色々あって、無事に館の主となった少年・・・おや?来客者のようです
【出会い 花風編 終幕】
うん。どんな部屋があるのかなあ。
どこから見て回ろうか?
軽く伸びをしてから差し出された手をじっと見つめる
「・・・?」
アホ毛がクルクルと回転し、何かを理解した様に花風さんの服の裾を軽く摘まむ様に持ち
「そうと決まれば早速探検だぜ!部屋も決めないとだぜ?」
頭の毛が空腹感を支配してるの…?
謎だわ…。
そうだね、探検しましょう。
このお屋敷に何があるのか、二人で一緒に調べましょうか。
(微笑み返し、そっと手を繋ごうとする)
少し考える素振りを見せ
「そういえば、目が覚めてからお腹がくーくー鳴らないなーって思ったかも・・・だぜ」
アホ毛を指でつんつん
「んー、そだ!なら探検してみないか・・・だぜ?」
風花さんに近づき少し背伸びしてニコリ
わからないかぁ…。
でも、貴方の髪の毛は
「気付いて貰えて嬉しい」みたいな
そんな動きをしてる、けど…?
…うん。
掃除の前に、一緒に何か食べましょうか。
自分のお腹を軽くペタペタと触り
「お腹・・・?」
アホ毛がピョコピョコとご機嫌に跳ねる
「・・・・・・・わかんないのぜ」
困ったようにへにゃりと脱力
…成る程。
それでこんなにも埃が…。
掃除は、しなくちゃ駄目だよ。
埃だらけの場所に住んでいると体に悪いし
この館だって、綺麗にしてあげた方がきっと喜ぶわ。
…ん…?
(無銘さんのアホ毛が指し示す先を見て小首を傾げ)
給仕室…。
ねぇ、無銘。
貴方今、もしかしてお腹空いてる?
首を傾げて目を瞑り、ふんふんと何度か頷く
「んー、主が居なくなって大分経つみたいだぜ?」
くしっ!と軽くクシャミをして鼻を軽く鳴らし、ゴシゴシ目を擦る
「うっ、掃除しなきゃ駄目か・・・?」
目を細めてキョロキョロとするが、アホ毛がピンと給仕とプレートの下げられた部屋を示す
…うん。
無銘、宜しくね。
ここに住むにあたって、先ずすることは…。
(辺りを軽く見回し、隅に溜まった埃に目をとめ)
…掃除、かな。
元の主さんは掃除が嫌いだったのかな…。
まあ、私もそれ程好きなわけじゃないけどね。
ヘッドフォンをカポリと耳に填めて後ろを向いて目を瞑る
「綺麗な名前だよな・・・此処の主だった人も気に入ってるらしいぜ」
表情こそ後ろを向いているので見えないがアホ毛が嬉しげに揺れる
「来る者拒まず去る者追わず・・・だぜ、」
クルリと顔だけ振り返りヘラりと微笑む
「よろしくだぜ!花風さん」
翡翠館…。
素敵な名前の館だね。
(無銘さんの様子に微笑ましげに目を細め)
そう…。家族がいないの…。
…あのね。私、他にも家があるから
ここに帰ってきたり来なかったりするだろうけど…。
それでも良ければ、貴方の家族になってもいい?
背伸びをやめてドアから離れると、軽く屈伸をして改めて風花さんに向き直る
「うー、よ・・・ようこそ翡翠館(ひすいかん)へっ!・・・だぜ」
視線とアホ毛が右へ左へ
「家族募集ってのだけど、俺も実はよくは知らないのぜ。」
小さく「そもそも俺に家族とか居ないのぜ・・・」と付け足し
「おねーさんは興味あるのか・・・だぜ?」
じっと不安げにで見上げ、アホ毛も不規則にユラユラと揺れる
うん。
…ドアを開けるの、貴方の身長だと結構大変そうだね。
お邪魔します。
(ぷるぷるしている様子をみて微笑ましげに苦笑。
ドアを支え、静かに館の中へ)
聞き覚えのある声に安心したように顔を出し
「ども、一応そうみたい・・・だぜ?」
少し困った様にへにゃりと笑う
「と、取りあえず入ってだぜ・・・背伸びが結構」
ドアノブを持ったまま足先がプルプル
あ…。
(扉から覗くアホ毛に自然と右手を伸ばしかけ
慌てて左手でそれを抑える。)
えっと…。ありがとう。
家族募集って、張り紙がしてあるけど…。
ここに住む人を探しているの?
アホ毛がピクリと反応
「ふわぁ・・・客人かぁ、はーい!今出ます」
ヘッドフォンを耳から外し軽く背伸びして扉を開ける
「どうぞー?」
半分開いた扉からアホ毛だけぴょこん
古い建物…。
『家族募集』?
家族…。家族かあ…。
(暫し逡巡した後
コンコンと控えめに二回扉をノックする)
館に入ってすぐのエントランスにて、主はボンヤリと欠伸をしていた
「さて、客人なんて来るのかね?こんな所に」
彼に話しかける所から物語は始まる・・・かもしれない