旧市街、参道商店街にある手打ち蕎麦屋『すすきの』
暖簾をくぐって中へと入ってみれば、出汁の香りか、天麩羅の香りか。
席に座って出されたお茶を飲みながらメニュー表を覗いてみると、
筆で書かれたしっかりとした文字が目に入ってきます。
・かけそば
・鴨南蛮
・天麩羅そば
・月見そば
・ざるそば
・天ざるそば
・寝子島そば定食…日替わりのそば定食
・サンマそば定食…サンマの蒲焼がのった掛けそば定食
その他にも季節ごとのメニューもあるようです。
お気軽にご注文下さいませ。
「あなたのそばに蕎麦屋すすきのーすすきのー」
孫娘の五月が接客の合い間にテーマソングとばかりにおかしな調子の歌を口ずさんでおりますが、
深い意味はありません。恐らく気分です。そして仕様です。
>秋風先輩
おお……!
実に、実に見事な食べっぷりでらっしゃいます。
この方……出来る……!(カッ!)
寝子島には本当に、本当に見事な食べっぷりの方が多くて、
お食事処としては嬉しい限りです。
ええ。たぬき。たぬたぬ。たぬき。すすきのー。
ええ、御安心下さい、先輩。
きっと、きっと入っておりました。たぬき。(力強く頷き)
あ。それと……
(と言いながら、蕎麦饅頭の乗ったお皿を置いて)
こちら、今試作で作っております蕎麦饅頭になります。
どうぞお召し上がり下さいませー。
>雨寺さん
寝子島高校1年6組……おお。6組!
6組の方でしたか。
私も今年入学したばかりの一年で、4組なんです。
学校でお会い出来るやも。これは学校生活の楽しみがまた一つ増えました。ふふ。(頷いて)
雨寺さん、よろしくお願いしますー。
……と。少々失礼致しますー。
(店主に呼ばれて一度テーブルから離れ)
(少ししてからトレイに、
『サンマのかば焼きが乗った掛け蕎麦、白飯、
山菜(タラの芽とフキノトウ)の天麩羅、漬物』
の乗ったサンマそば定食と蕎麦饅頭を持って戻って来た)
お待たせ致しました。サンマそば定食になりますー。
それと、こちら、試作品になるんですが、蕎麦饅頭です。
良かったらどうぞお召し上がり下さいませー。
(雨寺さんと秋風先輩の様子を見て)
おお!お二人はお知り合いで?