灯 斗南はいたって無趣味な男だ。音楽にもオシャレにも部活動にも勉強にも興味がない。そんな彼だが毎週必ず欠かさず見ているのが特撮ヒーローもの、「マスカレイダー」シリーズである。元々は昭和に作られたマスカレイダーを平成になって復活させるとそのシリアスな展開と主人公ダイゴ役の俳優の熱演から人気沸騰、以降シリーズ化されている。
その直後、周囲の炎が消え、他社を拒む”舞台”が消えたのを忠光と玲は感じ取った。
「信じられない…無茶苦茶すぎるわ」「いや、元々演神者の力に理屈をつけるのが間違っていたかもしれない」
忠光はマスカレイダー・マルスの姿を見て「人間を超えた力を持ち、世界をも動かすのが神や悪魔。だが、神話にはもう一種類、特別な存在がいる「特別な存在?」
「人間でありながら神や悪魔にすら立ち向かい、打ち勝つ存在。それは、英雄だ」
「英雄…」玲もまたマルスに視線を移す。確かに、そこには悪に決して屈しない、正義のヒーローの姿があった。
第四幕「役者の力量」 終演