加で! という方は寝子島へ戻れたことに、
前回は不参加だったけれど今回は参加する! という方は気づくとガイド直前の状況に置かれていた、
といったふうに解釈していただければと存じます。
第1話に引き続き、アクション次第で戦闘の回避も可能&情報収集や探索、推理が重要な意味を持ちますので、
戦闘は不得手だけどこの世界やクローネの秘密に興味アリ! という方のご参加も勿論歓迎です。
必ずしも採用できるとは限りませんが、
推理の内容次第では、展開に大きく影響を生じさせることも可能となっております。
また、PC様たちは突然異世界に飛ばされてしまいましたので、
その状況で持っていて不自然な物の所持・使用は採用できない場合がございます。
なお、第1話よりご参加いただいているPC様の所持品は、基本的に第1話ラストからの引き継ぎとなります。
ポケットから飴玉が一粒出てきた! 程度の所持品追加は採用の可能性がございますが、
無理があると判断した場合は採用いたしかねますのでご注意くださいませ。
例外として、こちらも無理がないと判断できる範囲でとなりますが、
前回ラストから今回ガイド開始までの間に野っ原などでアイテムを調達することは可能です。
また、PC様が知り得ないことを知っている前提でのアクションは採用いたしかねる場合がございますが、
アクション内でPC様が知っている情報に落とし込むなどの工夫をしていただけますと、
リアクションでの行動採用率がぐんと高くなるかと思います。
第1話の皆様の行動によって一部のPC様に明らかになっている情報はこの色、
未だPC様が知り得ない情報はこの色で記載しております。
なお、この色の情報を始めとする一部のPC様だけが得た情報は、
コメントページにて6月23日が終わるまでに限り、
その情報を既に得ているPC様がその情報について【共有】と冒頭に付けた上で発言することで、
第2話ガイド本文の開始時に行動を共にしている、本シナリオの全参加者様が当該情報を共有することが可能です。
異世界について
ストロベリーソーダ色の空や苺をモチーフにしたキュートなお城が印象的な、
見渡す限り、ガイドにあるような乙女チックな光景が広がる世界です。
ですが、苺のお城の肥大化により、かなり様相が変わってしまった様子。
また、そこに存在するものは見た目はともかく危険な性質を持ったものが多いようです。
地下迷宮+αについて
苺のお城の肥大化によって顕わとなり、PC様方を飲み込んだ地下迷宮。
石造りの迷宮内は暗く淀んでいて、地上とはまるで別世界のようです。
PC様方を飲み込んで間もなく入り口は閉じ、地上への道は閉ざされてしまいました。
苺のお城の肥大化に伴い現れたことから、どこかで城と繋がっていることが考えられます。
また、地下迷宮内は幾つかのルートに隔てられており、
別ルートを行くメンバーとの合流は困難を極めそうです。
なお、地下迷宮の壁などにはろっこんを含む攻撃がほとんど効かない様子。
第2話はPC様達がこの迷宮に飲み込まれたところからのスタートとなります。
以下のABCのどれかひとつを選んで、
必ず「キャラクターの行動」欄の冒頭に【A】【B】【C】と記入してください。
また、特殊な選択肢として、地下迷宮への落下から逃れた場合の【D】がございます。
なお、PC様は基本的に偶然いずれかのルートに飲み込まれたことになります。
地下迷宮の通路の先にはそれぞれに試練が待ち受けており、
基本的にそれを攻略しなくては苺のお城には侵入すること叶いません。
ですので、攻略失敗時は苺のお城を探索することができませんし、
攻略に時間が掛かった場合にはその分探索に掛けられる時間が減ってしまいます。
また、戦闘に敗北した場合【A-2】~【C-2】には行けず、非常に過酷な状況に陥ります。
判定次第で実際に敗北もあり得ますので、その点ご注意くださいませ。
【A】津止先生と同じルートに飲み込まれる(鏡の間ルート)
広々としていながらも陰鬱な通路の先には、幾らもの鏡に壁をずらりと彩られた大広間。
一際目を引く巨大な鏡には周囲には見当たらない上りの階段が何故か映り込んでいますが、
広間で一行を待ち受ける奇術師の意思か、広間に足を踏み入れた段階では階段の利用は不可能です。
対峙することになるのは、奇術師の姿をして、杖を手にした奇妙なオートマタ。
奇術師の杖はぐねぐねと自由自在に伸縮し、杖に少しでも掠った場合、
『優しさ』や『やる気』、『判断力』などの『形のない何か』を奪われてしまいます。
奪われたものは、奇術師を倒せば持ち主の元に戻ります。
杖に触れられた際に何を奪われるかは指定できません。
また、広間にある鏡達からは手のようなものが伸びてPC様方を襲ったり、
或いは津止先生を鏡の中に引きずり込んだりしようとします。
ある条件下においてのみ、鏡はどこか別の場所に繋がっている様子……?
