石造りの2階建て、その1階が店舗スペースである。
日の差し込む一角が外から中が見えるショーウィンドウにはサンプルの箒が飾られており、申し訳程度の客引きとなっている。
店内は開放的で存外物は少なく歩きやすい、シンプルでナチュラルなテイスト。
魔法具の材料となる素材のサンプルが宝石箱のような物に入った状態で設置されている円形の大きめなカフェテーブルが空間の中央にあることと、奥に元は喫茶かバーでもやっていた建物なのかカウンターテーブルがあること、そしてお試し用の品を収めたガラスケース程度。
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入口には、
【小さな道具、お買い求め頂けます】
【魔法の手助け致します】
・小さな素材を貴方に合った形に加工します。
箒の材料でも、貴方が持っているものでも、此処にあるものでもかまいません。
星の力に『形』を持たせる際の補助に。小さな変わった小物として。お気軽にご相談下さい。
・店主が趣味で作った道具達もお譲り致します。
如何せん、癖が強い子が多いこととは思いますが気になった子、手に触れてみたい子が居た場合はお気軽にお申し付け下さい。
と記されたボードも置いてある。
だろ?
(ぴかっと発光した豆電球を同僚の頭の上に幻視しつつ条件反射の速さでどや顔を披露し)
花って立体的だしな、箱の中も悪くないだろうけど平たく並べても露天商みたいになっちゃうじゃん。
お、おー…?はえーな…。
(思い立ったが吉日という言葉を体現した動きをおっとり首を傾げて見送った後、残された花を指というか爪の先でつつき)
んー…籠、瓶……。
ちっちゃいけど、元は材料にするやつってんなら独断で決めんのはなぁ。
(頭を掠める思い付きはあれど、とりあえず同僚の帰りをのんびり待つ。そんな姿をショーケースの中の箒たちが眺め、何か言うこともあるようだが当人は気づいていないようだ…)