だんぼーるはうすから、相変わらず突貫工事の気配がする扉が一つ。
扉を開ければ、よりもう少し広くなったとはいえ、やはり置かれている殆どがダンボールで作られた、この小屋へと繋がっている。
外からも直接入れるようになっているように、外への扉も付いている。
『防水ダンボールでも劣化する』と気がついた結果、前回よりも少し強固に、以前のを多少ながらも大きく建て替えをした模様。
ダンボールの机の上に置かれた、銀ワイヤー細工で作られた籠の中には『この飴でも、吹くと音がなるらしい』というネタ情報に騙されて購入したパイン飴が大量に積まれている。
同じくダンボールで作られたテーブルの上に載っているのは『午前の紅茶』から始まるお茶とミネラルウォーター、それを注ぐ紙コップの類。
飲み物食べ物等は、購入して自由に持込みが出来そうだ。
※大変申し訳御座いませんが、以前問題を起こされた方の入場は固くお断りしております。
※こちらは、いらっしゃって下さった色んな方のちょっとした御厚意だけで成り立たせて頂いている場所となっております。
どうか、何卒ご理解の程を頂けますよう宜しくお願い致します。
(蕾んだ和傘をだんぼーるはうすの外へ立てかけてから入ってくると、会釈をしてくれた少女を視界に捉え、瞑目して少し顔を伏せる程度の挨拶を返すと飛び込んできた喜色いっぱいの言葉に今度こそ瞠目し)
うん、久しぶり。随分嬉しいことを言ってくれるね。
人との縁は、それこそ運だと言う人も居るかもしれないけれど僕は寧ろその人の今までに比例すると思う。
君が今の盛況を喜ぶのなら、僕は君の力だよと褒めたいな。
(温厚、幸せ、…どちらかと言えば浮かべた笑みはそのどれでもなく愛おしげなもの)
もう12月も半ばだからね…。
ああうん、これね。気になるだろ?
(少し面白がるように声を弾ませた後、「失礼して」と前置きし、少し屈んで自分の膝を机代わりに風呂敷を広げて、折り曲げられたパックのような中身を取り出し)
これ、維都月には毛布丹前。と、後はお客さん用の綿入れ半纏。
掃除機使った圧縮収納袋って便利だよね、出すとちゃんとふかふかで厚みもある代物なんだよ。
(桃色の毛布丹前、そして男女兼用なのか暖色にチェック柄の入った半纏が入った袋の封を次々開け、密閉状態を解いてむくむくと元の姿に膨らませていき)
半纏は3つしかないのだけど、もしもう少し欲しかったら後日また持ってくる。
如何せん手作りなもので、誰でも着られるであろうサイズに自由に作れたのはいいものの一度に量産は出来なくてね。必要数もよく分からなかったからこのくらいにしておいたんだ。
毛布丹前の方は市販。着る毛布、と言ったらいいかな。君の背丈でも足元まですっぽり覆える物を選んだつもりだよ。どうぞ。