様々な芳香で溢れる不思議な雰囲気の店内。
あらゆる香りで満ちているが、不思議とそれらは調和し合っている。
貴方を待つ素敵な香りに出会えますように。
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雑談スペースです。
どうぞお気軽にご来店下さいませ。
入店退店ご自由にどうぞ。
喧嘩等、他のお客様のご迷惑となる行為をされるお方は事務所までご同行願うことが御座いますのでご了承下さいませ。
(柳子さんが何もない空間から青薔薇を生み出すのに軽く目を見張り)手品……いや、ろっこんか?(小さく呟く)
随分と抽象的で哲学的な物言いだね。
夜毎の死は細切れの死と評した先人もいたが……
彼に倣うなら人間はやがてくるだろう生命の終焉に備え、夜毎死を仮想体験しているのかもしれない。
夢が現実を浸蝕する事もその逆もある。
夢遊病の事例は興味深い。起きながらにして夢見る人間もいれば寝ながら生きる人間もいる。
植物人間の視る夢はどんな色彩をしているのか。覚めない夢は観測者にとっての現実じゃないのか。両者の境は実に曖昧模糊としている
夜の夢こそ真と言ったのは外国の作家だったか。
……なんて、フロイトまがいの夢判断は自重すべきだな。
生憎どちらでもない。貴女は魅力的な女性だ
……いや、食虫花のように美しく危険な女性と言い直そうか
じゃあそのU字型の枕を見せてもらおう。……頸部に負担をかけない機能的なデザインだな。これなら仮眠室でもぐっすり眠れそうだ。あそこのベットは固いせいか寝苦しくてね
貴女とは気が合うかもな。
俺も夫婦だの家庭だのといったステレオタイプの価値観は煩わしく感じる。ある種の信仰だな、あれは。
表面上は話を合わせてるが、家庭持ちを羨む気はまったくない。結婚にメリットを感じないんだ。
家庭をもつことで得るものと失うものを差し引きしたら被る不利益の方が大きい。不自由と言い換えてもいいが
誰にも何にも依存せず干渉せず、自分の面倒だけ見てひっそり生きたい。縛るのも縛られるのもごめんだ
……話が脱線したな。
(サンダルウッドとミルラの香りサンプルの小瓶をひとつ手にとりためつすがめつ蓋をあけ)
……香水には詳しくないが、心が落ち着く。
ひとつもらおう。
君は寝子高の生徒か(冴来さんに向き直り)
夢の抜け殻……面白い比喩だね。確かにあそこは現実と地続きという感じがしないな
夢を見ているのは案外寂れた遊園地自身かもな。俺達は遊園地が視る夢に取り込まれてるんだ。