ある日の寝子高生徒会会議｜リアクション

ある日の寝子高生徒会会議

○図書委員会報告

「まずは各委員会の報告からお願いする。図書委員長」
　生徒会長の声に、あたふたと満は立ち上がった。
「……はい。図書委員長の日野です。えーと……」
「リラックス」
　小声で隣の琴理が囁くのに頷き、
「先日、卒業生の方々から大量に本を寄贈していただき、利用者数は増えています」
　そんな委員長の話に耳を傾けながら、夏朝が利用者数グラフを提示する。
（頑張れ……！）
　心の中でこっそり応援している。
「もっと利用者数を増やすために、展示や読書会などは校内放送や掲示板でお知らせして、……えーと」
「利用に関するアンケートを」
　詰まった満に、隣で委員長を見守っている琴理が小声で言葉を続ける。
「利用に関するアンケート、の実施も検討しています」
　汗を拭きながら満が続けた。
（委員長として信頼はしてるけど心配よね。傍でフォローするわ）
「図書委員が新しく入荷した本の魅力を書いてカウンター近くに貼る案もあります」
　それは琴理が出したアイディアだった。
　満が予算要求に関する報告を行う間、琴理は何かあったらフォローすべく熱心に話を聞いていた。
　
（なんとか彼女との距離を近づけたい）
　一目惚れした美しい彼女に熱い視線を向ける弦一郎。
　しかしなかなか声をかけることができない。
　それならば彼女に良いところを見せるために徹底的におもてなしを行い、会議を盛り上げようと考えたのである。
「図書委員会からの報告は以上です」
　質問の手が挙がった。
「グラフで利用が多い日がありますが、このときは何かあったんでしょうか」
「え、……えーと、それは」
　詰まった委員長を夏朝がフォローする。
「この日は授業でクラスが利用した日なので、いつもより人数多い……です」
「わかりました、ありがとうございます」
　質問者がお礼を言って着席した。
「他に質問は？　……ないようだな。では次、保健委員会……」
　無事に報告を終えた満が額の汗をぬぐいながら座るのを、夏朝はほっとしながら見ていた。

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