裏設定も兼ねた小ネタ話をちょっとずつアップ予定
「今から見せるのは僕がいつも寝不足な理由にまつまるちょっとしたお話さ
もちろん信じるかどうかはアナタ次第、だけどね・・」
「日暮くんだっけ?一緒にやるのは初めてだよね。プロテスト前なんでお手柔らかに頼むよ」
目の前のいけすない餓鬼はへらへら笑い俺の手を握る・・
憤りを感じると同時に体中の血液が沸騰してる気がした。
ジムでのコイツの立ち振る舞いも、オヤジの奴に対する腰の低い態度も何もかもが気に食わなかった。
勉強もスポーツも何もかも・・頑張らなくても結果はついてくる。
何かを継続して楽しいと思った事はほとんどない。負け組の泣き顔を拝むのだけは滑稽で面白かった。
オヤジはそんな俺のことを自慢の息子だともてはやし、ボクシングを始めないかと何度も勧める。
そうして結果的に促され始めたボクシングでも苦労せずここまで登りつめられた。
・・そんな中奴がうちのジムに現れ、俺の狩場を食い荒らしてきやがった・・
親父からGOサインを貰い、奴をぶっ壊すイメージもシャドーできっちり組み立ててある。
年齢もキャリアも俺のほうが上。今まで指くわえて我慢させられた期間、てめぇの研究に費やしてきた。
「笑顔すら浮かべられないぐらい、ボコボコにしてやるよ」
ーーカンッ!ーー
ゴングが鳴ると同時に一気に間合いを詰めガードもろとも強烈な左ストレートでロープ際まで弾き飛ばし
退路を奪った状態で拳の弾幕を、両手を拳で覆う奴の盾へと叩き込む
(お前のファイトスタイルは織り込み済みなんだよ。フットワークで間合いを取るアウトボクシングを軸にカウンターでの逆転を狙うカウンターパンチャー・・なら、徹底的にフットワークを殺し打たせる隙を潰しての短期決戦で勝て・・)
・・マウスピースが舞い上がり、地面に落ちる音が聞こえる。
手応えはない。何かがおかしいと気づいた頃にはもう・・
彼の両膝は地面に根付き、上体は眼前に立つ悪童に対し屈していた。
「お前、一体何を・・」
【何ってそりゃもちろん、カウンターですよ。これで終わりじゃないですよね?先輩・・】