☆同行NPC:津止 孝道先生「……最善は尽くそう」
戦闘能力は皆無ですが、皆の足手まといにならないようにとの意思はあるようです。
【B】犬杜 初と同じルートに飲み込まれる(おもちゃの間ルート)
広々としていながらも陰鬱な通路の先にある大広間の奥には、錠前付きの重厚な扉が見えます。
どこか気味の悪いおもちゃだらけの広間で待つのは、自由に宙を舞う《強欲な幽霊》。
半透明の身体の中には、鍵のようなものが透けて見えています。
《強欲な幽霊》は正確には霊ではなく思念の塊のようですが、
触れた相手の外見と能力をコピー&ストックし、状況に応じて使い分けることができます。
また、ろっこんをコピーした場合、発動条件は全て『手を叩く』となります。
能力発動の瞬間、《強欲な幽霊》の外見は能力の持ち主と同じものに変わります。
《強欲な幽霊》は半透明ですが、攻撃は当たればちゃんと通ります。
また、広間のおもちゃ達も、PC様方に纏わりつくなどして妨害をしてきます。
☆同行NPC:犬杜 初 「クローネ様、ういがすぐに参ります!」
急ぎ先を目指したいらしく、ある程度の協力はやむを得ないとの考えのようです。
但し、気が急いているためか放っておくと突っ走りがち。
【C】犬杜 一閃と同じルートに飲み込まれる(番人の間ルート)
広々としていながらも陰鬱な通路の先にある大広間の先にある上り階段の前には、
巨大なゴーレムが立ち塞がっており、階段への道を守っています。
階段への道を守ることが至上命令のようですが、敵と見なされれば容赦のない攻撃が加えられるでしょう。
また、番人の間には、獅子、狼、蛇、熊、狐、虎、山羊の石像が見られます。
ゴーレムは余程のことがない限り階段前から動くことはありませんが、倒せば通過は可能となります。
ゴーレムは非常に硬く床を砕くほど腕力が強い他、3つある目からビームを照射してきます。
ビーム自体に破壊力はありませんが、ビームを浴びてしまってから数分程度は、
負の感情に心を支配され、冷静さを欠いたり戦闘そのものが困難になったりします。
付与される負の感情の種類は『怒り』『恐怖』『絶望』の3種類で、
どの感情が付与されるかは指定不能となっております。
☆同行NPC:犬杜 一閃 「……俺のことは、捨て置いてくれ」
衰弱がどんどん進行しており、物語開始段階で既に歩くのがやっとの状態です。
【D】何とか地下迷宮に飲み込まれずに済んだ
何らかの方法で難を逃れ、地上に取り残された形になります。
どう動くも自由ですが、肥大化した苺のお城には侵入できそうな箇所は見当たりません。
余程の工夫をしなければ活躍が難しい高難易度ルートですが、チャレンジは歓迎です。
苺のお城内部について
地下迷宮の試練を乗り越えること叶えば、苺のお城の内部を探索することができます。
肥大化した苺のお城は元の形を保っていないようで多くの不思議に溢れていますが、
苺モチーフを多用した乙女チックな内装であることは全ての部屋に共通です。
なお、各部屋の探索に割ける余裕は地下迷宮での戦闘の影響を受けます。
【A-2】記憶のライブラリ
鏡の間の試練を乗り越えた先に待つ、壁一面に本に溢れた書架が並ぶ一室です。
【A】を選んだ際に階段を上るまでに至った場合、必ずこの部屋に辿り着きます。
書架に並ぶ本にはクローネの記憶に関わりのある情報が記されているようですが、
どの本も完全な状態ではなく、その内容は悉く断片的なものです。
各本の背表紙には本の内容を示唆するようなタイトルが、
表紙には自然界に存在するものの絵が、1冊につき1モチーフ描かれています。
【B-2】邂逅のギャラリー
《強欲な幽霊》を倒した先に待つ、部屋中の壁を絵画に彩られた一室です。
【B】を選んだ際に扉を潜るまでに至った場合、必ずこの部屋に辿り着きます。
中の様子が動いて見える銀の額縁の絵に触れると、絵の中に潜ることができます。
絵の中に居られる時間は数分だけで、とても体力を使うので1人につき1枚の絵に入るのが限界でしょう。
(滞在時間は延ばせませんが、1枚の絵に一度に複数人が潜ることは可能です)
銀の額縁の絵は、『緑と水のある風景』・『荒野の行く末』・『鴉の見る夢』の3枚で、
1枚目には緑豊かな水辺の様子、2枚目には鈍色の空の下に広がる荒野、
