【バレンタイン】学生達のValentine's Day!｜リアクション

【バレンタイン】学生達のValentine's Day!

★ののことあおいと楽しく愉快な仲間達！（２）
●大好きな友人達

　恵御納夏朝は友チョコを、今年はたくさんたくさん作ってきた。猫がとっても大好きな夏朝の作ったチョコは、その名も『まるまる猫さんチョコ＋α』。猫が丸くなって寝ている可愛らしい形だ。（ちなみに言えば猫チョコはミルクの茶猫、ビターの黒猫、ホワイトの白猫、ストロベリーの苺猫から選べ、その下の台座チョコは星、三日月、丸、ダイヤ、スペード、クローバーから選べるのだ！　……うわあ、可愛い！）
　それをカバンにいっぱい詰めて、夏朝は学校にやってきていた。
　カバンを持つ手は結構重い。でもそれは、夏朝がお世話になった、大事な人達がたくさんいるという事。それは、この１年がとても楽しかったという事なのだ。
　よいしょとカバンを持ち替え夏朝は廊下を歩いていた。ろっこん＜重く軽く＞で軽くしても良かったが、何となくこの重みを楽しんでいたいと発動させる事はしなかった。
　そして、野々ののこ達に遭遇する。

「ののこちゃん達……僕も一緒に配っていいかな……？」
　大好きな友人達とチョコを配るバレンタイン。何て素敵なんだろう。

　夏朝はまずののこや七夜あおいに、
「猫さんチョコ、お口に合うといいけれど……」
と言いながら、用意していたチョコを手渡した。その可愛らしい出来栄えにののことあおいの目が嬉しそうに輝く。
「うっわー！　猫さんだ！」
「夏朝ちゃん、上手なんだねぇ。ありがとう」
　凄いね、可愛いね、食べるの勿体ないねなんて顔を見合わせて口々に言う２人に夏朝は何だか照れてしまう。同時に喜んで貰えてるようで良かったとホッとした。そこに修がひょいと顔を出す。
「俺も恵御納から別なの貰ったけど、ほんと、このチョコは可愛いよな……。ありがとな、恵御納」
　夏朝は実はこのチョコとは別のバージョンも作っており、それを修には渡していたのだ。お礼を改めて言う修に、夏朝は「どういたしまして」と軽く頷く。そこに勢いよくののこが自分のチョコを夏朝に差し出した。
「はい、夏朝ちゃん！　私のチョコだよーん」
「私からもどうぞ。うーんとね、味は頑張ったつもりなんだ」
　あおいからもチョコを差し出され、夏朝の前には可愛らしい友チョコが２つ並ぶ。それを見た夏朝の瞳が柔らかく輝いた。
「本当に、ありがとう」
　夏朝はきゅっと両手で大事に２人のチョコを受け取った。

　４人になったチョコ配り。和やかに彼らは色々な人にチョコを渡していく。

　ふらりと廊下を歩いていた芽森菜々緒と坂内梨香。夏朝やののこ達からチョコを受け取り、それぞれがお礼を言った。
　菜々緒は白銀の髪をさらりと耳にかけ、優雅に微笑む。
「あら、夏朝ちゃん……ありがとう」
　梨香は白衣のポケットに突っ込んでいた手を出し、ほんの少し頬を染めて。
「ん、ありがとう」

　廊下でぽおっとしている猫島寝太郎にも夏朝達はチョコを渡した。寝太郎は何だかとても感激した様子で、
「ありがとう～！　……我がバレンタインデーに一辺の悔い無し……ッ！！」
と高々と夏朝とののこ達のチョコを片手で掲げる。その様子に夏朝達は思わず笑ってしまい、寝太郎も照れ臭そうに頭を掻きながら一緒にえへへと笑った。
　そしてそのちょっと離れた所で夏朝達を羨ましそうに見ている海原茂に夏朝は気付き、彼にもチョコをどうぞと渡す。茂はむむとメガネを直しながら、
「いや、うん、全然羨ましくなんかはなかったが……くれるならありがたく頂く」
と、そのメガネの奥の瞳を嬉しそうに細めてチョコを受け取った。

　まだまだチョコがいっぱい入っているカバンを持ちながら歩いていると、そこに友人の夢宮瑠奈が合流する。夏朝達は総勢５人となった。
　わいわいと友人達と楽しく校舎を歩くバレンタイン。その友情の温かさを感じながら、夏朝はそっと思った。

　皆に、甘い幸せが訪れますように。そして―――来年も、皆が楽しく過ごせますように！