始まりは冬休みの朝。職員室でのささやかなやり取りがきっかけだった。
「あれ、浅井先生。ジャージのここ、破けてるよ」
自分の席でプリントに目を通していた
浅井 幸太先生に声を掛けたのは、同僚の
高野 有紀先生である。
浅井先生、すぐに示された場所を確かめて――どうにも幼さの残る顔に、ちょっと苦いような色を乗せた。
「うわっ、本当だ。どこかで引っ掛けたかな……あーあ、これ、結構お気に入りだったんですけど」
「そりゃあ残念だったねぇ。でもまあ、形ある物はいつかはそうなるさ」
カカカカ! と明るく笑って、高野先生は浅井先生を慰める。
そして、ふと思いついたように、
「そういや、いいジャージが安く手に入る穴場の店があるんだけど、浅井先生も一緒に行くかい?」
と、問いを零した。自分も少し用があるから週末に足を運ぶ予定なのだ、と付け足して。
「え、いいんですか? 有り難いです、お願いしてもいいですか?」
「そりゃ、勿論だよ」
「ありがとうございます! やっぱりしっかりした物がほしいですけど、体育教師にとっては半ば消耗品ですからそこまでお金は掛けられないですし。本当に助かります!」
なんて頭を下げて、太陽のように屈託のない笑みを見せる浅井先生。
すると高野先生、そんな浅井先生の様子にちょっとした悪戯心が湧いたのか、
「何、構わないよ。……しかし、アレだね。男女が2人で出掛けるとなると、そういう仲に見られないように気をつけないとねぇ」
口元ににまにま笑いを浮かべて、意味深なことを言ってのける。
浅井先生が、きょとんとして首を傾けた。
「そういう仲、ってどういう仲ですか?」
「恋仲だよ、恋仲。そりゃ私はこんなだけどさ、まるで世に言うデートってやつみたいじゃないか」
「!? こ、こここ、恋仲なんてそんな! でっ、でで、デートだなんて!!」
耳まで真っ赤になってあわあわする浅井先生の様子に、高野先生はぷっと吹き出すとけらけらと大笑いだ。
「カカカカ! ま、そんな心配ないか!」
なんせ、私と浅井先生とじゃどう頑張っても姉弟くらいにしか見えないだろうからねぇ。
そんなことを言って職員室を後にする高野先生の背中を見送りながら、浅井先生はむうと唇を尖らせる。
日頃からこうやって高野先生に弄られっぱなし、ペースを崩されっぱなしの浅井先生。
異性でありながら気を使わずに話ができる、それでいてとても頼りになる先輩だけれど、
(流石に今のは、どうにかして一矢報いたい……!)
なんて、思わずぐっと拳を握る浅井先生である。
そして彼は、ふとシーサイドタウンの駅ビルmiaoが年末セール中であることを思い出した。
そこで普段着ないような大人な服を一通り揃えて、びしりと決めて待ち合わせ場所に現れれば……、
(高野先生だって、少しは俺を見る目を変えてくれるはずだ! ……多分!)
と、浅井先生は瞳にごうと炎を燃やす。
折がいいことに、明日は学校が閉まっていて仕事も部活も当然休みである。
そうと決まれば明日早速miaoへ行くぞ! と固く決意する浅井先生だった。
――けれど、彼は知らない。
折悪くも、明日そのmiaoにて、
『目に入る物があれもこれも素敵に見えて手に入れたくなってしまう』という厄介な神魂が猛威を振るうことになるのだということを……。
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
以下、本シナリオの詳細な説明になります。
このシナリオの概要
週末に、姉弟のように仲の良い(?)高野先生と出掛けることになった浅井先生。
いつもと違う姿を見せることで自分をからかってくる高野先生を見返したい! というわけで、
大人な服を手に入れるべく現在年末セール開催中のシーサイドタウンの駅ビルmiaoに向かうことにしたのですが、
その日miao内はちょっぴり厄介な神魂の力に溢れていて、
『目に入る物があれもこれも素敵に見えて手に入れたくなってしまう』
という具合に、足を踏み入れた人の心に影響を与えてしまいます。
このままだと浅井先生はコーディネートも何もあったものではない服などを大量に買い求めてしまい、
帰宅後途方に暮れるだけではなく、約束の日に高野先生の前で恥をかいてしまうかもしれません。
自分も神魂の力に抗いつつ、何とかして浅井先生を助けてあげてください! というのが一応の目的ですが、
浅井先生は関係なしにmiaoで年末セールを楽しむアクションなども大歓迎です!
