ダンボールハウスの主は言いました。
「この間、おもしろいカードをもらったんだよ。絵柄がとっても綺麗なのっ。
『シマリス書店』さんに、このカードについて載っていて、
引けばどんな事でも、いろんな事が分かるんだって。
すごく面白そうだったから、何冊か解説書も買ってみたんだよっ。
(非常に初心者の気配がする)
それでも、持ち主によっては外れたりもするみたい……
でも、そんな時には魔法の呪文があるって、辻占いをしているおじいさんが教えてくれたの。
「当たるも八卦! 当たらぬも八卦!」
叫んでおけば大丈夫なんだってっ。それでも良ければ占いの勉強も兼ねて、少し占わせてくれないかな?
(テーブルには、絵柄が綺麗なカードが置いてある)
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(端っこに、変なカードが置いてある)
あ、それね。解説書のおまけでついてたのっ。
絵柄が『あんまりにも、へん』だったから、ついカードの方がほしくなっちゃって……
『シマリス書店』さんは何でも売ってるんだねっ。
こっちでも占えるけど……結果もへんだから気をつけてね?
※どちらかお好きなカードをお選びください。綺麗なカードはそれなりに、変なカードはそれっぽい結果がでます。
有名らしい言葉があるよ。「喜べ。あなたは『自分を愛してくれなくなった相手が居なくなった』だけだが、相手は『自分を愛してくれるという稀有な存在を失った』のだ」って。
あの方はもの凄く頭の良い先輩だから、きっとその事も分かっての決断だったはず。
だとしたら、相当の理由があって、相応の思いもあったはず。赫乃さんに落ち度があるなら、1回だけかも知れないけれども、絶対お伝えしてくれたはず。
はず、ばかりだけれども……全部を踏まえた結果がそうだとしたら、それは赫乃さんが悪いわけじゃない、『残酷な、必然』だよ。
(深く俯きながらそこまで告げて。自分に向けられた言葉に、少しだけ顔を上げて)
ん? (目だけ伏せて)ん~、分からないかなぁ。(あっけらかんと)
1.『好きだと思った』けれども『形にしようとしたら、その先の未来が驚く程想像出来なかった』
2.『好きだと思った』けれども『好きだと思ったこと自体が、そのお相手様には重荷だった』
だから、私は、一時でも赫乃さん程に人に愛される事は無いし、愛する事もないだろう。
そう考えると、どちらが良いのかは分からない。
少なくとも、赫乃さんの想いに、一般説しか答えられないヤクタタズなのは確かだね。
でも──だから、一般説や他人の言葉が言えるのかも知れない。だからこそ、カード引く時だけは客観視しようと思えるのかも知れない。
それでも、一番は──(目を上げて)
その赫乃さんの思いは、『その時間を過ごした、赫乃さんにしか分からない』という事だよ。それは絶対に他人には分かるはずがないんだよ。
むしろ、他人になんかに分からせちゃいけないんだよ。それは──絶対的に赫乃さんだけのものだと思うから。(正面を見つめて)