薬の棚が並ぶ店内。
奥のカウンターにいるのは何時もの白い店主ではなく黒い獣。
只今店番中。
薬を買いたい方お気軽にどうぞ。
(大きく伸びをしたところで来訪者と目があう)
あ?なんだ、アルの知り合いか?
わりぃなアイツは今手が離せないとこでよ。
用があるなら聞くぜ。
こんにちは、今回は使うかどうかわからないけど薬をいただきたいのですが…
アルレッテさんはいらっしゃるかな?(店内を見渡す)
シーナ・キュクノスです。
何だかんだでありがとうございました、レイリー。
はい、じゃあ番犬さんがそれなりに親切だったからということで。また何かあったら伺いますね。
(買ったものを大事に抱え店を出る)
(相手の顔で何となく察し)
レイリーだ。レイリー・マクティーラ。
今日は店番だが普段はこの店の番犬みたいなもんをしてる。
坊主は?
薬が効いたらでも星の滴の味が気に入ったでもドラゴンキャベツが美味かったでもなんでもいい。どっかしらよかったら贔屓に頼むぜ。アルが喜ぶんでな。
(意外な貰い物に目を瞬かせ)
あ、ありがとうございます。
えっと……、(お礼を言うにしても相手の名前もわからないということに気がつき)
はいよっと。
あー、あとこれはおまけだ(商品を袋へ入れるついでにドラゴンキャベツを差し出し)
家にいるんだろ病人。スープにしてじっくり煮込んでやれば食いやすいと思うぜ。食欲がありそうならベーコンとか足してもいいかもな。
……まあ、別に。助かったのは助かったので。
もういいです。
これと、あとこっちの星の滴をいただいていきます。
お会計お願いします。
おー取れたか。んじゃ下ろすぜ(床へ下したあと。相手の様子をうかがうように覗きこんだ。表情を見てあ、まずったかという顔に)
あー…とれて良かったな。ってそうじゃねえよな。悪いな抱えて運ぶのが癖になっててよ(頭をガシガシかいて)
ひぁっ……!
(突然上へ持ち上げられ驚き。逃れようと僅かに身動ぐ)
ちょ、下ろしてください!
…………もう!
(軽々と持ち上げて動じない相手に、早く終わらせようと瓶を手に取る)
ん?ああわりぃ掴んだままだったか(少年の言葉に気づき、解放しようと。しかし何か思い付いたようにして動きを止める)
このまま抱えて坊主がとった方が早いんじゃねえか?
ほれ、この高さなら届くだろ(抱き抱え上へ持ち上げる)
軽いなー坊主、ちゃんと食ってんのかぁ?
あ……ありがとうございました、大丈夫です。
(男の腕の中驚きから走る鼓動を落ち着かせるように息を吐く)
いえ、僕も最初からお願いしてれば良かったので。
……あの、もう大丈夫なので、離して頂けますか。
(少年が落ちる寸前。台の下へ駆け寄り、手を伸ばす。細っこい体を受け止め)
…っぶねえー。坊主、大丈夫か?
悪かったな、その台少し滑りやすくてよ。新しいもんに替えようとは思ってんだが。
濃い緑の瓶ですね。
ああ、大丈夫です。これくらいなら頑張ればとれます。
踏み台だけお借りしますね。
(台に登り背伸びをする。瓶に手が触れる直前で足を滑らせ)
わっ……!
そんならえーっと(メモ書きをバサバサと探し)
緑色の瓶だな。
色が濃い方が苦くて濃い大人用だとよ。
そこに踏み台があるから届かなきゃ使え……っと、あー。いや、取ってやる(カウンターから出て少年の方へ)
(師をなんと表現したものかと僅か悩みながら)
いえ、えっと……家の人です。
咳と熱みたいんなんですけど。
ん?おお(呼び掛けにのっそりと体を向ける。棚の最上段を指差し)
風邪薬なら上の棚にあるやつだな。
風邪なのは坊主か?どんな風邪かによって薬も変わってくるらしいんだが……。
(そっと扉を押し開き顔を覗かせる。星の滴や賢者石の色に目を奪われながらも目的の物を探して)
ん……。滅多に来ないからどれがいいのかわかんないな。
(その場から首を捻りカウンターへ向き)
すみません、風邪薬が欲しいんですが。