僕の名前は梅戸有留(ばいと・ある)。皆からは「アルくん」の愛称で呼ばれてる、寝子島高校の1年生だ。成績は中の中、好きな科目は家庭科で、嫌いな科目は英語。どこにでもいる平凡な高校生だ。
……なんてテンプレ自己紹介はどうでもいいとして。
僕は寝子島の週刊タウン情報誌「Nyago Walker(にゃーご ウォーカー)」が運営しているアルバイト紹介サイト、「Nyago Worker(にゃーご ワーカー)」に短期アルバイター登録しているんだ。寝子島に関わるありとあらゆるバイトを紹介してくれるのがこの「Nyago Worker」の凄いところ。定期的にメールで知らせてくれて、興味を惹かれたり予定が合っていたり、給料がよかったら、僕は迷わず応募している。短期アルバイトは高校生には打ってつけのワークスタイルだよね。
というわけで夏のような陽射しの日曜日、僕は寝子島シーサイドタウン駅のそばにあるビルの前にいる。今回は引越のアルバイトに応募したのさ。この辺はオフィスビルが並んでいる小さなビジネス街で、休日だと人通りは少ない。集まった仲間たちは、全員僕と同年代のようだ。見たことある顔もちらほら。
「はいっ、集合したね……ふーむ偶然なのか、全員寝子島高校の若造どもだな!」
ビルを背にして立つ、サングラスに坊主で色黒のおっさん……この人が僕たちに指示を出す現場監督なのだろう。まだ4月というのに半袖シャツ、しかも袖をグルグル巻きにして、モリッとした筋肉をビジネス街でこれでもかとアピールしている。
「私が指示を出すプロフェッサー萩原だ」
何のプロフェッサーか分からないが、無駄に照りつける陽光を浴びて、萩原さんのサングラスが光っている。
「お前たちに与えられた任務。それはオフィスの引越だ……あ、これマニュアルだから、後ろの方に配っていってね」
僕はマニュアルに目を落とす。ふむふむ、今目の前にあるビルの15階にあるオフィスが、大通りを挟んだ向かいのビルの3階に引越すようだ。引越先のビルを振り返り見ると……ものっすごいボロい。これはどうみても維持費削減だ。
「とにかくパソコンとかデスクとかイスとか、運べる物は全て運べ。いいな。ここは戦場だ」
後方にあるビルの壁をドンと叩く。僕たちアルバイターの背筋がピシッと伸びた。見渡し、にやり口角を上げる萩原さん。少しの静けさの後、続けた。
「そして言っておくことがある。今日は、すぐそこのカラオケ屋が半額セールをやっている。だから俺は、お前たちがせっせと物を運んでいる間、ヒトカラをすることにした。いいな。これは本社に秘密だ」
ざわつくアルバイターたち。「それって職務放棄じゃないか!」なんてこと、勇気のない僕には言えない。
「お前たちの給料、俺が全部握っていることを忘れるなよ」
捨て台詞のように言うと、萩原さんは本当にカラオケ屋へと向かい出した。
「そうだ、一つ言い忘れていたことがある。このビル、今日はエレベーターの点検日だそうだ。つまり、お前たちは自分の足で、1階から15階までを往復するんだ。俺の定時、17時までには作業を全て終えること。いいな。これは絶対だ」
カラオケ屋へと消えていく萩原さん。残されたアルバイターは、ある者は唖然とし、ある者は絶望し……高くそびえるビルを見上げるのだった。
こんにちは。オフィス引越作業を学生時代に経験したのを思い出し、今回のシナリオを思いつきました。小西秀昭です。梅戸君らと引越のアルバイトをするのが今回のメインシナリオとなります。皆さんも「Nyago Worker」から派遣されての参加になります。
*ガイドは梅戸君視点ですが、リアクションはいつも通りに戻ります。
[オフィスの引越]
とにかく色んな物を、破損させないよう注意しながら運ぶことになります。パソコンやプロジェクターといった精密機械には十分の配慮をお願いします。ろっこん使用はもちろん可です。休日のビジネス街に、人はほとんどいないと思ってください。17時までに終わらないと、給料はもらえません。すなわち失敗です!
[引越元]
こぎれいな30階建てビルの15階にある「わりと広い」オフィスです。運ぶものは「けっこうある」と思ってください。ガイドにもある通り、エレベーターが使えません。階段を使うなり、ろっこんを使うなりして対処しましょう。ごくごく普通の室内階段になります。
[引越先]
こぎたない3階建てビルの3階になります。今にも崩れそうな外付け階段を上り下りします。引越元からは、大通りを挟んだ真向かいになります。
[梅戸有留]
短期アルバイトが趣味の寝子島高校1年生。今のところはただの「ひと」です。ろっこんの使用は、彼の見えないところ、もしくは「なんだったろう今のは?」とごまかせるよう、工夫した上でお願いします。淡々と引越作業をこなしますが、人と話すのは好きです。
[プロフェッサー萩原]
アルバイターを管理する、「Nyago Worker」の派遣社員。現在カラオケ屋で演歌を熱唱中。皆さんに支払うお給料は彼が持っています。基本放っておいて結構ですが、何か行動を起こしてみてもいいかもしれません……。
[最後に一言]
書いている自分でさえ、正直どんな話に落ち着くか見えていません。参加PC様の腕力体力、そしてろっこん次第な気がします。いや違った、アクション次第ですね。サンプルはシンプルですが、何しろアクションはもっさりお願いします! 文字数に空きがあれば、できるだけセリフ例をお願いします!