そして3枚目にはイケメンを侍らせ金色の石の首飾りを身に付けた1羽の鴉の姿が描かれています。
また、部屋には淡く発光する植物園のような場所が描かれた金縁の絵が1枚だけ飾られており、
額縁には『鍵は追憶と背中合わせ』との文字が刻まれています。
【C-2】夢想のベッドルーム
ゴーレムを倒した先に待つ、乙女チック色全開の広い寝室です。
【C】を選んだ際に階段を上るまでに至った場合、必ずこの部屋に辿り着きます。
少女趣味なデスクの上には日記らしき物がありますが、
開くと日記の頁達は部屋中にあっという間に飛び去ってかくれんぼを始めてしまいます。
また、部屋には日記の頁以外の物も隠れているかもしれません。
部屋にはデスクの他に天蓋付きの豪奢なベッドや椅子、暖炉、天井にはシャンデリアがある他、
壁には時計や鏡、絵画等が所狭しと飾られています。そのどれもが苺モチーフ。
また、ダストボックスやクッション、ぬいぐるみ等の小物も全て苺一色です。
なお、部屋の中央にあるテーブルの上には花瓶がある他お菓子が用意されており、
食べると怪我が治る、体力が回復する、元気が湧いてくる……等々のプラスの効果か、
不安な気持ちになる、身体が重くてしばらく動けなくなる……等々のマイナスの効果が、
お菓子1個につき1つ、ランダムに付与されます。
傲慢の温室について
探索可能な3つの部屋の内部には、太陽・月・星が描かれた扉があり、
扉には『この先、傲慢の温室』『太陽も月も星明かりも全て私の物』と刻まれています。
なお、記憶のライブラリにある扉には太陽の、邂逅のギャラリーの扉には月の、
夢想のベッドルームの扉には星の印が刻まれており、3つの扉全てに何かが填まりそうな穴があります。
そのままの状態では、扉を開けることも破壊することも叶わないようですが……?
なお、傲慢の温室は、苺のお城の肥大化により、バルコニーが変化したことで生まれた温室です。
何故か苺が生っている&淡い光を放っている植物達に彩られた、楽園のように美しい一室となっています。
異世界に存在するものたちについて
○苺のお城
苺ケーキを思わせるとてもメルヘンチックで立派なお城。
突如意思を持った化け物のようにうごめき出して肥大化し、
地下に広がる迷宮にPC様達を飲み込んでしまいました。
○野っ原
パステルカラーの小花が咲き誇る広々とした野っ原。
肥大化した苺のお城に大部分を侵食されています。
○宝石の森
宝石でできた草木に彩られた森です。
とても美しい森ですが生育する植物は鋭利なものが多く、触れると危険です。
○お菓子の森
まるでお菓子でできたような草木に彩られた森でしたが、火事で焼け崩れてしまいました。
黒い騎士たちが消火に当たっているので、延焼の心配はありません。
○世界樹
淡く金色の光を放ち、薄桃色の睡蓮に似た花を幾らも咲かせる巨大で立派な樹でしたが、
戦いの末にPC様方に倒され、既に力を失っています。
○毛玉
真っ白の毛に包まれたつぶらな瞳の小さな生き物。サイズはハムスターくらい。
その毛はふかっふかに見えますが、触れると何故だかチクリとします。
触れると一時的に身体のどこかがランダムで麻痺して行動に支障をきたしますが、
積極的にこちらを狙ってくることはありません。
野っ原や宝石の森だけでなく、地下迷宮にも生息している様子です。
○吸血ぬいぐるみ
空をふわふわと飛ぶ可愛いぬいぐるみたち。種類は様々です。
凶暴な性質でPC様たちに積極的に襲い掛かってきました。
彼らに噛みつかれると傷口がズキズキと痛むだけでなく、
噛まれてから長くて数分ほど、一時的に思考力が著しく低下してしまいます。
他の刺激を受けることで、正常な思考を取り戻すことも可能なようです。
完全にクローネの支配下にあるわけではありませんが、
彼女を恐れているようで、クローネや彼女の眷族たちを襲うことはありません。
地下迷宮の通路にもその姿が見られます。
○黒い騎士
背中を彩る漆黒の翼が特徴的な、揃いの黒い騎士服を身に纏った美男子たち。
背中の翼で空中を自在に飛び回り、手にした鋭い槍で攻撃を仕掛けてきましたが、
現在は森火事の鎮火活動及びその後始末で手いっぱいな様子。
心臓部以外には触れることができません。その正体はカラス……?
