(コンクリート剥き出しの殺風景な部屋。間接照明で薄暗い。
スチール机にデスクトップパソコン。椅子に座ってキーを打っていた男が振り返る)
……なんだあんた、お客サンか。
ご覧のとおり此処は廃墟の雑居ビル。付近の住民からはシーサイド九龍って渾名されてる。昔そんな名前のスラムの複合団地があったんだってな。
ホームレスやガキがよく潜り込んで困ってる。勝手に間借りしてる身でうるさく言えねえが……
なんでも昔殺人事件があったとか。自殺騒ぎはザラ。飛び降りる瞬間を見ちまったヤツはゴシュ―ショーサマ。
地下一階五階建てだが、一部異空間に繋がってるって都市伝説が囁かれるよーなカオスな場所。
興味本位で潜りこむのは構わねーが、迷子になったり行き倒れても面倒見ねーぞ。
自己責任ってヤツだ。
ま、明るいお天道様の下でやったら手が後ろに回るよーな事をしたい連中にゃいいんじゃねえか。
俺?
……ワケあって横浜から逃げてきた。今は情報屋やってる。欲しいネタありゃ言いな、料金は応相談だ。
名義上はコミュの管理人て事になってるが、特に何をするでもねえし、トピ立てはお好きにどうぞ。
タイトルの最初に「〇階」って階数を入れるとわかりやすいかもな。
……んじゃ、もう一眠りすっか(雑誌を顔に被せてソファーに寝転がる)
(煙草を咥えありがとうと言いながらライターを受け取り煙草取り)
うん、気を付けるね。火事は起こさないけど、住む所ないなら家来る?
(煙草を摘まんでライターで火を点ける。少しぷるぷる。確認したら咥え、煙を吸うなり咳込み、煙草を離す)
…げほっ…
…(口を押え息を殺す。涙が滲む)
…ごめ、ジニーさ、これ、はじめて吸ったけど、苦し…
こんなの、吸ってるの……?
オレ、むりかも…どしよ…
…ん?ジニーさん女の子だったの…??
あう、全然分かんなかった…
あ、そか、フツウ。そだね。フツウ、する
この島不思議多いもんね。オレもちょっと興味ある
神は数字の0と同じ。弟が言ってた。意味の不在を否定する記号だって。数字の0は誰かを救ったり苦しめたり喧嘩させたりするのかな?
そだね。宗教は信じることで生活が豊かになるものかな。信じちゃって自分を縛っちゃうなら洗脳?
ジニーさん家族いないんだ。でもひとりじゃなさそうだよね。家族だって作れるし。ジニーさんが望めば
そだね。ジニーさんの言う通り!何でも試すの好きだよー色々やったーお蔭でヘンな事に詳しくなったりしちゃった
(てへへと笑い)
どれもいい歌じゃん。アメイジング・グレイス、好きだなあ…
(今にも歌い出しそうに顔を上げ、すっと息を吸って、目を閉じた)
せいせいしたんだ。いや、だったの……?
あ、やなら、聞かない
玉ねぎあったの!?行ってみるー
中国語出来るんだ?広東語?北京語?オレ詳しくない…
神様は何もしてくれないから。みんなそう言って信じるのやめちゃうけど、オレはそれでいいと思うんだ
神様が何でもしちゃったら、オレたちは何もしなくてよくなっちゃう
見てくれてる。良い事も悪い事も。誰にも愛されなくても、かみさまだけは――
(「誰かとやったのか」と聞かれると、数秒黙った)
ん…手品のれんしゅ
え、きつく?やだよ、痛そうじゃん。このままでいいよっ
ね?ね?ジニーさん、早くやろ!
ほら、渡すよ、あ、手……触るね。右手、いい?
(まずジニーさんの右手首に自分の手を軽く握って近づける。それからゆっくり開き「触るよ」と声を掛けそっと触れる。「掌見せて~」と明るい声で、空いた手でルービックキューブをジニーさんの右手に近づけ)
じゃこれ、手の上に置くから~
(怪我しないようにぽすんと掌にキューブを乗せます)
大丈夫?
(ジニーさんが大丈夫そうなら)
じゃあお願いしようかな
ジニーさんのいいタイミングで初めて~
時間計るから~