=SS情報=
【ジャンル】日常、キャラ語り
【形態】完結
【分量】5レス、約3400字(レス番号6→2)
【登場キャラクター】桜崎 巴
調度いい。ここであたしが猫鳴館を選んだ理由を話しておこうかい……と言っても、単に最も自由を謳歌できそうだったから、ってだけの話だがね。生活から何から、全てが学生自治さ。
何だって? あたしみたいな不良が自治を語るのはおかしいって?
そういう事もないんだがねぇ……旧制高校なんてのは大体そんな感じだったらしいのさ。
当時の高校って言ったら、それだけでエリートみたいなもんさ。そのエリート中のエリートたる一高ですら、寮じゃ体育会系のどんちゃん騒ぎ、そんな無茶苦茶な奴らも多かったって言うじゃないかい。
まあ兎に角、奴らは、エリートの癖に野蛮、とかいうワケの判らない奴らだったわけさ。俗に言う蛮カラってヤツだね。惚れ惚れするだろ? しないかい? まあ、その辺は人の趣味嗜好かもしれないけどね。
それと、今の猫鳴館の現状を見比べてみな……何、あいつらのどこがエリートなのか、って?
そりゃごもっとも。エリートとか何もなしに、単に野蛮なだけかもね。案外ああ見えて、一芸だけに秀でてる奴らはごろごろしてるんだが……どれだけ役立つ芸かは置いといて。
まあ他人の事はどうでもいいのさ。重要なのは、あたしがどうなのかって事だからね。
……いや、あんたの言いたい事はわかるさ。『授業をサボるエリートがいるか』だろ? 顔に書いてある。
いいのさ。教科書なんて、あたしは4月のうちに読破したんだから。それよりは、図書室から借りてきたこいつを読むほうがよっぽど有益さ……。
もっともあたしは、まさにあんたが訝しんでいるように、単にエリートごっこをしてるだけさ。
けど、それでいいじゃないかい。ライオンだって、ガキの頃は駆けっこをして遊ぶんだ。そしてそれは、後々、狩りの技術に繋がっていく。遊びってのは、大人になってからの予行演習なのさ。
あたしも、ある意味じゃ大人の予行演習をしてるんだ……他人の下で使われる側の大人じゃなくて、自ら世界を動かす側の大人になるためのね。
世界を動かす大人ってのは、お仕着せの作業に甘んじない。それを越える、より良い作業の仕方を模索する。
だからあたしも、お仕着せの授業に甘んじない。それを越える、より良い勉強の仕方を模索するのさ。