「イェーーイッ!!」
思い切りハイタッチ。
パンッ、と乾いた音が気持ちよく響く。
寝子高に来て数か月。
最近は神魂絡みの事件が増え、こうやって友人と寛ぐ時間は確実に減っている。
だから春彦は、この時を精一杯楽しんでいた。
クヨクヨと悩んだりするのは、自分には合わない。
先程のハイタッチだって、それ程劇的な意味が合ったわけでは無い。
購買の焼きそばパンに、当たりと呼ばれる小さなウィンナーが入っていた。
それだけの事を友人は大げさに驚き、大いに祝福してくれた。
「春彦君は運がいいねぃ。今年だけで3回目だよぅ」
「呉井だって、こないだ当たったろ?」
確か、3日前の事だ
「アレは半分。中吉ってとこじゃないかねぃ」
友人、呉井陽太は苦笑しながらアンパンの袋を開ける。
「おぅ?」
陽太の驚く声に、春彦が顔を寄せる。
見ればアンパンに付いたゴマが、2粒だけ白い。
「やったな呉井。白ゴマ1つで小吉、2つなら吉って言うぜ?」
「そーだねぃ。ツイテ来たかもだよぅ」
友人の精一杯の励ましに、陽太は手を上げて応える。
春彦もまた手を上げて、友人に屈託のない笑みを送るのだった。
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