それは、ひとの世界とは少し異なる世界でのこと。
桜と思わしき花びらが一斉に舞い踊る空気の向こうに、純和風で建てられたお城がひとつ。
しっかりとした造りの内部では、畳の広間に二本足で歩く不思議ないぬ達が、並んで向かい合っては上座のいぬに報告をしておりました。
「いぬ皇さま! 今年も『さくら』の花が綺麗に咲いたでござるワン!」
「うむ。我も今日、城の窓から見たワン。今年は一際、素晴らしい咲き具合だワン」
「しょうぐんさま! 今年の祭りの準備は整っているでござるワン!
これなら、しょうぐんさまのお声一つで、今年から一際に『ぐれぇと』になった『いぬの国さくら祭り』が開催できるでござるワン!」
「うむ。それならば、早速明日から開催するのだワン!」
上座にいた、一際大きないぬが高らかに言いました。
「──僅かとはいえ、人に国を開きつつある『ねこの国』に、我々『いぬの国』が負けてはならぬワン!
同じ位であっても、劣ることは決してあってはならぬワン!
こちらも『ねこよりほんの少し多い程度』に人を招待し、我々の素晴らしさを余すとこ無く『あぴぃる』するのだワン!!」
こうして、いぬ皇ともしょうぐんとも呼ばれたいぬの一声と共に、いぬ達は一斉に部屋を飛び出して行きました。
行き先は──寝子島。今、世界でもっとも別の世界との境が不安定な場所。
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それからしばらくして。
エノコロ岬で、突如現れた真っ黒い大岩から、不思議なものが大量に目撃されました。
『二本足で歩く上に、きちんと言葉を喋る犬』
──過去、
良くテオが空間を切り分けなかったなと思う位に目立つ日本甲冑を纏って、寝子島中を練り歩いたその『いぬ』達は、今回は何も着ていない代わりに招待状を持って、寝子島を訪れたのです。
「今、あっしたちの国で『いぬの国さくら祭り』が行われているワン!
来たひとは、みんないぬになるけれども、祭りが終われば元通りだワン!」
「今『さくら』の樹の花が満開で、飲むとテンションが上がる体に悪くない甘酒が振る舞われているワン! 花見をするなら、今が『ちゃんす』でござるワン!」
「今年のさくらの木で作った、カマボコ状の板にお願い事を書いて木につるすと願いが叶う! ……と言われているワン」
「締め括りには、我々いぬが極めて大変な練習を詰んだ、太鼓演奏隊が広場で演奏をするんだワン! 飛び入り参加も認めているワン! きっと賑やかになること間違いなしだワン!」
「……。招待状は、いぬ一匹につき、ひと一人が『のるま』なんだワン……渡さないと、帰れないんだワン……
どうか助けると思って、遊びに来て欲しいんだワン……」
今にも泣きそうな眼差しのいぬから祭りの説明を受けて。
招待状だという縦長封筒を開いた中には、和紙の便箋に、字が汚いのか達筆すぎるのか分からない文字と共に、犬のしょうぐんのものと思わしき肉球マークが、墨でぺたりと押されておりました──
こんにちは。この度マスターをつとめさせて頂きます冬眠と申します。
今回は、シリーズとして以下シナリオと世界観が繋がっており、ご一読頂けますと何となく世界観が掴めますが、全く知らない状態でもお気軽にお楽しみ頂けます。
時系列順
○~にゃんこ西暦222年~ ねこネコ王国祭!!
○「いぬ」のお手伝いさん
○【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ!!
まずは、この不可思議な状況からご説明させて頂きます。
これまでの状況
▼現在まで
○2本足の『いぬ』と『ねこ』が喧嘩している世界があります。
普段は姿を見せませんが、神魂影響により祭りの日などは、エノコロ岬に大岩らしきものが出現し、世界が繋がってしまいます。
○春のソメイヨシノに酷似した『さくら』という樹がいぬの国で満開になると、いぬ達は毎年、国を挙げての大きな祭りを開催してきました。
◎『ねこの国』が、過去に祭りの日だけ、異界の人の来訪を許可していた事を知った一番偉いいぬが『ならば我が国も』と、大々的にいぬの家臣を使いっ走りに出して、今回の祭りに人を招待しています。
▼場所と日時について
【場所】
○場所は、エノコロ岬の先端に近い所です。
日常では存在しない、突如現れた黒い大岩に触れると、あっという間に『いぬの国』の祭り会場前へと到着します。
(ここに来た人(参加者の方)は強制的にいぬの姿になります。詳細は下記部分をご参照ください)
祭り会場前では、お侍さん風の格好をしたいぬが、祭りの説明と荷物検査をしています。
【日時】
○お祭りは、一番盛り上がる最終日です。朝から晩まで行われます。
祭が終われば、自動的に追い出されるように元の世界に戻され、行き来も途絶えます。
○元の世界からの日用品、または祭りで手に入れたものの一部等は、一緒に持ち込みや持ち帰ることも可能となっておりますが、確実ではありません。
具体的に何が出来るの?
