――それは、十年前に死んだ、おばあちゃんだったの。
――去年姿が見えなくなって、諦めていた飼い猫に会ったわ。
――あいつ、たしかに子供のころ、仲良かった奴だ。
寝子島に、強い風が吹いたある日を境に、『ネコ島Ch』や『ねこったー』で、あるいは学校やどこかの会社の片隅で、そんな噂が囁かれ始めた。
死んだ人や、引っ越して連絡の取れなくなった幼馴染、姿が見えなくなって死んだかと諦めていた飼い猫や飼い犬――そういうものたちと、会ったというのだ。
夢の中で。
噂は語る。
眠る前に、夢で会いたい人の写真か、ない場合は名前を書いた紙を用意して、寝子島神社の方角に向かって「○○に会えますように」と三度唱え、その写真なり紙を枕の下に入れて眠るのだと。
そうすれば、夢の中で、二度と会えないと思っていた人物ないしはペットたちと再会し、楽しい時間を過ごすことができるのだそうだ。
「バカバカしい」
噂を耳にして、一蹴したのは、
弓弦原 譲だった。
「そんな非現実的なことを、信じる方がどうかしている。第一、夢で会ったからどうだというんだ。死んだ人間が生き返ったり、音信不通だった奴が連絡して来るわけじゃないだろう」
「死人が生き返るのは無理かもしれないけど、夢を見たあとに、音信不通だった幼馴染から、本当に連絡があったって話は、私、聞いたよ?」
学校からの帰り道、一緒にいた
十文字 若菜が言う。
「それは、たまたま偶然だろう」
即座に返して、譲は小さく肩をすくめた。軽くメガネを指で押し上げ、続ける。
「なんにしても、無意味な話だ」
「そうかなあ。……誰だって、夢でもいいからもう一度会ってみたいって思う人が、一人ぐらいはいるんじゃないかな。譲君にだって」
小さく首をかしげて言う若菜に、譲は軽くそっぽを向いた。
「別に」
「ふうん。……まあいいや。私は今夜、試してみるね。そしたら、噂が本当か嘘か、わかるでしょ?」
ね? と譲の顔を覗き込むようにして言うと、若菜は笑う。
対して譲は何も言わず、ただメガネを指で押し上げただけだった。
こんにちわ。マスターの織人文です。
弓弦原 譲さま、十文字 若菜さま、ご登場ありがとうございました。
さて、今回のシナリオは『会えない相手と、夢で会う』ことをテーマとした、フリーシナリオです。
参加いただいたPCさまの見ている夢を中心に、描かせていただきます。
さて、以下にいくつかPLさま向けの情報を書かせていただきます。
◆夢で会うことのできる相手
・PCさまが、『もう会えないと思っている』誰か。
例:すでに亡くなった身内やペット。引っ越し先のわからない幼馴染など。
・アイドルやゲームキャラなど、架空の人物(ただし、歴史上の人物は除きます)。
なお、この夢で会えるのは、あくまでも『現実では会えないだろう相手』です。
しばらく顔を見ていないが、会おうと思えば会える(居場所などを知っている)相手は不可です。
また、『シナリオに参加していない登録PCさま』やNPCも不可ですので、ご注意下さい。
◆この夢について
・この夢は、一時的に神魂の影響を受けています。
・GAの場合は、グループで夢を共有している形になります。
・夢で会った人と再会できるという噂もありますが、あくまでも噂なので、そのとおりになるとは限りません。
◆アクションについて
・相手についてや、自分との関係など、具体的に書いて下さい。
・夢の中での行動も、具体的に書いていただけるとうれしいです。
・夢に登場する場所は、寝子島以外でもOKです。
・その他、行動は自由です。
以上です。
それでは、みなさまの参加を心よりお待ちしています。