協力すると見せかけて明後日の方向に誘導する、とかその他何でもご自由にどうぞ!
また、PC様がmiaoに向かったシチュエーションはお好みで設定してくださいませ。
偶然miaoに出掛けていてばったり浅井先生に遭遇してもいいですし、
前日に学校で本人から話を聞き、気になって様子を見に出掛けてもOKです。
(冬休み中ですが、先生は前日、職員室や部活に顔を出していました)
純粋に年末セールを楽しみたい! という場合も、勿論設定はお好みでどうぞ。
神魂の影響について
前述のように、当日miao内に足を踏み入れると、
『目に入る物があれもこれも素敵に見えて手に入れたくなってしまう』という神魂の影響を受けてしまいます。
神魂の影響の程度には個人差があるようですので、
何でもかんでも欲しくなって、欲望の赴くままに買って買って買いまくるもよし、
何かに心惹かれつつもぐっと堪えて、ご自身の目的を遂行しようと頑張るもよし、
影響の程度はアクションにてご自由に設定くださいませ。
登場NPCとmiao内のエリアについて
○浅井 幸太先生
メンズファッションエリアにて買い物中です。
大人な男の服を買いにきたはずなのですが、
神魂の影響でどの服も理想的なアイテムのように見えてしまっていて、
このままだとテイストも何もバラバラな服を手当たり次第買いまくってしまいそう。
なお、メンズファッションエリアには様々なジャンルのブランドショップが揃っており、
全ての冬アイテムがお買い得になっています。
何故こんな物が駅ビルに……というようなアイテムでも大抵揃っておりますし、
試着室もございますので皆様存分にショッピングを楽しんでくださいませ。
○久保田 美和先生
レディースファッションエリアにて買い物中です。
元よりショッピングしまくるつもりでmiaoへ。
神魂の影響なのかどうなのか「あの服もその服も可愛い!」とセールを満喫しています。
なお、レディースファッションエリアにも様々なジャンルのブランドショップが揃っており、
こちらも全ての冬アイテムがお買い得になっています。
可愛い服からデザイナーに何があったんだという物まで幅広いアイテムがございます。
試着も自由ですので、お買い物を満喫していただけますと幸いです。
○北風 貴子
コスメ&ザッカエリアにて買い物中です。
冬休みにたくさん勉強するために、ノートを買い溜めにmiaoへやってきました。
余計な物は買わず用事を済ませたらすぐに帰るつもりでしたが、
可愛い文房具や雑貨、化粧品まで気になってしまってエリアをうろうろしています。
なお、コスメ&ザッカエリアにはバラエティに富んだ化粧品や雑貨が揃っています。
雑貨の種類は、文房具・キッチン用品・ちょっとしたアクセサリーなどなど、
いわゆる雑貨屋で商われているような大抵の物は揃っています。
セール期間限定で、冬に関係ないアイテムもちょっぴりお安くなっています。
○桐島 義弘先生
ブックスエリアにて買い物中です。
目当ての本があってmiaoにやってきましたが、
あの本もこの本も子供向けの絵本さえも格別魅力的に見えてしまって悩み中。
なお、ブックスエリアにはジャンルも品揃えも豊富な本たちがずらりと並んでいます。
セール期間限定で、エリア内の全ての本が10%オフです。
マイナーな掘り出し物も眠っているかも……?
○高野 有紀先生
フードコートエリアを満喫中です。
高野先生も、偶然miaoを訪れていました。
ふとセールの文字が目に入ってふらりと駅ビルに立ち寄っただけなのですが、
今はフードコートの魔力に囚われて、片っ端からメニューを楽しんでいます。
なお、フードコートエリアでは軽食からがっつり系、スイーツまで、
様々な料理が広々とした共通の飲食スペースで楽しめます。
親しい相手と色々な料理を食べ比べるのも素敵かもしれません。
また、miaoは店舗の入れ替えがよくあるようで、
エリアなどについての情報は他のシナリオとは共通ではございません。
それでは、ちょっと変わった年末セール、お楽しみいただけますと幸いです。
ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!