事務所と言っても今は事務用品も机も椅子も書類のたぐいももちろんない。
名残と言えば設置…放置?された、端っこが錆びてる味気ないロッカーくらいで。
古ぼけたタイルの上に敷かれたエキゾチックな柄のマット、そのど真ん中には、ちゃぶ台を兼ねたコタツ、その上には床の物と色違いのランチョンマット。他には場違いな桐たんすと茶たんすと布団ごと壁面に畳まれた薄いベッドと………あとは古今東西さまざまの照明器具、それもいわゆるマリンランプからカンテラ、香炉、蜀代、提灯などなど火が必要なものばかり、たんすの上や壁沿い、窓枠、卓上にずらっといくつも並ぶ。
この、なんかちょっと怪しい部屋は奥で仕切られていて、その向こう側は一応給湯室。シンクにガス台オーブンレンジ冷蔵庫と食器棚が場違いなほど生活感をかもし出してる。この部屋に寝泊りしてるんだからまあ当然だけど。
大体そんな感じの居住スペースっつーか要は寝る場所。別に寝なくてもいい結局テキトー雑談トピック。
(ミケジマを招きつつ)…つーワケで。ココが寝泊まりする部屋な。
ちょいと(?)散らかってっけどあっちーとかさみーとかそーゆーのは最低限凌げる。ハズ。
あと…(帯を解きながら)…先に伝えた気もすっけどなんでも好きなよーに使ってくれて構わんし。
っと…(スマホの時計を見て)…ヤベーなこりゃ。
(せわしなくロッカーを開けるなり、着物をふぁさっと両肩から滑り落とすとパンツ一丁に。
中からボロいジーンズとヨレヨレのTシャツを無造作に取り出し)
ワリーミケジマ。着物掛けといてくんね?
戻ってきたらきちっと片すしテキトーにってギャー!?(突如ロッカーから子猫が飛び出した!)