石造りの2階建て、その1階が店舗スペースである。
日の差し込む一角が外から中が見えるショーウィンドウにはサンプルの箒が飾られており、申し訳程度の客引きとなっている。
店内は開放的で存外物は少なく歩きやすい、シンプルでナチュラルなテイスト。
魔法具の材料となる素材のサンプルが宝石箱のような物に入った状態で設置されている円形の大きめなカフェテーブルが空間の中央にあることと、奥に元は喫茶かバーでもやっていた建物なのかカウンターテーブルがあること、そしてお試し用の品を収めたガラスケース程度。
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入口には、
【小さな道具、お買い求め頂けます】
【魔法の手助け致します】
・小さな素材を貴方に合った形に加工します。
箒の材料でも、貴方が持っているものでも、此処にあるものでもかまいません。
星の力に『形』を持たせる際の補助に。小さな変わった小物として。お気軽にご相談下さい。
・店主が趣味で作った道具達もお譲り致します。
如何せん、癖が強い子が多いこととは思いますが気になった子、手に触れてみたい子が居た場合はお気軽にお申し付け下さい。
と記されたボードも置いてある。
(店の奥で何やら探し物をしながら顔を上げ)
あれ、声がしたような。どなたかいらっしゃいましたかねー。
クーノさんが表にいらっしゃるので、誰も居ないと言うことは無いと思うのですが……。
……よし、これと、これを鞄に詰めて、持って、と。探し物も揃いましたし、僕も店に出ましょうか。
(その時、店の一番奥でベルの音が一つ鳴る。
奥の壁にはいつの間にか油紙で梱包され、その一つ一つに封筒が貼られた包みが立てかけられてあった)
?箒屋さんからのお届けものですか。数は三つですね。
えーっと、籠の箒と、これは通学路の箒。あとこれは……『必要とする方へ』ですかー。
んー。この包みの大きさ的には箒ですけれど。あ、いえ、箒ですね。(包みについていた封筒を見て)
ここに置いて行ってしまっては怒られそうですし、一緒にもって行ってしまいましょうかねー。
(よいしょと言う掛け声と共に小物の入った鞄を肩から下げ、箒くらいの大きさの包みを3つほど両手に抱え店のカウンターへと向かい)