秋も深まり、寝子島図書館は今日も多くの人でにぎわっている。
うたたねをする老人、
絵本を読む小学生、
宿題を分担している学生二人組、
調べ物をする社会人……
そんななか、
「ふわあああ……」
図書館の奥から、ひと際大きなあくびが聞えた。
あくびの主は、分厚い本を読んでいた男性である。
するとどうだろう、まるでそれが合図だったように、
その時開かれていた本からするすると文章が抜け出てゆくのだ。
読みたかった小説の続き、
やっと解いた数学の答え、
調べ途中だった統計の詳細文、
そんなものが図書館のなかにふわふわと舞っている。
どうやら、これがみえるのは「もれいび」だけのようだ。
風に乗って外へ外へと出ようとする文字たちを図書館に閉じ込めるため、事態に気づいた一部の司書は必死だ。
雪代 伊織も、その一人である。
「まあ、一体どうしたのでしょう。……ともかく、図書館を通常通り運営しなければなりませんわね」
窓もドアも閉じられ、やがて館内には不思議なアナウンスが流れた。
「申し訳ありません、現在、システムの誤作動で館内のドアが全て閉まっております。ご不便をおかけしますが、復旧までなにとぞご容赦くださいませ。……また、『なにかお気づきの点がある方』、もしおりましたら、カウンターまでお越しくださると嬉しいですわ」
ご無沙汰しています、貝です。こんにちは。
ガイドには雪代 伊織さんにご登場いただきました。ありがとうございました。
○シナリオについて
「あくび」をした瞬間に「あくび」をした人物の持っている本、レポート、書き物などから文字が逃げ出しています。文字を回収するまで、図書館の扉は開かれそうにありません。
○文字について
・基本的に列をなしてふわふわと浮遊しています。
捕まえようとすると、すばしっこくなり逃げてゆくので注意が必要です。
・自分が書かれていた「本」や「紙」を近づけると動きが鈍くなります。
・「本」や「紙」で文字を挟むと、開いた時には元に戻っています。
○カウンターについて
カウンターにいくと状況を把握している一部の司書の方から、収集に使えそうなものを貸して貰うことができます。
・虫取り網
・文房具一式
・脚立
・パソコン
などなど……。欲しいものがあればカウンターに向かうことをおすすめします。
尚、図書館にあると思われる本や備品は通常通り使用して構いません。
<注意>
お求めとあらばどんな備品でもお貸ししますが、「図書館でやっていると不自然なこと」を行うと他の利用者から質問されることがあります。それっぽい理由をきちんと考えておいてください。
○「あくび」と「文字」について
・「ひと」のあくびでは何も起こりません。「もれいび」にだけあくびの怪が訪れます
・効果は1回限り。ひとり1あくびのみ不思議な現象が起こります。
ただし、1度外に出た文字は元に戻さない限り飛び回り続けます。