石造りの2階建て、その1階が店舗スペースである。
日の差し込む一角が外から中が見えるショーウィンドウにはサンプルの箒が飾られており、申し訳程度の客引きとなっている。
店内は開放的で存外物は少なく歩きやすい、シンプルでナチュラルなテイスト。
魔法具の材料となる素材のサンプルが宝石箱のような物に入った状態で設置されている円形の大きめなカフェテーブルが空間の中央にあることと、奥に元は喫茶かバーでもやっていた建物なのかカウンターテーブルがあること、そしてお試し用の品を収めたガラスケース程度。
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入口には、
【小さな道具、お買い求め頂けます】
【魔法の手助け致します】
・小さな素材を貴方に合った形に加工します。
箒の材料でも、貴方が持っているものでも、此処にあるものでもかまいません。
星の力に『形』を持たせる際の補助に。小さな変わった小物として。お気軽にご相談下さい。
・店主が趣味で作った道具達もお譲り致します。
如何せん、癖が強い子が多いこととは思いますが気になった子、手に触れてみたい子が居た場合はお気軽にお申し付け下さい。
と記されたボードも置いてある。
名前?名前…そうよね、名前は必要だわ。
私の名前は両親がくれた大事なものだし、家族やお友達に愛称で呼ばれれば嬉しい。
社交界でただのお嬢さんとして呼ばれても分からないことはないけど、やっぱりそんなのはさみしいもの。
でも考えれば考えるほどペットを名付けるみたいで難しい。
私とこの子は、…お友達、なのに。
(そこまでひとりごちてから自分でも「うん?」と首を傾げ)
あっ、でもこの子は妖精さんなのよね?
一部なのかもしれないけど、その体が使われて、心が宿ってる。
…だったら私、お名前聞いてみる。きっと、本当のお名前で呼んであげるのが正解なんだわ。