石造りの2階建て、その1階が店舗スペースである。
日の差し込む一角が外から中が見えるショーウィンドウにはサンプルの箒が飾られており、申し訳程度の客引きとなっている。
店内は開放的で存外物は少なく歩きやすい、シンプルでナチュラルなテイスト。
魔法具の材料となる素材のサンプルが宝石箱のような物に入った状態で設置されている円形の大きめなカフェテーブルが空間の中央にあることと、奥に元は喫茶かバーでもやっていた建物なのかカウンターテーブルがあること、そしてお試し用の品を収めたガラスケース程度。
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入口には、
【小さな道具、お買い求め頂けます】
【魔法の手助け致します】
・小さな素材を貴方に合った形に加工します。
箒の材料でも、貴方が持っているものでも、此処にあるものでもかまいません。
星の力に『形』を持たせる際の補助に。小さな変わった小物として。お気軽にご相談下さい。
・店主が趣味で作った道具達もお譲り致します。
如何せん、癖が強い子が多いこととは思いますが気になった子、手に触れてみたい子が居た場合はお気軽にお申し付け下さい。
と記されたボードも置いてある。
御機嫌よう。
そうね、貴女の笑顔で十分伝わってくるわ。
良い子とも巡り逢えたようで、良かったわね。
(少女に微笑み返してから青年に向き直り)
さしあたって欲しいと思っているのは移動を助けてくれるものと、夏用の小物かしら。
移動に関しては馬や幻獣、小型の竜種にも乗れないわけではないけれど、まだこちらで契約した子はいないのよ。
なんだか乗り心地がしっくりこなくて……。
(頬に手を当て小さくため息をつき)
夏用の小物は帽子とか日傘、手袋の類ね。
私、涼しいところで育ったものだから、暑いのはあまり得意ではないの。
日除けの他に、冷却効果のようなものが備わった道具や素材があれば良いのだけれど。