ゾンビシナリオ中に、握利平が思い返した映画
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ファック!
なんて間抜けだ俺は。
チーン、と音を立ててエレベーターの扉が開いたら、数体のゾンビが一目散に襲って来やがった。
到着を知らせるエレベーターの音が、奴等にはトースターかレンジの音に聞こえたに違いねえ。
俺等は焼きたてのトーストか、温まった弁当ってワケだ。
群がるハラペコ共を辛くも前蹴りで押しのけた俺等は、ダッシュで警備室へ向かった。
幸い奴等は小走り程度にしか走れない。
行き着いた警備室で、太った警備員ゾンビをタックルで倒し、奪った警棒で頭をかち割る。
元警備員は、それで動かなくなった。
「やっぱり、頭を潰すと動かなくなるんだな」
お約束だな、と顔色の悪い相棒が答える。
俺は警棒を投げて寄こし、元警備員の腰からデカい銃を抜き取る。
何の銃かって? 知らねえよ。
デカイからマグナムだな。
相棒は警備室のドアに鍵をかけ、追いついて来たゾンビ共を閉め出す。
受付窓から侵入しようとする、ブロンド女のゾンビを俺は、マグナムの引き金を引いて仕留める。
死体? がハマって、奴らの侵入を防いでくれた。
狭い警備室内の、緊張が緩む。
ドアを叩く音とうめき声のBGM付きではあるが、とりあえず落ち着ける場所を確保出来たようだ。
相棒が、ドアを背にして力が抜けたように座る。
俺は椅子に座って、片足でブロンド女の死体を押さえていた。
しばらくの、沈黙。