澪乃 澄佳は無邪気に願った。
「寝子島でも、たまには皆と雪で楽しめますように」
ナタリア・シシロヴァは淡々と願った。
「寝子島が雪で埋もれますように」
薄野 九月は真っ直ぐな瞳で願った。
「サンタさんへ。雪がわたあめになりますよーに!」
神野 マキナは極上のスイーツを思いながら願った。
「皆で食べられる大きなクリスマスケーキなんかあれば、楽しいだろうね」
伊織 源一は夕飯の献立を考えながらも願った。
「…一度、ケーキを腹一杯になるまで食べてみたい。」
それはサンタさんへの願い事。クリスマス雑貨店、『Joulupukki(ヨウルプッキ)』の店頭に設置されていたサンタ★ポストに入れた願い事だった。誰でも気軽にサンタさんへの願い事を書いていいとあって、よく賑わっているようだ。
叶うかもしれない、叶わないかもしれない。けれど、願うことはいつだって自由だ。サンタ★ポストに手紙を入れた人たちもそんな気持ちだったのかもしれない。
そう、だから。
まさか、自分の願いが。
こんな形で、本当に叶うなんて思ってもみなかったのだ。
『てめぇらなぁ……』
テオドロス・バルツァが目の前で、それは呆れたような目で見ていた。
もちろん、サンタ★ポストに入れられた願い事だけのせいではない。寝子島に住む何人もの人が同じ様なことを願ったのだろう。願わずとも、そんなことを考えたのかもしれない。
『さすがに寝子島だけが雪に埋もれるのも、巨大なクリスマスケーキが現れるのもフツウじゃねぇからな』
世界を切り離したのだと、テオは言う。
目の前に広がるのは一面の雪、雪、雪。ともすれば遭難者も出そうなほどの深い雪だ。救いがあるとすれば、とても晴れていてホワイトアウトにはならないことか。
そして、テオが指し示すその先には――――――
巨大なクリスマスケーキが鎮座していた。
『責任持って食えよ、てめぇら!!』
テオの声が響く。その時、その場にいた全員は思った。
あれっそういえばテオの格好クリスマス仕様っぽくない? と。これってもしかして、テオなりのデレ? デレなの? 遠回しなクリスマスプレゼント的なアレなの?
でもそれを言ってしまうとテオはきっと認めないし、これが彼の気まぐれなプレゼントならそれはそれで楽しめばいいんじゃないかと思うことにした。
そして、この空間に何故か居合わせることになった君たちは、深い雪を払い除けクリスマスケーキまで辿り着き、それをひたすらに食べることになったのだった。
こんにちは、加持蜜子です。
今回はサンタ★ポストのお願いから、色々混ぜたらこんなことになっちゃった! というお話になります。
雪遊びに興じるもよし、スイーツを食べるもよし、楽しく遊んで頂ければと思います。
今回はガイドに澪乃 澄佳さん、ナタリア・シシロヴァさん、薄野 九月さん、神野 マキナさん、伊織 源一さんのお願いを採用ということでご登場頂きました、ありがとうございました。
【補足】
・雪は1メートル程の高さで、所々深い場所もあるようです。
・雪かきの道具や、雪遊びの道具は頼めばテオが出してくれるでしょう。遊び道具の場合はテオを上手く言い包めて下さいね。ただし重機の類は出せません。人力で頑張って下さい(雪かき道具・防寒具・雪遊び用道具はわりとすんなり出してくれますが、余り関係ない物だと断られる可能性もあります。全てはアクション次第です)
・切り離された世界は寝子高グラウンドにそっくりの世界です、ただし校舎の中などには入れませんし、校門から出ることもできません。あくまでも敷地の目安と思って下さいませ。
・雪はグラウンド一帯を埋め尽くしていますが、中央の巨大クリスマスケーキの周囲だけは30センチ程になっています。しかもよく見るとそこだけ上の部分が綿あめです。食べましょう。
・巨大クリスマスケーキは直径2メートル、縦3メートル程の大きさです。生クリーム部分もあればチョコレート部分もある、キャンディやクッキー、更には巨大ケーキのデコレーションに普通サイズのケーキが使われていたり……食べたいスイーツがあればケーキにトッピングされていたという名目で採用致しますのでアクションにお書き下さい。
・現実世界にはそのうち戻れますので、ご安心下さいね。