だんぼーるはうすから、相変わらず突貫工事の気配がする扉が一つ。
扉を開ければ、よりもう少し広くなったとはいえ、やはり置かれている殆どがダンボールで作られた、この小屋へと繋がっている。
外からも直接入れるようになっているように、外への扉も付いている。
『防水ダンボールでも劣化する』と気がついた結果、前回よりも少し強固に、以前のを多少ながらも大きく建て替えをした模様。
ダンボールの机の上に置かれた、銀ワイヤー細工で作られた籠の中には『この飴でも、吹くと音がなるらしい』というネタ情報に騙されて購入したパイン飴が大量に積まれている。
同じくダンボールで作られたテーブルの上に載っているのは『午前の紅茶』から始まるお茶とミネラルウォーター、それを注ぐ紙コップの類。
飲み物食べ物等は、購入して自由に持込みが出来そうだ。
※大変申し訳御座いませんが、以前問題を起こされた方の入場は固くお断りしております。
※こちらは、いらっしゃって下さった色んな方のちょっとした御厚意だけで成り立たせて頂いている場所となっております。
どうか、何卒ご理解の程を頂けますよう宜しくお願い致します。
わぁ……っ
(半分ずつ味の違う包み紙の中身に感激しながらカレーまんを一口)
興味のない事は忘れていくのも早いよね。人の頭ってどうしてこんなに不便なんだろう……。
このままじゃ、テストの成績真っ白だよっ。
(怒りながら半分ほど食べて、ふと自分の手にある食べ物の温かさとかじかんでいる手に気付いて、ふと大きく空を見上げながら)
そうか……冬って。こう、なんだ。ダンボールに夢中で気付かなかった──
(再びまだ温かい手元に目をやって、目を細めて)
日暮くん。冬って、こんなに寒かったんだね。初めて知ったよ。
それに、こんなに寒い中で人と食べる中華まんが、こんなにも美味しいだなんて知らなかった。
『夏よりも、寒い冬に人と食べる中華まんの方が美味しい』
何だか、こうして人と一緒に立って食べている中華まんって、まるで『普通』の1シーンみたいだね。
(しみじみと感じ入るかのように、少し嬉しそうな様子を隠さずに)
──そうだっ、普通に中華まんとカレーまんもらっちゃったけれども、あれ両方とも日暮くんのだよねっ?食べてしまって大丈夫だったのかなっ?
(食べ切ってしまってから一気に不安になりながら)