クローネの忠実な手下たちで彼女の命令は絶対です。
○翼獣
獅子ほどの大きさの黒豹に似た獣。背中には鷲の翼が生えています。
刃物で傷つけられたものやその末に命を落としたものも多く警戒を強くしていましたが、
人間の言葉こそ喋れないもののそれなりに高い知能を持ちある程度の意思疎通が可能で、
第2話開始段階では、救助活動を行った一部のPC様方に絶対の信頼を置いています。
ガイド本文の通り第1話で彼らの救助に当たったPC様に関しましては、
お一人につき1体の翼獣が傍についていたため、ルートを同じくすることになります。
その他の翼獣は、飛んで難を逃れたり意図せず地下迷宮に迷い込んだり。
救助に当たったメンバー以外の参加者様に関しましても、
何らかの働き掛けにより翼獣が共に行動することを認めた場合、
彼らは力となってくれるでしょう(ある程度の要求も聞いてくれます)。
人間を1人、やや不安定になりますが頑張れば2人まで背に乗せて空を飛べます。
現実世界には存在しない獣ながら、乙女チックな外見ではありませんが……?
なお、初と一閃(特に初)には強い敵意を抱いているようです。
○翠玉の葉
宝石のように煌めく植物の葉の部分。エメラルド色で、刃のように鋭利な形状です。
野っ原に点在する苺や宝石のオブジェの陰や、宝石の森に群生しています。
見惚れるほど美しくも剣の切っ先のように鋭く硬質で、
無防備に触れると傷を負うことは避けられません。
○紅玉の実
宝石のように煌めく植物の実の部分。ルビー色で、形は木苺に似ています。
野っ原に点在する苺や宝石のオブジェの陰や、宝石の森に群生しています。
但し、摘んでから5秒ほどで爆発を起こします。
○苺ミルクの小川
野っ原の端の方を延々と流れる、苺ミルクのような淡いピンク色の小川。
口にすると、程度は喉を通してしまった量によりますが、意識を朦朧とさせてしまう危険な毒です。
致死性こそありませんが、大量に摂取するとそのまま意識を失ってしまう模様。
登場NPCについて
○クローネ
寝子島で暗躍しているあのクローネ。
苺のお城を何らかの方法で肥大化させて、PC様達を地下迷宮へと飲み込ませました。
本人(本鳥?)は上述の温室にて絶賛寛ぎ中。
○犬杜 一閃(いぬもり・いっせん)
衰弱した様子を見せる鍛えられた体躯の背の高い男。年の頃は20代後半くらい。
従妹であり唯一の家族である初を非常に大切に思っている様子。
クローネに監視されている身で、語れることはあまり多くないとか。
○犬杜 初(いぬもり・うい)
クローネに心酔する高校生くらいの少女。気が強く傲慢、やや単純な性格。
物質の見た目を苺に変えて自在に操るもれいびですが、能力の発動条件や詳細は未だ不明です。
○津止 孝道先生
クローネに捕まっていたところをPC様方に救出されました。
何らかの利用価値があるとクローネに思われている様子……?
どこまで辿り着けるかは皆様のアクション次第です!
それでは、ご縁がありましたら何卒よろしくお願いいたします!