▼【出来ること/催し物】
○自由にいぬの国の探索が行えます。
○祭り内の催しに参加し、祭りを楽しむ事が出来ます。
祭りでは、以下の催しが行われています。
・『さくら』の大樹と木々があちこちに満開の花をつけており、いたるところで花見が行われ、甘酒が配られています。ノンアルコールですが、飲むと軽く酔ったように心が軽くなり、テンションが上がります。
・祭り会場の一角で、『さくらの木から作ったカマボコ状の板』を配っています。それに願い事を書いて、木につるすと叶うと言われていますが真偽の程は不明です。
いぬ達は、結構信じているようです。
・夜のグランドフィナーレとして、祭りの中央広場では沢山のいぬ達による太鼓の演奏が行われます。
曰く、過酷な練習を積んだそうですが、当日の飛び入り参加も歓迎しており、演奏のクオリティはあまり求められていないようです。
・その他、人間界へ招待状を届けたついでに持ってきた材料で様々な屋台が出ています。これらは一番偉いいぬの計らいで、貨幣がなくとも自由に食べ歩きや遊ぶことが出来ます。
【状況/PC様が事前情報として、簡単に入手出来る情報】
▼『いぬ』と『ねこ』について
【ひらがな表記と漢字表記】
○今シナリオ内では4足歩行の寝子島っ子を『犬』と『猫』(単位は匹)、2足歩行の存在を『いぬ』と『ねこ』(単位は体)にて記載しております。
【いぬねこNPC】
○一番偉いいぬとして『犬のしょうぐん』がこっそり一般のいぬに混ざって、祭りに参加しています。
また、今のいぬとねこの国の在り方に疑問を抱える『いぬとねこの中立共存を目指す会』のいぬ側会員も、祭りに参加しています。
・犬のしょうぐん
→黒中心に顔周りから足に掛けて白の体毛をした体躯の良い大型犬で、猪突猛進型です。
沢山の呼び名を持ちますが、気に掛けているのか「犬のしょうぐん」と書いた文字に、漢字の『犬』が使われていることを指摘すると怒ります。
昼間はあちこちをふらふらしていますが、夜の太鼓演奏時には広場を見渡せる一番目立つ特等席へと移動します。
・『いぬとねこの中立共存を目指す会』
→いぬの祭りの機会に、犬のしょうぐんへ、ねことの中立共存を訴える為に、今回代表として選ばれた三体のいぬ達です。胸にタスキとバッチを付けている為、すぐに分かります。
活動が功を奏し少しずつ中立共存の考えが広まっていく中で、頑として互いとの共存に首を縦に振ろうとしないいぬとねこのトップに対し、かなりの不満が溜まっています。
今回身近に接触できるこの機会に、犬のしょうぐんへ直接対面し、直談判を考えているようです。
【注意事項】
○ここに来た人(参加者の方)は強制的に犬の姿になります。
【2本足】か【4本足】かを、アクション内にご記載下さい。
お好みで、どのような種類のいぬかなどもあれば是非ご記載ください。
(二本足では通常の犬のように動くのは困難ですが代わりに物が持てる、四本足では軽やかに動ける代わりに物が持てない等、アクションに影響が出ます)
※特に記載が無かった場合は、2本足となります。
○今回は活動場所が多い事もあり、行動が非常に薄くなってしまう可能性が御座いますので、
たくさん移動するよりは、ピンポイントもしくは2~3箇所での行動位が安全です。
それでは、いぬの祭りの最終日。
あちこちで色々なことが起きておりますが、ご自由にご堪能頂けましたら幸いでございます。